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チートスキルで世界樹ガチャを引きまくれ!  作者: 山田マイク
第3章 『魔法国家アベルの世界樹』編
52/137

51 魔燭の宴 7 アリス


 ◆


 アニーが恐ろしい魔力をためながらこちらを睨んでいる。

 だがアリスは、不思議と恐怖を感じなかった。

 いつもの自分なら、恐ろしくて震えていたはずなのに。 


 アリスはマキをかばうように立ち、目をつむった。

 そして、魔法の詠唱を始める。


 まずアリスは、マキに言われた通りイメージを開始した。

 足先からつむじまで。

 すべての魔力を手のひらに送るのだ。

 普く細胞から、エネルギーを一極に集中させるところを夢想する。


 そして――決意する。

 私はこれまで、自分には生きる価値はないと思っていた。

 怒鳴られて殴られて、わらわれてバカにされて。

 自分の人生はこれが当たり前なんだと、勝手に悟って諦めていた。

 だけど――だけどっ!


 ――あなたはこれから、楽しく生きるの。

 マキさんの言う通りなら。


 ――アリスちゃんに生きる価値がないなんて、そんなことはない。

 ユウスケさんの言う通りなら。


 私はまだ、死にたくない!


 やがて――アリスの体を金色のオーラがまとい始めた。

 右目はいよいよ赤く――紅く染まっていく。

 小さな体に、膨大な魔力が凝縮されていく。


 そして。

 圧倒的な熱量を帯びた魔力が、その手のひらに装填された。


 ◆


「食らえっ!」

 先に動いたのはアニーだった。


『魔龍炎神波』


 アニーが魔法を発露させる。

 漆黒のすさまじいエネルギーのうねりが、アリスを襲った。


 アリスは不思議な感覚に襲われていた。

 辺りのすべてがひどくスローに見えた。

 アニーの恐ろしい魔法が、はっきりと視認できたのだ。


 私は生きるのだ。

 アリスは下唇を噛み、もう一度、強く願った。

 そう。

 大事なのは――意志の力なのだ。


「わたしはマキさんたちと一緒に――楽しく生きるんですっ!」


 アリスはカッと目を見開き、両腕を突き出して魔法を発露させた。


破壊神矢ゾーンゴッテズ


 手は黄金に輝き、金色のエネルギー派が顕現する。


 アニーの漆黒の炎と。

 アリスの金色の稲妻。

 二つの力は、ガチィイイイッという巨大な破裂音と共にぶつかった。


 ◆


「すごい」

 すさまじい爆風に目を細めながら、マキは思わず見とれた。

「こんなに美しい魔法、見たことがないわ」


 二つの力は互角だった。

 アニーは顔をゆがめ、必死に魔力を振り絞っている。


 つと、アリスの顔を見る。

 その顔は必死というより、遠慮しているように見えた。


 マキは思わず口の端を上げた。

 なんて子なの。

 この期に及んで――アニーを傷つけてしまうことを恐れて手加減している。

 恐らくはこれまで、人を傷つけたことがなかったから。


「アリス! アニーなら大丈夫! この国の救護班は本物よ。だから」

 マキは残るすべての力を振り絞って怒鳴った。

「やっちまえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 アリスははっと目を開いた。

 それから小さく、頷く。


「はああああああああああああ」

 アリスは表情を一変させ、さらに強力な波動を放出させた。


 ほぼ互角に思われたエネルギーの衝突は、やがてその均衡を崩し始めた。

 金色の波動が、漆黒のそれを凌駕し始めたのだ。


「ま、まさかこんな」

 アニーが驚愕の表情を浮かべる。

「このエリートの私がこんな屑どもに負けるなんて――」


 そして――

 アニーは金色の波の中に吞まれていった。


 


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