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チートスキルで世界樹ガチャを引きまくれ!  作者: 山田マイク
第2章 『ガビビ族の世界樹』編
30/137

29 結末


 ◆


「すいませんでした!」

 集落に戻ってきたムヒタリは、その場で土下座をした。

 

 彼は状況を把握するなり、すぐに降伏した。

 それも当然だろう。

 俺たちが人質になっていない限り、アビゲイル大佐とマキに勝てるわけがないのだから。


 事情を聴いたアビゲイルたちは、とても驚いていた。

 ムヒタリは紳士的で、すっかり騙されてしまっていたようだ。


「大佐、そっちは大丈夫でしたか?」

 と、俺は聞いた。


「うむ」

 アビゲイルはこともなげに頷いた。

「敵ではなかった」


 はあ、とため息がでる。

 俺はチート技を使って命からがらバトルに勝利したってのに。


「そんなことより、ユウスケやるじゃん!」

 マキが興奮気味に言った。

「まさか、あんたが倒すなんてね」


「アビゲイル大佐が貸してくれた魔石のおかげです」

 俺は後頭部を掻いた。

「本当に助かりました。あれが無かったら、ガチで死んでましたよ」


「謙遜するな。コトトを守ったのは、お前の力だよ」


 俺は少し顔を赤らめた。

 やべえ。

 大佐に褒められると、ちょー嬉しい。


「そんなことより」

 アビゲイルはそういうと、ムンタリのほうを見た。

「とりあえず、その話はまたあとだ。今は、もっとやるべきことがある」


「では、本物のガビビ族がいる場所へ案内してもらおうか」


 アビゲイルがすごむ。

 するとムヒタリは「はい」と言って、その場に平伏した。


 ◆


 それから、山の中腹に隠れるように存在する洞窟の中から、本物のガビビ族は救出された。

 俺たち4人は、それこそ部族を救った英雄として、今度こそ本物の歓待を受けた。


 ムヒタリとオンバメの処分は、村の人たちに任せることにした。

 俺たちがダーダリアンの法で裁くより、そちらの方がいいように思えた。


「どうぞ、好きなだけ魔石を引いてください」

 話を聞いたガビビ族の村長は、喜んでそう言ってくれた。


 ずいぶん柔和な人だ。

 腰は曲がり、顔は皺だらけで、顎にはたっぶりと白いひげをたくわえている。

 首狩り族、なんていうのはやっぱり古い情報だったのだ。


「いえ、一度だけで結構です」

 と、アビゲイルが言った。


「一度でいいんですか?」

 村長はつぶらな目を丸くした。


「ええ。それで十分です」

 そう言って、俺を見る。

「我々には、図抜けた幸運の持ち主がおりますゆえ」


「あの……そのことなんですが」

 と、俺は言った。


「ん? どうした?」

「実は、オンバメをやっつけるために、『チート=ラック』を使っちゃったんです」


「チート……ラック?」

 ああ、そういえばアビゲイルたちに能力の話をしていなかった。

 

 俺はそこで、転生のことなどをうまく隠しながら、彼女らにチート=ラックの話をした。

 アビゲイルとマキは驚いていたが、どうにか上手く伝えられた。

 

 そして二人はやっと腑に落ちたようだった。

 だから、SSが一発で引けたのか、と。


「しかしそうなると、当分はその能力は使えないのだな?」

 と、アビゲイル。


「はい、三日はあの能力が使えなくて――」

「要するに」

 と、すでに酔っぱらっているマキが口を挟んだ。

「あと三日、ここの村にいなくちゃいけないってこと?」


「……そうなるな。しかも、その間は村の人たちにも魔石を引かないでもらわないと」

 アビゲイルは腕を組み、しばし思案した。


「ほほ」

 話を聞いていた村長が、髭を絞りながら言った。

「構いませんよ。あなたたちには、いくら感謝してもしきれませんから」


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」

 アビゲイルは口元を引き締め、丁寧に頭を下げた。


「えー? こんなとこにあと3日もいるわけー?」

 マキが不満げに言う。

「ほんと、最悪。あー、もうあんな固い布団でねたくなーい。不味い料理も食べたくなーい」


「こ、こら」

 アビゲイルが慌てる。

「そ、そんなことはありませんよ! 寝床も食べ物も、大変素晴らしいです! こいつは、かなり酔っ払っちゃってるみたいで――」


「気を使わなくてもよろしいですよ」

 村長はにっこりと笑った。

「好きにくつろいでください」


「さすが爺さんは器がでかいわね」

 マキはうんうんと頷いた。

「やっぱ、禿げてるだけのことはあるわ」


「禿げって――お前、口を慎め」

「いいじゃん実際禿げてるんだし」


「な、なかなか面白いお嬢さんで」

 額に、青筋が浮いている。


「本当に……すいません」

 アビゲイルは頭を下げ、「禿げ禿げ」と喚くマキの口を無理やりふさいだ。


 あほな部下を持った上司って大変だな、と俺は思った。



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