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チートスキルで世界樹ガチャを引きまくれ!  作者: 山田マイク
第4章 『幻想大図書館の世界樹』編
68/137

67 メーティス幻想大図書館 7 


 ◆


「伝説の勇者というのは……一体、何の話でしょうか?」

 と、アビゲイルが聞いた。


「その魔石獣だよ」

 と、バギムは俺の頭の上に乗っているポチを指さしながら言った。

「ユウスケの上に乗っている、その狐の仔のような獣」


「ポチが――どうかしましたか?」

 と、俺は言った。


「貴様」

 バギムは顔をしかめた。

「ポチなどという名をつけたのか。なんと神をも恐れぬ行為だ」


「キューン」

 ポチは目を細めて鳴いた。


「ふむ……この鳴き声も『預言書』の通りだ。みみずくのような羽角を持ち、腹には無限のポケットを有している」

 バギムは顎をさすった。


「この魔石獣の正体を、ご存じなんですか?」

 コトトが驚い表情を見せた。


「無論だ」

 と、バギム。

「この私を誰だと思っておる。知の国メーティスの大図書館を司る男だぞ」


 ごくり、とコトトはつばを飲み込んだ。

 視線に、畏怖の色が混じっている。


「この魔石獣は、正式にはラリーポスという。腹にある袋にあらゆるものを収納でき、さらに魔石獣の中で唯一、成長するという特徴を持つ」

「せ、成長するんですか?」

「うむ。最終的には、おそらく小山ほどになるだろう」

「そ、そんなに――?」

「そもそもラリーポスとは、古代言語で『乗り物』という意味なのだ。古文書によれば、その背に人を乗せて移動していたという」


 俺は頭上のポチを見た。

 こいつ――そんなすごい能力まであったのか。


「そして、ここが最も重要なのだが」

 と、バギムは目線を強めて俺を見た。

 鋭い視線に、思わず緊張する。


 バギム館長は少し間をあけ、こういった。

「伝承によれば『魔石獣ラリーポス』は、”勇者にしかひくことが出来ない魔石”であるとされているのだよ」


 ◆


「なんですって――?」

 大きな声を出したのはアビゲイルだった。

「バギム殿。それは――それは本当なのですか?」


「嘘など吐くわけあるまい」

 バギムはふんと鼻を鳴らした。

「ちゃんと預言書にそう書かれておるのだ」



「預言書、というのは?」

 と、アビゲイルが聞いた。


「ふむ」

 と、バギムは頷いた。

「最古の文書と呼ばれる『天使の福音書』と呼ばれる書物のことだ」


「天使の福音書」

 アビゲイルは確かめるように、そうつぶやいた。


「そうだ。そして、そこにはこう記されている――」


『魔王復活せしとき、伝説の勇者がラリーポスの背に乗り、普く悪を滅し再び人々に安住の地を与えん』


「魔王復活せしとき……」

 アビゲイルは呟いて、真偽を確かめるかのように俺を見た。


 美しく、鋭い目。

 俺は思わず体を硬直させた。


「あ、あの」

 と、俺は半笑いになって言った。

「な、何かの間違いじゃないですかね? 俺、どう見ても勇者って感じじゃないんですけど」


「そ、そうですよ」

 コトトがアビゲイルと俺との間に割り込んでいう。

「ユウスケが勇者だなんて、そんなことあり得ないですって。見てくださいよ、この間抜けな顔。とても勇者って感じじゃないです。アビゲイル大佐なら分かりますけど――」


「いや、アビゲイルは違うな」

 と、バギムが遮る。

「勇者は無属性なのだ。光属性であるアビゲイルは該当しない。そしてその点でも、ユウスケはあてはまる」


「ユウスケ――殿」

 と、アビゲイルが言った。

「よもや、あなたが伝説の勇者であったとは。知らぬこととはいえ、これまで数々の無礼をしてしまいました」


 どうかお許しを、と丁寧に頭を下げる。


「や、やめてくださいよっ」

 俺は手のひらを突き出し、ぶんぶんと首を振った。

「まだ、俺が勇者だと決まったわけじゃないし」


「しかし、バギム館長がそうだと言っておられる」

 アビゲイルは頭を下げたまま言う。

「預言書にも、そう書かれている」


「では、確認しに行ってみようじゃないか」

 と、バギムが言った。


「確認?」

「うむ。この幻想大図書館にはな、その最深部に『使徒の部屋』というものがあるのだ。勇者が来た暁には、そこへ勇者を連れていくよう、歴代の館長は政府から言付かっている」

「そこへ行けば――真実が分かるんでしょうか」

「さてな。私も行ったことがないのだからわからんよ」

 バギムは肩をすくめた。

「だが、そこに行けば、きっとすべてが分かるはずだ」


「分かりました」

 とアビゲイルが言って、俺を見た。


 俺は大きくうなずいて、「行きましょう」と言った。



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