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チートスキルで世界樹ガチャを引きまくれ!  作者: 山田マイク
第3章 『魔法国家アベルの世界樹』編
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40 魔法使いたち 2


 ◆


 それから俺たちは、軍隊の人間を見て回った。

 だが、すでにめぼしい人材はいないようだった。


 訓練している様子を見ても、ぱっとしたものはいない。

 素人の俺から見てもそうなのだ。

 プロ中のプロであるマキは、すぐにあきらめたようだった。


「駄目ね。ぜんっぜん、話になんない」

 一通り見終わってから部屋に戻ると、開口一番、マキはそう言った。


「そうな風にいっても、しょうがないよ」

 と、コトトがなだめる。

「彼女たちの中から探さなきゃいけないんだからさ。あ、そうだ。一人、バッジを4つつけてる人いたじゃない? 紫色の髪をした、すごい背の高い人。あの人とかどう? 4つって、ほとんどいなかったけど」


「モ、モイス師団長ですね!」

 アリスが言った。

「い、いいと思います! あの方はお年ですが、とても経験のある方ですから」


「ナシね」

 マキは腕を組んだ。

「悪いけど、あんなのと組んでもほとんど意味ないわ。私一人で戦ってるのと同じ」


「えぇ!?」

 突然、アリスが大きな声を出した。


 俺たちが目をやると、彼女は「す、すいません」と肩を縮めた。


「なに?」

 マキはじろり、とアリスを見た。

「何か、いいたいことある?」


「い、いえ、何でもないです」

 アリスはますます小さくなった。


「おいおい、脅してやるなよ。怖がってるじゃないか」

「脅してないわよ。失礼ね」

「お前は口が悪いんだから、子供には気を付けて喋れって」

「うるさいわね。仕方ないでしょ。こういう性格なんだから」

「開き直るな」


「す、すいません」

 俺たちが言いあっていると、アリスがいよいよ恐縮した様子で頭を下げた。


「謝らなくていいよ。悪いのはこいつだから」

 俺は膝を曲げ、ほほ笑みながらアリスと同じ目線になっていった。


 すいません、と彼女は俺の目を見返した。


「ん?」

 つと、俺は顎に手を当てて首を傾げた。


 彼女の目、よく見ると片方が微かに赤い。


「ど、どうかしましたか?」

 俺の目線に気付いたアリスが、おどおどとした様子でこちらを見る。


 すると、瞳の色はまた黒に戻った。

 どうやら、角度によって色が変わるみたい。


「なーによ」

 マキが頬杖を突きながら半眼になる。

「あんたまさか、やっぱりこんな幼女に惚れたの?」


「だからやめろよ」

 俺は口を曲げた。

 

「で、でも」

 と、アリスが口を開く。

「あ、あの、マキさんって、モイスさんを見ても、驚かれないんですね」


「あんなのでビビるわけないじゃない」

 高らかに、マキは言った。

「あんたね。私を誰だと思ってんの? 天下一の魔法使い、マキ=フォール=フォールよ」


「す、すいません! 聞いたことないです!」

 ぶん、とアリスは勢いよく頭を下げた。


「ず、ずばり言うわね」

 ちょっと傷ついたみたいだった。

「でもまあ、アビちゃんには負けるけど、私だって結構有名なんだから」


「分かります!」

 アリスは胸の前で祈るように手を組んだ。

「私も、魔法使いの端くれですから! マキさんがすごいってことは、なんとなくわかります」


「そうよ。遠慮なく、崇めなさい」

「崇めます!」


「憧れなさい。届かない高見でしょうけど、憧れるだけで憧れるがいいわ」

 マキは腰に手を当て、偉そうにアリスを睥睨へいげいした。


「はい! 憧れます!」

 アリスは胸の前で手を組み、目をキラキラさせる。


 なんだこのやり取りは。

 俺は思わず項垂れた。


「でも、わかんないわよー」

 と、コトトが冷やかすように言った。

「アリスちゃん、まだ若いんだし。もしかしたら、マキを超える大魔法使いになっちゃうかも」


「そんな」

 アリスはぶんぶんと首を振った。

「そんなことはありえないです」


「わかんないって。若いってのは可能性の塊なんだから」

「いえ、可能性の問題ではなくて。その、もう答えは出てるって言いますか」

「ん? どういうこと?」

「わたしはもう、駄目なんです。もう、魔法使いとして出世は出来ないんです」

「よくわかんないんだけど」

「この国では、小さい時に判別されるんです。魔法使いの才能は遅くとも10歳までには現れるといわれてますから、それまでに才能がなければ一般兵か、雑用に回されるんです」


「そ、そうなの?」

 マキに聞いた。


「ま、そうね」

 マキは言った。

「長じてから魔力が飛躍的に伸びるなんて話は聞いたことないわ」


「……そっか」

 コトトはアリスを見た。

「ごめんね。知らなかった」


「いえ」

 アリスはにこりと笑う。

「ありがとうございます。励ましてくれて、嬉しかったです」


 そうして、またぶん、と頭を下げる。

 どうやら、これが彼女の癖らしい。 


「でも、酷い話ね。子供たちを小さな内に判別しちゃうなんてさ」

「そう?」

「そうよ。子供たちには、もっと他の未来があるはずなのに」


「それがこの国の強さなんでしょ」

 マキは肩を竦めた。

「弱いものは切り捨て、強いもののみ育てる。理想じゃない」


「馬鹿げてる」

 コトトが顔をしかめる。

「馬鹿げてるわ、そんなの」


「あたしに怒らないでよ」

 マキは肩を竦めた。

「ま、たしかにやりすぎかもね。物事には例外ってものもあるし」


 マキはそう言うと、ちらとアリスを見た。

 アリスは条件反射のように、ぶん、と頭を下げた。


「それじゃあ、また明日、迎えに来ます」

 と、アリスが言った。


「えーもーいいよー」

 マキは口を尖らせた。

「どうせ、もうろくなのいないよー」


「そういわず、探しましょうよ。今回の世界樹は、マキにかかってるんだから」

 コトトが言う。


 すると、マキは「しょうがないわね」と不機嫌そうに頬を膨らませた。


「では、明日は別の訓練場を見に行きましょう! また明日、朝来ますね!」

 そういって、アリスは部屋を出て行った。



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