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チートスキルで世界樹ガチャを引きまくれ!  作者: 山田マイク
第3章 『魔法国家アベルの世界樹』編
54/137

53 褒美


 ◆


 次の日。

 俺たちはメインクーン女王に呼ばれて、再び玉座の間へと招かれた。


「昨日は誠に失礼いたしました」

 アビゲイルはそう言って、傅いた。

「陛下に対し、考えられぬ非礼を」


「か、構わんぞえ」

 メインクーンは明らかに動揺した様子だった。

「こちらも、そちらには危険な目に合わせてしまった」

 声がわずかに震えている。


 無理もない、と俺は思った。

 昨日のあのアビゲイルの眼。

 あんな目で脅されたら――誰でもこうなるはずだ。


「アニーは――どうなったのでしょうか」

 と、アビゲイル。

「やつに関しては、現在調査中だ。治療が終わり次第、裁判にかける」

「そうですか……」

 アビゲイルは少し間をあけ、それからメインクーンを見た。

「どうか、寛大な処置を。幸いにも死者はでておりません。後ろに控えるマキも、それを望んでおります故」

「うむ。そうだな」

 メインクーンはない顎を引いて頷いた。

「やつには――過度な期待をかけてしまった。十分に酌量するつもりだ。禁止麻薬についての監視の強化も行おうと思っておる」


 覇気のない顔。

 どうやら、本気で反省しているようだ。


「ありがとうございます」

 アビゲイルは丁寧に頭を下げた。


 ◆


「では、魔燭の宴優勝者に褒美を授ける」

 と、メインクーンが話を切り替えた。

「マキ。それからアリス。前へ」


 二人は立ち上がり、楚々と女王の前に進んだ。

「そなたたちには、それぞれ褒美をやることにする。マキ=フォール=フォール。そなたは『世界樹の恩恵』でよかったな?」

「はい。そちらに控えておりますユウサク=モロタに受けさせてくださいませ」

「あいわかった。して」

 メインクーンはそれから、アリスを見た。

「アリス。お前にも、何か褒美をやろうと思う。むろん、バッジの贈与以外に、だ。何が欲しい?」


 アリスは返事をしなかった。

 目をやると、彼女は緊張でカチンコチンに凍り付いていた。

「どうした?」

「す」

 アリスはそこで、ぶん、と頭を下げた。

「すすす、すみません! 陛下にお声をかけられ、固まってしまいました!」

「苦しゅうないぞ。好きなものを言ってみろ」

「で、では、一つだけ!」

 アリスは少し間をあけた後、メインクーンを見た。

 そして、背筋を伸ばし、こういった。


「この国を出て、マキさんたちと旅をする許可をくださいませ」


「なんだと?」

 予想外だったのか、メインクーンは眉を寄せた。

「宴の優勝者であるそなたには、アニーのようなエリートの道を歩ませてやろうと思っているのだが――それでも出ていこうというのか?」


「はい」

 アリスは迷いなく顎を引いた。

「私は、私の人生を歩んでみたくなったんです」


 メインクーンは考え込んだ。

 それはそうだ。

 アリスのあの力は、アベル国にとって貴重な戦力となるはずである。


「駄目だ――」

 と、メインクーンは目線を強めた。


 アリスはびくりと体を震わせる。

 やはり無理があるか――

 そう思った次の瞬間。

 メイクーンはふっと頬をほころばせた。

「と、言いたいところだが、特別に許可しよう」


「陛下っ!」

 と、大臣が狼狽した様子で何事か耳打ちする。


「よいのだ」

 メインクーンはアリスを見た。

「我はアニーとの決勝を見て確信した。この娘は、マキどのと一緒にいるほうが成長するのだ」

 そうであろう? と、メインクーンは目を細めた。


 アリスは一瞬、きょとんとした。

 そして次の瞬間、「はいっ!」と大きくうなずいた。


「ありがとうございます。女王陛下!」

 そういって、頭をぶんと下げる。


「うむ」

 メインクーンは頬杖をついて、口の端を上げた。

「必ず成長して帰ってくるようにな」


 それから女王は俺たちの方に向き、

「世界樹の恩恵は明日行う。今日はゆっくり休むがよい」

 と言った。




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