たどり着く場所
婚約破棄の日の、別れてから二日ほどの恭子や石上家の行動です。
元婚約者やその女と別れて、恭子は校門に向かった。
そこには当然のように、恭子を待つ車が止まっていた。
そもそも今日は祝日で学校は休み。御曹司に呼び出されてきた恭子であるが、休日である事、なんとなく不穏な予感がした事から、しっかりとボディーガード他何人かのスタッフを連れてきていた。
元婚約者はいちいちガードを連れ歩く恭子をよく小馬鹿にしていたが、恭子は何を言われようとその主義を変える事はなかった。江崎も石上も実際に狙われるような家だし、ガキのたわごとより安全第一。それは小さい頃から恭子が教えられてきた事で、たとえ何と言われても譲るわけもなかった。
車に乗り込むと、恭子はまず周囲に言った。
「私と彼……浩司様との会話記録はとれたかしら?」
「はい」
「では厳重に保管しておいてください。私はお母様に緊急報告します」
そういうとスマホを取り出し、自宅を呼び出した。
「お母様、いきなりすみません。つい先程、浩司様から婚約破棄を言い渡されました。いえ、江崎からの婚約破棄です。詳しくは戻ってからお話します。はい、それでは」
そういうと電話を切り、今度は別のところにかけた。
今度はしばらく待ち、そして相手が出た。
「Morgen Opa, hier Kyo……」
何やらドイツ語で話そうとしたが、途中で電話の向こうが親しげに語りかけてきた。
時々「Warum?」とか「Ach,so(え、そうなの)?」みたいな声が飛んだあと、何かを確認するように頷き、そして電話を切った。母親あての電話より長い電話だった。
恭子は揺れる車の中でメールはしないので、そのまま携帯は仕舞いこんだ。
「……」
運転手は無言のまま。
ボディーガードは、少し悩んだようだが結局質問した。
「おそれいりますが安全上の質問です。今の……」
「オーパ(おじいちゃま)にもお知らせしたの。それだけ」
「そうですか。わかりました、失礼いたしました」
「いいえ」
保安上の質問なのはわかっているので、恭子は問題にしなかった。
ただ少し考えてから、
「みんな悪いんだけど、オーパに報告したことはここだけの秘密にしてくれない?」
「それは……」
「お願い」
「……いつまでもは無理です。いつまで秘密になさいますか?」
「明日の朝、七時まででいいわ」
「それならば可能ですが……なぜその時間なのですか?」
「ドイツは今、Sommerzeit ……ええとつまり夏時間、だから日本時間マイナス七時間なの。あっちで日付が変わるまで待ってって事」
「なるほど、わかりました」
ドイツ語の電話の直後のせいか、語彙が少し混乱していた。
その先はガードの立ち入るところではないので、彼らは何も尋かなかった。
やがて車は自宅に到着した。
恭子が家につくと、さっそく母に捕まった。
着替えだけすませると速攻で、いつも皆でお茶する部屋に連行され、いつのまにか戻っていた兄たちも同席しつつ事情を尋ねられた。
そこで恭子は、今日学校であった事を全て話した。ガードが録音をとってある事まで。
途中で帰ってきた父も参加し、そのガードの録音を皆で聞いた。
「なんてことだ。これは本当に婚約破棄だな」
「先日、江崎の方に確認したお電話では問題ないって事でしたけどねえ……」
「たぶん浩司くんの暴走だろうね。
でも、学生といっても次期当主で、しかも社交界にも出ている身だ。学校という公の場でここまで言い切り恭子を罵倒までしている以上、今さら冗談でしたではすまされんぞ」
「ちょっとまって父さん、江崎本家に確認してみるべきじゃ?」
兄のひとりがスマホを操作して、電話をかけようとした。
「いや待て螢一、電話するのは後でいい」
「なぜです?もしかして江崎側の意思統一待ちですか?」
「そうだ」
「いや、それこそ今かければ、婚約破棄自体を冗談にしてしまう事もできるんじゃ?」
「それは意味がない。むしろ悪手かもしれん」
「悪手、ですか」
「それをしたとして、恭子が第三者もいる場所で無礼な事をされた事実も、そして恭子が言われた事も、全部冗談だから不問ねと言われて納得できるか?全てナシにできるか?」
「それは……無理です」
「そういう事だ」
口ごもった兄に、父は重々しく答える。
「この件をなかった事にするとしたら、それは失言であった事も含めて正式な謝罪をもらってからの話だ。あとはその浮気相手の女とやらを二度と近づけない、もし近づけた場合はそれなりの報いを支払わせる旨の江崎としての正式な念書も含めてな。
最低でもそこまでやらんと、たとえ今回の事が解決したとしても恭子を安心して渡せんのではないか?」
「はい、そのとおりです。僕もそう思います」
父の言葉に納得したのか、螢一と呼ばれた兄も大きくうなずいた。
「とりあえず、こっちは婚約破棄受諾の前提で準備をしておく。何が起きるかわからん。念のために極秘事項として晴子にも知らせておけ」
「晴子姉さんに知らせるって事は、影山家にも知られますが?」
「嫁入り先だから仕方あるまい。確定じゃないからという理由で緘口令をしいておけ」
「わかりました」
しばらく色々な話をして、とりあえず夕食まで解散となった。
部屋に戻ると、恭子はクローゼットを開けた。
中にはたくさんの服が並んでいるが、その中から春の装いと思われる服を取り出した。まちがっても真夏に着る服ではないが、そのかわり、それは重ね着を前提にしたもので、着ても脱いでもそれなりに映えるデザインになっていた。
次に恭子はデイパックとパッキング袋を取り出した。服を丁寧にたたんでからパッキング袋に収納し、そして圧縮して小さくしていった。
パックされたそれをデイパックにいれて、そして次にとりかかる。
そうやって荷造りをしていた恭子だったが、ふと視線に気づいて振り返った。
「なぁに、恭司お兄様?」
そこには次男の恭司がいた。
「何をしてるんだい、旅支度のように見えるけど?」
「笑わないでね?」
「内容によるかもな」
「荷造り。傷心旅行用」
「それはまた気が早いな」
困ったように恭司は肩をすくめた。
「予想はしてた事なんだけどね。でもやっぱりダメ、頭冷やしに行きたい」
「まだ確定じゃないだろう?」
「『まだ』よ。結果は決まっているのに、早いか遅いかのお話につきあうのはごめんだわ」
恭子は断言するように言うと、恭司の顔を見た。
「そもそもお兄様、ここへは確定を知らせに来てくださったんじゃないの?」
恭司はその反応にちょっと口ごもると、ためいきをついて答えた。
「やれやれ、かなわないね。そう、確定だよ。
江崎本家からとりあえずの連絡がきた。正式の謝罪と正式な婚約破棄の話は明日だが、婚約破棄自体は間違いないそうだよ。ひとまずは急な話をお詫びしますと言ってきた」
「そ」
そういうと、恭子は黙って荷造りを再開した。
「行き先はどこかな?服装からすると涼しいとこだよね?北海道かな?」
「まだ決めてない。でも暑いから、できればオーパのとこ」
「……いきなりドイツかい?いくらあの人でもビックリすんじゃないか?」
オーパの名に、若干の警戒心を滲ませて恭司は言う。
無理もない。それにはちょっとした理由があった。
恭子は間違いなく石上本家の末娘だが、生まれつきちょっと風変わりだった。
どこが違うというわけではない。確かに日本人顔だし日本の赤ちゃんだし、両親の特徴をそれぞれに受け継いでいる。だけど、何かそういうのとは違う不思議な雰囲気をもつ子だった。
そしてその不思議さが、生まれたばかりの石上の末姫を見に来たハノーバー総帥の心をもろに射抜いてしまった。
石上家とハノーバー家は曾祖父の代からのつきあいになるし、お互いに行き来もある。直接の婚姻関係こそまだないが、両家をきっかけにいくつもの企業が提携したり、和解したりしてきた。あくまで日本の旧家で海外進出はあまり得意でない石上だが、人的交流は盛んだった。
しかしその中でも、今代の総帥と恭子の関わりはかなり特殊だった。
恭子を溺愛しているのは間違いない。大変なかわいがりっぷりだった。ハノーバー家の子供たちですら総帥自らおしめを替え、言葉を教えた子供などいないのに、恭子はその愛情を受けて育てられた。
おかげさまで恭子は日本在住の旧家の娘でありながら、最初に覚えたのがドイツ語の『オーパ(おじいちゃま)』というありさま。江崎との婚約者になってからは外国の知り合いも増えたが、友達といえるほどに仲がいい者は圧倒的にドイツ人かドイツ語話者。
このままいけば遠からず、恭子はドイツに連れて行かれてしまうのではないか。
十年前それは現実になった。恭子を本気でハノーバー本家の養女に迎えたいと、総帥個人でなくハノーバー本家の名で打診があったのである。
当然、石上では大騒ぎになった。
石上が日本の旧家であるように、ハノーバーも立派なドイツの旧家である。いくら親しくても東洋人の女の子を一家に入れる事はできないので、後見人として長期留学の打診くらいだと考えていた。
なのに後見人どころか、まさかの養女。
しかも困ったことに恭子自身も乗り気で、わかったと荷物をまとめだす始末。
石上家の者たちは話を止め、恭子を止めるのに大変な苦労をしたのである。ちなみに江崎の嫡男との話もこの頃に出てきたものだ。
今も石上とハノーバー両家の交流も続いている。特にこのあたりは問題もない。
そもそも、家族ぐるみでつきあうほど仲がよいからこそ養女の話なども出たのだし。
ただ総帥と恭子ふたりの話となると、石上側には未だに微妙な空気が漂うのも事実だった。
そんな兄の重い心を知ってか知らずか、恭子は笑った。
「ハノーバーのお家だったら、会社から情報回ってるかもしれないよ?」
「会社?ああ江崎との提携経由って事か?」
「うん」
そんなもん無視して直接リークした恭子がここにいるが、もちろんそれは口に出さず。
なるほどな、と恭司は納得げにうなずいた。
もしここにいたのが長男の螢一だったら、恭子の自作自演に気づいたかもしれない。
だが恭司はそこまで鋭くない。
あれこれと話をした後、恭司は普通に恭子の部屋を出て行った。
夕刻になり恭子が食事に降りてくると、一騒動が起きていた。
「えっと、どうしたの?」
「ドイツから電話だって。ハノーバーの爺さんから」
「え、オーパから?」
なにそれ早っ!と恭子はびっくりした。
「電話がきた事には驚いてないんだ?」
「え?うん。いくらなんでも早すぎるとは思うけどね?」
「そうだよね。いったいどのルートで知ったのやら」
「本当だよね……」
考えこむふりをしている妹。
困った妹だと横目で呆れている長男。
要するに賢しい兄にはしっかりバレているのだが、さすがの恭子もそこまでは気づいていない。
「で、オーパは何って?」
「夏休みの間、恭子をドイツにってさ」
「あら素敵。実はお願いしようと思ってたところなのに」
「傷心旅行にしては遠くないか?」
「うん。十年分のリフレッシュ」
「十年分か……」
「うん」
はぁっと、恭子は大きくためいきをついた。
「……」
その恭子の顔に、嘘偽りのない精神的疲労の色が見えてしまい、兄は沈黙した。
そう。
小学校に入る前からはじまり、ほぼ十年も準備してきた相手に婚約破棄されたのだ。しかも相手が浮気の果ての裏切りという、ありえない状況で。
ひとの人生は、二十歳までで半分だという。
しかも、その中の六歳あまりからの十年の束縛。
なんでもないように振舞っているが、そりゃ精神的に参っていないわけがないと螢一は思った。
(ドイツ行きには色々言いたいとこはあるんだが……今回は反対できないね)
実の祖父のように慕うあの老人の元なら、間違いなく妹は元気になれるだろう。そのままハノーバーの子にされかねないが。
だが仕方ない。かわいい妹の笑顔に勝るものはない。
螢一は小さくためいきをつくと、まだ電話で言い合っている父親の方に足を向けた。
少しして恭子は父に呼ばれ、螢一の説明と同じ事を言われた。
「おまえが望むなら夏休みはドイツでどうだ、とな。むかし、おまえたちが母さんと遊びにいった時の別荘らしい。遅くとも明日の朝にはもう一度連絡をしてくるし、おまえからかけてもいいそうだ」
「はい」
「それで、どうする?おまえの顔を見れば乗り気なのはわかるが……いきなりドイツで夏休みとか、いくら総帥がいても彼とてヒマではあるまい?」
「問題ありません。むしろお願いしようと思っていたくらいですから」
そういって、恭子は寂しげにためいきをついた。
「このまま日本にいても、もやもやした嫌な気持ちで夏を過ごしそうだもの。
お父様、お母様、わがまま言ってごめんなさい。しばらく日本語のない環境でゆっくりさせてほしい」
「……」
「……そうか」
螢一同様、父も母も……いや、家族の皆が、ここ何年もの恭子のがんばりを知っていた。
そして、ここしばらくの悲しい顔も知っていた。
ゆっくりしたいという言葉の中に、どうしようもなく疲れた恭子の精神状態も敏感に嗅ぎとっていた。
いつもの恭子なら『日本語のない環境』なんて、家族に不安感を抱かせるような事を言う子ではない。小さい頃から恭子は、そういう心遣いを忘れない子だった。
そんな事すらもできないほど、この子は疲れ切っているのだと。
だからこそ。
可愛い末娘を、末妹を、石上の家族は止められない。
「わかった、おまえの好きにしなさい。ただし」
「?」
「向こうから毎週ちゃんと連絡すること。それは忘れないように」
「はいお父様。……ありがとう」
恭子もまた、あえて送り出してくれようとしている皆に気づいたのだろう。
泣きそうになった恭子を父が抱きしめ、そして母が抱きしめた。
やさしい空気が、そこにあった。
翌朝。
ドイツに連絡して航空便などの指定を受けた恭子は、リュックしょってにこにこと皆の前に立った。
「恭子。本当に荷物それだけ?」
「うん。一回分の着替えと寒い時に羽織る一枚、念のために細かいのが色々と、それからスマホと充電器とキンドル。結構多くなっちゃった。だめだねえ私」
「いや、充分に少ないと思うよ」
「バックパッカーじゃあるまいし……すごいね」
冗談でもなんでもなく、渡航する事以外全く考えてない荷物だった。
「だって成田からハノーバー直通だし。迎えにきてくれるっていってたし」
ちなみに、成田までは車で送られるからと小銭すらも持っていなかった。いくらなんでも割り切りすぎである。
「じゃあ、いってきます!」
「ん、元気で帰ってこい!」
「はい!」
家族は見送りに行けない。この後、江崎から婚約破棄についての正式な謝罪が来るからだ。
本来、恭子は江崎の御曹司同様、今回の中心人物である。しかし直接の二人の間では既に話が終わっており、あとは両家の、背後の大人たちの領分。
クルマに恭子が乗り込み、そして走り出した。
その車が遠くなって見えなくなると、父親が肩を落とした。
寂しげな夫に「さ」「あ、うん」と妻がうながし、皆は家の中に戻った。
あとは引き受けた。楽しんで来なさい。
そして……できれば元気にかえってらっしゃい。
それは石上の家族全員の、偽りなき気持ちだった。
ドイツのハノーファー空港に成田からの飛行機が降り立ったのは、もう夜だった。
所要時間は12時間を超えるのだけど、時差が大きいので昼に出ても夕刻に着いてしまうのだ。現地でクタクタなのはイヤなのでフライト中に眠るようにしていたが、興奮状態は隠しようもない。なかなか眠りつけず近くの席の子供と遊んだり、キンドルにいれてきた本を読んだりして時間を過ごした。
日本からの直通便なので機内は日本語も多いが、ドイツ語もたくさん聞こえてくる。近くの席の子はドイツ人らしく、彼らもドイツ語だった。
オーパ(おじいちゃん)に会いに行くんです。
こう言ったら、大抵の子持ちの親御さんは何故か親切になった。
恭子は日本人基準でも童顔なので、欧米人にはしばしば完全にお子様扱いされる。恭子はそれがイヤなので普段はすぐに気付くのだけど、心はもうドイツに飛んでしまっているので気づかないし、大抵の親御さんも恭子の嬉しげな顔を見るに、まだ子供なのにはるばる東京から飛行機で、しかも満面の笑みで会いに行くと知って、こんな可愛い孫をもつおじいさんは幸せよねえと話し合う。
微妙に正解で微妙に間違えている。
そんな和やかな時間も、空港に着けば終わる。
特有の寂寥感のある入国手続きをすませ、ようやく一息をつく。
手荷物が背中のリュックだけなので気軽に歩き出し、案内に従って出口に向かう。
迎えは、どこかな?
リュックからスマホを取り出した。ただし石上家で皆が見ていたのとは違う、黒いビジネスライクなデザインのもの。
日本ではあまりメジャーとはいえないが、かつて欧米でスマホといえば定番だったマシン。日本でもオバマ大統領が使うのでかろうじて知られているものの、あまり一般的とはいえない端末。
恭子のかわいらしげな姿からはちょっと浮いているそのスマホには、ハノーバー家のロゴが刻印されている。しかも直系の家族に振られている通し番号まできっちりと刻まれていて、さらに持ち主名なのか、Karen H. とも刻まれている。
スマホの刻印に気づいた近くの店員がアッという顔をするが、恭子は気づかない。
「Hallo Opa, hier Karen...」
名前を告げる前に悪戯っぽく微笑み、そして『恭子』でなく『カレン』と告げた。
そしてフムフムと話しつつ、指示された方向に歩いていく。
やがて。
「カレン!」
「オーパ!」
探していた存在をみつけた恭子の顔が、ぱぁぁっと笑顔になった。
スマホをポケットにおさめると、走り出した。
その向こうには、笑顔で両手をひろげた。ひげ面の白人紳士。
「オーパ!」
がばっと抱き着いた。
顔の筋肉がほころび、涙腺が緩むのが止まらない。
紳士もまた、知っている人が見たら目を剥くような満面の笑みだ。
近くにはボディガードがいて、目立たないように周囲の確認をしているが、ふたりの目には当然入ってない。
ずっと、ずーっと小さかった頃、優しく抱き上げてくれた青い目の男性。
恭子の記憶のはじめ、最初にある原風景だ。
石上の娘という認識をもちつつも、同時に家族として常に意識していた存在。
だけど、親の決めた相手と結婚するため、親しい親戚のおじさんくらいの立場に、無理やり心の中で押し込めていた存在。
だけど、ここはドイツ。そして江崎という枷はもうない。
遠く東京から孫が帰ってきて、満面の笑みで迎える老人。
ひさしぶりの帰郷に歓びあふれる孫娘。
それは、どこにでもある光景。
『さぁ、帰ろうカレン』
『うん、オーパ!』
ふたりは連れだって楽しげに、まだ夕刻の赤みが残るドイツの空の下に歩き出した。
(おわり)
※真っ黒い通信端末: 欧米のスタンダードなスマホという事で、オバマ大統領の愛用で日本でも有名になったBlackBerryを想定しています。
なお、海外の端末を日本に持ってきてそのまま使うのは本来法的にアウトですが、実はきちんと日本の技適を取得すれば合法的で使えます。また対応周波数についても、ドコモがBlackBerryを取り扱っている事からもわかるように手配は可能です。(どこ仕様の機体をベースにするかによると思われますが)
※Karen.H. : 正しくは Karen von Hannover。Karenはオーパがつけたドイツ名で、Kyokoと頭文字をあわせてある。




