第8話:次元を切り裂く最強の刀
こちらの準備は整った
後は、順子たちの方だな
一体、どんな要望を求めているのか・・・
世界の危機を救ってくれる順子の願いだからな
ほぼ希望を叶えるために努力は惜しまないつもりでいる
『順子の願いは何だ?? 私を蹂躙するとかは困るが・・・』
『ラインさんは、あたしを何だと思っているの・・・蹂躙って、荒くれかよ!!』
冗談で言っただけだが
これが順子のいつものような反応だろうか
『こちらへ来ているお客が、霜月の一族なんだけどね・・・』
霜月・・・あそこでツイールと話をしている方だろうか
天球に来る存在ということは、六花の先祖ということだよな
『六花の知り合いか、先祖だと思うが・・・』
『六花さん・・・あの素敵な方ですよね』
ん??
愛理が六花を知っている・・・
過去に遭遇したことはあるか
だとしても、異常なくらいな反応をしている
『愛理は百合属性か・・・順子に麻里華に六花にまでときめく、青春だな・・・私は好きだぞ』
『ラインさん・・・困ります』
私まだ何もしていないのだが
別に何をするつもりもないのだが
『ラインさん、大事な愛理ちゃんに手を出さないで下さい・・・あたしを代わりに』
『何だ、お前こそ・・・私を何だと思ってるんだ??』
私も順子も、相手をネタ的に遊びに使っているみたいだな
これに関しては、別にどうでもいい感じの流れだとは思うが
『もういいか、順子すまない・・・そちらの要件を話してくれ』
『何だかんだ、あなたも真面目よね・・・』
もう、詳しく追求もしない
時間がない事もあるが
恥ずかしくなってしまうから
『リーアを倒すために22部隊でゲームに参加して欲しい』
大きく出たな
彼女の目標も私とほぼ同じで
愛のある世界を構築したいみたいだが
それに際し、大きな障害としているのが
今のこの世界を構築したリーアという存在
世界の再構築に最も邪魔になるのが
現世界を作った存在
『レッド次第だな・・・隊長は私だが、真の長はレッドだから』
『レッドさんですか・・・では、直談判します』
順子、本気だな
後はレッドに任せようか
『他に何かあるのか?? 個人的な要望も可能ならいいぞ・・・』
『・・・それは、ここであえて必要ないでしょ♥』
これは・・・想像を超える要望をしてくるだろう
愛理じゃないが、成功報酬として
私を提供するつもりで・・・いるか
『じゃあ、私をお前に提供するだけの準備をしておくぞ・・・そのくらいの活躍を期待する』
『縁としての、あたしの意味合いへの対価ってことね』
多分、最も存在だけで意味を成すのが順子だと思う
彼女が世界にいるだけで・・・
『順子ちゃん、ラインの覚悟は本気ですわ・・・あなたも本気でお願いします』
『エリアさんもお願いしますね、あたしを登山するのでしょ~♪』
エリアと順子と私と愛理と、みんなで楽しめる祝賀会でもするかな
まあ、この会は確実にオフレコとなるだろうが・・・
別の機会にでも語れる場所があれば、じっくりと話そうじゃないか
『ラインさん、面倒だから・・・あたしと愛理も一緒にそちらへ行きましょうか??』
『私からもお願いします、公私混同だと言われても麻里華を助けたいし会いたいから~!!』
少しだけ、駆け引きに対して卑怯だと思ったのは
永遠を誓った相手を取引材料のようにしてしまったから
実際、事実ではあるが・・・やはり、まだまだ甘いのかもしれない
感情をもっとクレバーにコントロール出来ないとレッドにも申し訳ない
でも・・・簡単には変更できないのが辛いところでもある
更に、思っていた流れとは違う展開をどのようにするかも
これからの大きな転機となりそうだ
『わざわざ、私の能力で移動することもないだろう・・・私は別の人を連れて行こうと思っているし』
この私の言葉に
順子は珍しくか、どうかはわからない
激しく反応して小柄な身体なのがあって
胸ぐらを掴もうと最初思ったようだったみたいで
身長差を見上げるようにして、泣きそうなくらいな表情で睨む事にしたようだ
正直、この可愛い存在を愛おしく思うくらい
素直な反応をされると・・・私も義理ではあるが母親という立場上
どうしても相手を抱きしめたくなってしまう
『何が言いたいのか、したいのかは・・・私にはわからんが、お前のそんな表情を見たら・・・』
これが女神の衝動とも言える
欲望に抗わない、理性を本能が支配する
根本的な強さとも思っていいだろう
素直に心の思いを出す事で
本来あるべきリミットを崩壊させるだけの破壊力を生み出す
『勝手に自分の世界から人を持っていくなって、言いたいのか??』
何だろう、順子って
こんなにも幼く見える感覚に
私が人さらいでもするかのような言い草
でも、半分そのような形だろうから
100%嘘だとは言えず
しかも、順子が急に泣きそうな・・・いや、大粒の涙を溜めた状態でフルフルしている
『わかった・・・順子と愛理以外は、お前の許可なく連れて行かないから安心しろ!!』
『約束ですよ・・・あざといとか言われようとも、本気ですから』
これを武器に迫ったら・・・
レッドには危険な効果となりそうだ
先に知っていて、よかったかもしれん
絶対に、レッドを狙う事は
過去の事例ではっきりしている
どういう理由かは、知りたくもないが
強い遺伝子を子孫に残したいらしい
そんなので息子の貞操を死守するのは
母親としての使命でもある
認めた相手以外には、ダメだ!!
『ある程度の規制はさせてもらうぞ、順子は特に危険だからな・・・愛理も一応な』
『私もですか・・・仕方ありません、ですが戦闘時は除外でお願いしたいです』
『そうだな、氷機と私がOKした相手には全力で挑めるようにしよう』
『ラインさんの敵に対して、協力すれば問題ありませんね』
完全ではないだろうが、渋々でもなさそうだったから
順子も愛理も大きな不満はないみたいだ
『元々エリアを置いて、ツイールと一華あたりでも連れて帰ろうと思っていたのだが』
『姉様とツイールさん!? また、あたしと戦うつもりですか!!』
今度は、過去の争いを思い出して
怒り出す順子だったが、別に私は単純に救える人材としてセレクトしただけで
過去にやった、順子とのバトルを再来させるつもりはない
『方舟の沈黙に有効な人材だっただけで、別にお前と争う気はゼロだぞ!!』
『それでしたら、私が最も有効だと思いますが・・・次元刀は“attack”状態ですから』
次元刀というのは、多分・・・いや、全ての武器中最強の装備だろう
方舟だろうが、戦艦だろうが、聖域ごと空間を消失させるだけの威力を持つ
女神も存在ごと消すことができる
まあ、女神は消したとしても・・・百年くらいあれば復元できるが
最近、ずっと“stay”状態で
使えない事が多かったから
今回・・・愛理の存在意義が注目されてしまうだろう
閉鎖空間である、電脳異空間は
女神の能力を通じさせないから
ビジョンを含む透視系スキルも不可視状態だから
リアルタイムでの発覚はないだろうが
時間差でジオクロニクルに載ってしまうと
愛理は全女神から狙われる事になる
順子と結託して愛理を守るようにすれば
今度は、順子と戦わないで済むかもしれない
『愛理いいのか・・・自分でも理解しているのだろ??』
『あなたも私を助けてくれるのですよね??』
う~ん、この愛理はあまり人に頼る事をしない感じに見えるだけに
ここまであからさまに言われると・・・
これこそ、あざといのではと思うぞ
『・・・愛理は、こうやって麻里華も順子も手懐けてきたのだろう』
『何のことですか、私は真面目にあなたの能力を頼っただけです』
・・・ふ~
疲れるわ・・・
しかし、ラビリアに似ている愛理を見ると
どうしても、助けたくなる
『順子と共に女神のバトルに参戦する形で、お前を死守してやろうじゃないか』
『今回は、あたしと組んでくれるのね・・・順子とラインのタッグは確実に最強よ~♪』
同じ属性、宝石、胸のサイズな私と順子に勝てる女神は存在しない・・・と思う
最後は余計な情報だったか、まあ・・・仲良し火属性コンビの誕生だな
『よし・・・早く戻ろうか、瞬間的ではあるが麻里華とトールが危機になっているだろうから』
『トールちゃんって、恋敵ではなかったですか・・・ラインさん??』
・・・
わかっているが、トールは一応仲間だから
愛理を狙うようになれば、わからないが
現状は、そのままだ
『順子、あまり仲違いするような発言はしないように・・・折角、こちらにいるのですから』
『・・・そうね、ごめんなさいラインさん』
従順な順子は、愛理の手懐けによるものだろうか
コンビというが
順子と愛理を含めた完全版22部隊を結成すれば
本気で無敵の部隊が完成する、と思う
『ラビリアが世界開放に無茶したから、レッドも覚醒を始めて、使えるのが六花だけでコントロール系は苦手だから・・・説明をここでしてから、戻ろうかと思う』
『順子包囲網を既に用意しているみたいですね・・・ラビリアさんの代わりになるかわかりませんが私が操舵をしてみましょうか??』
そう言えば
ラビリアシステムの基礎は、彼女のシステムの完全版だったな
基本概要は愛理の方が詳しいかもしれない
素直にお願いしてもいいだろう
『お前には、大きな負担になるかもしれないが・・・代償は私が負うから、すまないが頼む』
戦いと指示とシステム運営と
かなりの負担となる
ラビリアは元々そのように動ける存在だったりするから
特殊な形であるが
『次元刀の管理に比べれば、容易だと思いますよ・・・ふふふ』
妖艶な微笑み
世界の全てを斬れる刀の維持
その管理に費やす能力が、どのくらいの難易度なんだろうか
考えたこともなかった
『活性化中だから、比較的楽らしいですよ・・・ラインさん』
『順子・・・腰を揉みながら発言する意味あるのか??』
このスキンシップに意味はあるのかは、今はとりあえず置いといて
能力を封印した状態での管理よりは、少しは楽らしい
『方舟も一刀両断します・・・』
戦闘力に影響しないのだろうか
青白い光を淡く放つ次元刀
持ち主の属性色に大きく加担するみたい
戦闘力ではなくて、別ベクトルの数値測定をしてみようか
装備攻撃力を数値化させるには、電脳異空間に戻ってからだ
ラビリアが喜びそうだな・・・
『デバイス共有をしましたから、ラインさんのデバイスでもこちらに伝達可能です』
『本当にラビリアみたいだな・・・愛理も眼鏡好きだったりするのか??』
属性が違うから
見た目は相違だが
雰囲気というか、科学者気質な部分というか
ネットワークシステムを開発しているラビリアも愛理も
更に、他者の装備や存在の概要などの興味の持ち方など
幾度と遭遇しているが
また、似たような質問をしてしまった
『眼鏡は好きですよ・・・順子にも麻里華にもお揃いの眼鏡を提供しましたから』
『それで、眼鏡のフレームが属性色じゃないのか』
ラビリアシステムでは、デバイスの活性化の際
属性色に眼鏡のフレームが変わるが
愛理のシステムでは、それがないみたいで
全部、青いフレームだった
愛理も順子も麻里華も青いフレームの眼鏡だ
『ラビリアさんのシステムは、完成形ですから・・・属性をより潤滑に発動できるシステムですよ』
『そうなのか、じゃあ・・・眼鏡の方がいいのか』
私が自分であまりメガネを好まないから
無理言ってゴーグルタイプにしてもらって
黒いフレームなんだよな
『ラビリアさんに確認しないとわかりませんが、多分眼鏡の方があなたの能力は開花するかと思います』
『ラビリアの謝っておこう、折角のデバイスだからな・・・これ、ちゃんと装備するぞ』
一応、私用で作ってもらった分がある
ゴーグルを無理にお願いした際に、交換条件として
今のゴーグルからデバイスを交換
眼鏡デバイスを装着した
『女教師みたいですよ、ラインさん・・・カッコイイわ~♥』
『モデルでもあるラインさんは、何でも似合う感じですね・・・素敵です♥』
順子と愛理が私を見ている
穴が開くのではと思うくらいに
恥ずかしいから、やめてくれと言いたかったが
『無駄ですよ・・・あたしの世界では、あたしの掌握が優先しますから!!』
金縛りのように動けなかった
無理に抗う気もなかったが
マネキンの状態とでもいうのか
本気で恥ずかしくなってくる
『素敵すぎるラインさんが悪いのです・・・ね、愛理ちゃんもそう思うよね??』
『そうですね・・・一華さんと比べるだけの世界です』
順子の姉
あいつも相当の身体をしているからな
ジオクロニクルには、ほぼ同率の2位みたいな表現で
私の次に素晴らしい容姿らしい
この基準に関しては、自分が1位であるが・・・どうも納得はいっていない
数値的な部分で黄金比とか、様々な角度からの採点らしい
ラビリアはこの話をすると・・・私以上に私を褒めるから
あまりしたくなかったりする
愛理も似た感じらしく
一華が2位で、その次に順子が3位だから
妥当、ラインとたまに暴走するみたいで
時折・・・私を罵倒する順子のテレパシーがあったりもした
まあ、無駄話はこんなものでいいか
『ラインさんは、身体もですがスキルにも興味があります・・・今度、詳しく調べてみたいのですが??』
『愛理もか・・・ラビリアにもよく言われて、怪しい実験に付き合わされているぞ』
『そうですか・・・やはりラビリアさんとのコンタクトは必須ですね、ふふふ』
愛理とラビリアのコンビは、私にとって脅威となりそうだ
しかし、どうも断れないのが困る
『愛理ちゃんの計画は、後でね・・・ラインさんから情報を伝達できたから、そろそろ行きましょう』
『演算に関しては、順子の方は高いのか・・・この点も近いのかもしれないな』
知識の量で言えば、愛理とラビリアが圧倒的に豊富だ
しかし、それを発揮するスキルなどの発動に要する演算能力に関しては
私や順子が、宝石の違いもあり
速度でも精度でも異常とも言えるくらいに高い
だからこそ、順子は愛理を私はラビリアをパートナーとして
一緒にいることを選択したのだろう
『よし、世界を頼むぞ・・・特に愛理』
『わかりました、一撃で終わらせます!!』
『愛理ちゃん、かっこいい~♪』
左右に順子と愛理を従え、電脳異空間へ帰還する
エリアにはしばらくの間
こちらの情報収集と順子の代理をお願いしてある
ツイールにも許可を得ているし
大暴れする、順子と愛理の勇士が久しぶりに見ることができそうだ
特に愛理の“空間斬”は初見だから、しっかりとスキャンしておかないとな
『後は、お願いしますね~少し出張してきま~す!!』
『行ってきます』
空いている手を振り、残る相手へ挨拶をしている
私は両手が塞がっているから、振ることはできないが
一言だけ・・・エリアに労っておこうか
『エリア~!! 戻ったら、別に私を自由にしていいぞ~♥ っと、フラッシュゲート オープン!?』
反応を待たずにスキル発動
恥ずかしくて、エリアを見れないし
もう、この発言でエリアが望む事もわかっているし
ある意味、決まり文句だと思っていい
私と順子と愛理は、天球を後にして
スキルによる次元移動を行う
目的地は、電脳異空間の方舟の目の前
瞬間的な移動であるが
概念的な感覚は、次元同士の場所の距離で若干だが余裕ができる
その刹那な時間で愛理が次元刀の準備を行っていた
これに関しては、演算では無理なんだろう
スキルとも違うみたいだし
何より、この状態で行動自体ができないから
見るという行為ですら、ほぼ皆無に近い
先読みのスキル
到着後の数秒を見ている
シミュレーションも重要な指揮だったりするから
この行為は便利で
危機回避などには特に役立つ
10秒といったが
確実にその10秒後に戻るとは限らない
分単位での誤差が生じた際の対処も考えないといけない
渡る時はいいが、戻る時は
この誤差が最も危険な部分である
通常なら、あまり支障が出ないが
有事の最中で、しかも方舟は主砲の充填中だ
この主砲の照射タイミングを間違えると
既に世界が崩壊している可能性もある
最悪、世界再構築を行えばいいが
折角の順子と愛理の勇士を見ないわけには、勿体無い
だが、どうやらギリギリ間に合ったようで
到着した際・・・まだ麻里華とトールが交戦中だった
六花:「隊長殿、10分経過しています」
ライン:「そうか、すまん精度調整がまだ曖昧だった」
順子:「六花ちゃん、お久しぶり~!!」
六花:「順子殿!? あ、お久しぶりです」
かなり、動揺しているな
まあ、連れて行ったエリアが順子と愛理で戻ってきたのだから
ライン:「最小限でも40%の空間消失は免れないと、警報を発令してくれ!!」
六花:「・・・わかりました??」
疑問に思うのは当然だろうが
今は、時間との戦いでもある
順子にはこの世界ではあまり能力は使えない部分あるだろうから
愛理:「六花さん、空間斬の被害は方舟と後方の空間に出ます」
六花:「愛理殿・・・空間斬ですか、わかりました・・・すぐに対処します」
この対応力が六花の素晴らしいところだ
疑問に思いながらも、指示を真っ先に行う
隊長として、優秀なサポートをしてくれる六花には
いつも感謝しても足りないくらいだから
ライン:「六花が好きな事を後で叶えてやろう・・・私からのささやかなお礼だ!!」
『ラインさん、防御最大で展開できますか??』
『ん・・・主砲を照射させる気か!!』
愛理の打診
どういう意図があるのか
先を見据えた意味があるように思えるが
『愛理ちゃんを信じて、あたしも防御しますから!!』
『わかった・・・全力で展開しよう』
こちらへ連れてきた時点で任せると決めたのだから
最後まで任せるのが、当然の礼儀だ
ライン:「麻里華、トール下がっていいぞ・・・助っ人を呼んできたから」
麻里華:「・・・はい、ラインさん」
トール:「助っ人なレベルではない気もしますわね・・・頂点を呼んでくるなんて、うふふ♪」
方舟自体は、まだ何も攻撃をしてきてはいないようで
単純に麻里華とトールが充填の進行を遅らせていただけだ
『麻里華~!! 私、愛理です・・・愛理よ~!!』
急に愛理が叫びだす
感動の再会だし、仕方ないか
『愛理!? 嘘、ラインさん本当に連れてきたのですか・・・』
『私がお前に嘘を言う意味はない、それに最も重要な存在だしな』
『感動の再会の儀式は、方舟を消した後に好きなだけ行って下さい』
抱き合う愛理と麻里華にトールが釘を刺す
充填完了まで少しあるし、別にいいじゃないかとも思うが
『トールちゃん~♪ あたしが抱きしめてあげるわ~♥』
順子も面白いことをするな~くくくっ
トールを抱きしめて、自分の胸にトールの顔を埋めている
『麻里華・・・トールさんの言う通りです、私が方舟を消してきますから少しだけ待ってて』
『うん、愛理・・・気をつけてね』
科学者から剣士になる瞬間
次元管理ではなくて、戦いに特化している女神
多分、青い宝石が攻撃力を司るのだろう
トールが1番だとしたら
愛理は、刀を合わせれば2番かトールを超えるかもしれない
ラビリアにも見せてやれるように
しっかりとビジョンを記録しておこう
スキャンは、防御と同時でも可能だろうから
次元刀の威力・・・しっかりと把握させてもらうぞ
六花:「次元刀の“空間斬”は霜月流の“居合抜き”に近い技法で行われます」
ライン:「居合抜きか・・・方舟を瞬殺する気は本気だったか」
順子:「過去に、あたしも斬られたし・・・あんなの雑魚よ」
電脳異空間の完全版を凌駕しようとしている
あの方舟が雑魚!?
次元自体も斬れるのじゃないか
名前が物語るみたいな感じで
警告:世界崩壊警報発令~!!
警告:世界崩壊警報発令~!!
方舟の主砲の充填が完了したようだ
前方が黒く輝く出す
『ラインさん、防御は前面に集中でお願いしますね??』
『ああ、わかった』
順子と同じ防御スキルを展開しようと思い
何を使うのかを見ていたが
逆に、順子も私が何を使うのかを待っていたみたいで
『早く使って下さい・・・間に合わなかったら、ラインさんの責任ですからね!!』
なんて、怒り出す始末
私が悪いのか??
『この世界で私の防御スキルを選択できるのは、多分レッドかお前くらいだろうから・・・』
『うふっ♪ そうかもしれないわね~ふふふ』
何で、ここまで楽しそうなんだ
生粋の戦闘民族なんだろうか
火属性でルビーで好戦的な存在は・・・
やはり頂点たる順子は、戦いを呼び寄せているな
だから、天球が激戦地になるんだろう・・・きっと
『面倒だから、一番出力のあるスキルでいいか・・・フレイムオーラ オープン!!』
『見境ない感じ、嫌いじゃないです・・・フレイムオーラ オープン!!』
はははっっ、順子も・・・
他属性に対しては、攻撃しているのも同等なんだぞ
麻里華とトールに危害が及ぶとも限らん
なんて、思ってないだろうな・・・私もだし
『麻里華さん、もう少し離れましょう・・・こちらを守る気はありませんわよ』
『そのようですね、トールさん』
そうだ、自分は自分で守れ
こちらは方舟の主砲のみを防ぐだけの防御展開だ
『ラインさん、順子・・・1分で終わらせます』
1分だと・・・
主砲を防ぐために展開させたと思ったが
空間斬の威力、相当危険と見た
『次元刀の切れ味は、あたしのお墨付きよ☆彡』
だろうな、自分が斬られたらしいから
それはそうだろう・・・女神の頂点を斬る刀だぞ
私も耐え切れないだろう
防御スキルを展開している前に立つ愛理
主砲の照射ごと葬るつもりか
『なあ、順子・・・隠し事はなしでお願いしたいのだが』
『あ~やっぱり、わかります??』
何だ、あっさりとしているな
これは多重にギミックを用意していると思っていいか
『全てを晒せとは言わないが、世界の存続に関わる戦いをしているのだから・・・ある程度の開示はお願いしたい』
『ですよね~愛理ちゃんの持っている次元刀はね闇属性なの・・・だから、方舟の主砲を吸収したいみたいよ』
吸収!?
エネルギーに変換させるということか
厄介を通り越して、恐怖しかないな
『そうか、私の苦手な分野みたいだ・・・これ以上はラビリアに任せる』
『闇属性苦手なんですか・・・って、あたしもダメだけどね~』
火属性は特に闇属性を苦手とする事が多く
基本的に火属性が高い能力を保有するから
女神の始まりである、リーアという存在が闇属性で
大体が彼女の影響だったりする
詳しくは聞かないで欲しい
話すのも嫌だから
『参る!! 次元刀奥義-空間斬-』
スキャンしているターゲットの数値が振り切れた
あらら、私でも無理だったようだ
神を斬る刀の能力は無限だと・・・う~ん
照射される主砲を刀が吸収していく
予備的に防御スキルは、無駄にも思えるくらいだったが
本当の備えは、これから
斬った後の空間崩壊の阻止に役立つことになる
警告:空間異常発生 現在 修復不可能
警告:空間異常発生 現在 修復不可能
六花:「方舟の戦闘力0 存在確認出来ません」
ライン:「修復に専念しろ・・・頼んだぞ!!」
六花:「はい、隊長殿も順子殿もお気を・・・」
直接リンクしているネットワークにも影響してきているな
最後まで聞き取れなかった
それに、通信自体が不能になってしまっている
『方舟以上に脅威だったか・・・愛理自体も危険じゃないのか??』
『う~ん、どうなんだろう・・・一体化しているから』
一体化・・・愛理と次元刀が同化しているのか
どんなシステムなんだろう
これが落ち着いたら、愛理を調べよう
これでは、住民も不安になるかもしれないな
テレパシー:対象・世界全土
ライン:『聞こえるか?? 私は、女神ラインだ!!』
ライン:『現在、氷機の召喚した方舟の影響による空間消失が起きている』
ライン:『しかし、私の友人である別の世界の女神が一緒に危機を救ってくれるから』
ライン:『少しだけ不安かもしれないが・・・確実に安定させてやるからな、以上だ!!』
『強引な女神ですね・・・あたしでもしないわ』
『うるさいな・・・私の世界なんだから、いいだろ』
前方で黒く歪んでいる空間を見ながら
襲いかかる闇を全力で防いでいる
愛理の起こした空間の歪みは
計算された攻撃により、海面を主体とした空間の消失となっていた
後方に関しては、どうしても不可だったらしいから
私と順子にお願いしたようだ
実際に1分では終わらなかったが
(愛理の戦闘は30秒もかかっていないが)
5分未満な防衛で、安定レベルに戻っていった
六花:「通信回復・・・空間消失10%まで修復しました、後は自然治癒で戻ります」
ライン:「そうか、六花ご苦労だったな・・・後で抱きしめてやろう」
六花:「抱きしめる!? 隊長殿、自分はそんなつもりでは・・・」
順子:「じゃあ、あたしが代わりに抱きしめようか~??」
六花:「順子殿・・・いえ、ダメです!!」
まあ、とりあえず危機は脱せたな
でも・・・確実にラビリアに怒られるぞ
『あたしもラビリアさんに一緒に謝るよ!?』
順子がスキル展開を終えて、若干ふらつきながら
私に抱きついてくる
『そうだな、お願いできるか・・・まずか、休もう』
余力もギリギリに基地に戻る
連戦にならなければいいが・・・