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チートスキルで世界樹ガチャを引きまくれ!  作者: 山田マイク
第2章 『ガビビ族の世界樹』編
24/137

23 探索


 ◆


「私のミスだ」

 アビゲイルは下唇をかんだ。

「ここは元々ゴードンがいるという前提で来る場所だった。奴らの戦闘力は知っていたのに――コトトに変更になった時点で、順番を変えるべきだった」


 アビゲイルは下を向いて首を横に振った。


「大佐は悪くないです」

 俺は目を伏せた。

「俺です。俺が、無理やりコトトをこの旅に連れていこうって言ったから。やっぱり、あいつにこんな冒険は無茶だったんだ」


「二人とも、ウジウジすんじゃないわよ」

 マキは肩を竦めた。

「まだ、コトトが死んだわけじゃないのに」

 

 その言葉に、俺は顔を上げた。

 そうだ。

 今は嘆いている場合じゃない。


「た、大佐! 早くガビビ族の集落を探しましょう!」

 俺はそう言うと、アビゲイルを見た。


「うむ」

 アビゲイルは頷き、その場にしゃがみ込んだ。

「だが、その前に――」


 辺りには奴らの武器――折れた槍などが散乱していた。

 アビゲイルはそれを手に取り、何やら考え込んだ。


「な、何やってるんスか?」

「……いや」

 アビゲイルは顎に手を当てた。

「これを見ろ。妙だと思わないか」


「何すか?」

 見たところ、黒い石を研磨して作った原始的な武器だ。

「この槍が、なにか」


「この先を見ろ。どれもこれも先が尖っておらん」

「ほんとだ」


「やつら、私たちを殺すつもりはなかったようだな」

 アビゲイルは立ち上がり、眉根を寄せた。


 奴らに殺意は――なかった?


「たしかに、変だと思ってたのよねー」

 マキが地面に落ちていた網のようなものをつまみながら言った。

「不意打ちしてきた割に、やり方に手が込んでるし」


「どういうこと?」

「普通さ。人を殺すつもりなら、網なんて使わないっしょ」


「あ」

 俺は口を丸く開けた。

「た、たしかに」


「最初から、生きたまま捕獲することが目的だったのかもしれんな」

 アビゲイルは顎に手を当てた。

「だが、私やマキが想像以上に手ごわいと感じて、我々全員を捕まえることを諦め、一番か弱そうなコトト一人に狙いを定めた」


「な、なるほど」

 と、俺は頷いた。

「しかし、何のために?」


「……まあ、考えられるのは、何かの儀式に使うためであろうな」

 アビゲイルは深刻そうに言う。


「ぎ、儀式!?」

 なにやら不穏なワードに、鳥肌が立つ。

「そ、それって、どんな――」


「そりゃ、生贄ってやつじゃないのー?」

 マキは大きな息を吐いた。

「だってやつら、首狩り族だし。世界中で一番野蛮なやつらだし」


 俺はごくりと喉を鳴らした。

 嫌な予感で、背中に冷たい汗がにじむ。


「でも、生け贄だとしたら、悪いことばかりじゃないよ」

 と、マキが言う。


「どうして! コトトが死んじゃうかもしれないのに!」

 俺が大きな声を出した。


「たしかに、マキの言うとおりだ」

 アビゲイルもマキに同意した。


「どういうことですか! 大佐まで」


 アビゲイルはゆっくり首を振り、「落ち着け」と言った。

「いいか、ユウスケ。奴らが生け捕りにしたということは、贄は絶対に生きた状態で捧げねばならん、ということだ。つまり、奴らは儀式まではコトトを生かしておく必要がある」


「な……なるほど」

 俺は短くうなずいた。


 たしかにそうだ。

 生贄と言うのは、逆を言えば、それまでは絶対に生きている証拠にもなる。


 ならば。

 その儀式までにコトトを探しだせばいいだけだ。


「なんにしても、急がなきゃねー」

 マキが山の奥深くを睨むように見つめた。


 ◆


 それから俺たち3人は、記憶を頼りに山を歩き回った。

 悪いことに、コンパスと地図を持っているのはコトトである。

 ほとんど闇雲に歩いているのと同じだ。


「少し休むか」

 アビゲイル大佐が俺を慮ってくれた。

 

 いいえ、と俺は息を切らしながら言った。


 時間は1秒でもおしい。

疲労はピークだったが、足は止まらなかった。


 コトト。

 コトトを救わないと。


 そのことしか考えられなかった。


 山中にはそこかしこにガビビ族の“威嚇”が設えてあった。

 何者かの骨が木や岩につるされてあるものだ。


 不気味だが、もはや恐怖の感情は湧いてこなかった。

 

 こうしている間にも――すでに儀式は始まっているかもしれない。

 いや、そもそも、その生贄の儀式というのだって単なる大佐の推測にすぎない。

 もしかすると、すでにコトトは奴らの手によって――。


 嫌な想像が浮かんでは消える。

 俺はそれを振り払うように首を振り、とにかく歩き続けた。


 ◆


 どれくらい歩きまわっただろうか。

 すでに、辺りは蒼い闇が覆っている。


 これ以上は探索出来ないかと思われたその時。

 ようやく、彼らの痕らしきものを見つけた。


「なにか臭うな」

 アビゲイルは遠くに目をやり、目を細めた。

「何かを焼いたような臭い。そう遠くない場所に、奴らがいる」


「あ、あれ見て、アビちゃん」

 マキが指を指す。

 すると、その先には細い煙が立ち上っていた。


「間違いない。あそこにやつらの集落がある」

 大佐が硬い声を出す。


「どうする? 正面突破する?」

「いや、まずは様子見だ。下手に刺激して、コトトを盾にされてはまずい。監視できる場所を探して、村の様子をうかがう」


「分かりました」

「了解」

 俺とマキはそれぞれてんでに頷いた。


「それからユウスケ」

と、アビゲイル。

「これを持っておけ」

アビゲイルはそう言って、魔石を放った。


俺は「おっと」と、それをうけとった。

手のひらの魔石は赤色に光っていた。



「な、なんですか、これ」

「雷系魔法の魔石だ。ランク度Aの中でも、最高レベルの魔法が発動する」

 最高レベルの魔法――か。

 俺はごくりと喉を鳴らした。


「ただしキットには入れず、懐に隠しておけ」

と、アビゲイルは言った。


「キットには入れず?」


「お前のような一般人が戦う場合、まず狙われるのがキットだ。生身で負けるはずがない相手に負けるとしたら、魔石を使われた時だけだからな」


なるほど、と俺は顎をひいた。


「代わりに、キットにはスピードを上げる魔石を入れておけ」

「分かりました」


「では行くぞ。ここからは、足音に気をつけろ」

 大佐の言葉で、俺たちは歩きだした。



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