パーフェクト少女
どのような仕事でも必ず達成する少女がいた。
少女の能力はあらゆる面で優れ、隕石の落下を阻止したのは勿論の事、火星人襲来事件の時は第一線で活躍をしていた。癌を5秒で治す薬や不老不死の薬、地球破壊爆弾を作ったのも少女だ。
――少女に『不可能』という文字はない。人は皆、少女のことをパーフェクト少女と呼んだ。
ある日、少女は総理大臣から招待を受け、とある会議室に呼ばれた。
「来てくれてありがとう」
「い、いえ……。それでご用件は何でしょうか?」
「……君に任せたい仕事がある」
その神妙な面持ちから重大な案件であることを少女は感付く。
「……お話を聞かせてもよろしいでしょうか?」
「……まず仕事を受けてくれるかどうか聞かせてほしい」
「……簡単には話せないような内容ということですね」
「……そういうことだ」
よほど深刻な内容なのだろう。総理大臣の呼吸は少し荒くなっている。
「……ちなみに報酬はいくらですか?」
「……十億」
「!?」
「……更にポテトとおもちゃを付けたハッピーセットだ」
「……!?!?」
「どうだ……やるか?」
「……やります!!!」
少女はポテトが好きだったため興奮した。
「……では……今回の仕事内容を説明する」
「……はい」
総理大臣の呼吸は更に荒くなり、仕事の重大さを表している。
「…………全ての蚊を殺してほしい」
「全てって……世界中の蚊をですか?」
「……そうだ。寝る時にぶーんって音で皆眠れなくて困るだろ」
「……はい」
「……だから君にこの重大な仕事を任せたい」
「……ちなみに期間は?」
「1分後だ」
「え……1分後ですか……?」
「……私が話した時からカウントするから後10秒後だ」
「えぇ……」
「……後5秒後だ」
「えぇ……」
少女は総理大臣を殺害した。