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失う少女
少女の思考は停止する。
それは一瞬の出来事だった。
階段をボールのようにバウンドしながら下に転がっていく。
――ピタッと完全に動きが止まる。
「う、嘘でしょ……?」
慌てて駆け寄る少女。
――何も反応はない。
「……嫌ぁああああ!!!!」
少女はその場で泣き崩れた。
◇
出会った最初は、理解できない所が沢山あった。
自分が思っていたように言うことを聞いてくれない。すぐに元気が無くなる。
少女は不満ばかりを頂いていた。
しかし、長く一緒にいるにつれ、少女の理解も深まり、愛着が沸くようになってきた。
オシャレにするために、着せ替えもするようになった。
少女はいつだって一緒だった。
一緒に眠ったり。一緒に旅行先に行ったり。
沢山の思い出を共に過ごしてきた。
――そんな思い出が、たった一瞬の出来事で消え去ったのだ。
◇
「……皆に知らせなきゃ……」
少女は止まらない涙を堪えながら、急いで家に帰る。
家に着くと、部屋に入りパソコンを立ち上げ、ツイッターを開いた。
そして少女は呟く。
「「携帯壊われてしばらく使えません><」」