第7話:青と緑の世界を壊す乱舞
制御下を脱した
解放された空間・・・
世界は、そんな無尽蔵な流れに変わっていた
六花:「麻里華殿、マッハ20で方舟の聖域に突入・・・」
もう、言っている事が異次元すぎる
実際に自分もその部類に入るから
凄いとは思うが
思うくらいで、別に戦況を普通に眺めているだけだ
しかし、麻里華に関しては
早すぎで目視は不可能だ
マッハ20って何だよ・・・
これは、じっくりと観察する必要がありそうだ
夜になったら、隅から隅まで裸にして調べよう
ラビリアも許してくれるだろうか
別世界の女神に興味があると言ってたし
トールも完全覚醒して、かなり大人な淑女になったし
ラビリアの治癒の際にトールは私が癒してやろうじゃないか
テレパシー:深層
ライン⇒ラビリア
どうやら、気絶してしまったみたいだな
エリアのサンシャインを受けて、瞬間的に覚醒していたみたいだが
反動が大きすぎたのだろう
ライン:「無茶しすぎだろう・・・私にはいつも釘を刺すのに~!!」
ラビリア:「・・・私は自分で管理しているので問題ありません」
ライン:「一番心配する相手が同じ状態だったので、咄嗟に判断したのだろ??」
ラビリア:「レッドさんは関係ありません、私の中で最善の策だと思っただけです」
ライン:「・・・戻ったら、トールが治癒するから」
ラビリア:「そうですね、彼女も覚醒したのですよね??」
ライン:「ああ、変身するハンマーで麻里華と交戦中だ!!」
ラビリア:「神器ミョルニルですよね・・・トールは破壊の女神ですから、ジオクロニクルで最大の攻撃力を誇る存在です・・・確実に方舟は沈黙しますよ」
ライン:「あいつが、最強の攻撃力をか・・・信じられない」
水属性の女神が最大というのは、不思議であるが
攻撃力に特化した場合は、戦闘力の振り分けを基礎値で分ける際
極的に攻撃に当てると最大でトールが最も高いのだろうな
ライン:「私、泣きそうなんだが・・・どうしたらいいと思うラビリア??」
ラビリア:「そんなの知りません、勝手に泣けばいいじゃないですか・・・」
ライン:「そうか・・・じゃあ、お前の目の前で号泣してやるぞ!! 覚悟しとけ」
ラビリア:「・・・知りません」
ダメだったか
この作戦は、もう通用しないみたいだな
今まで数回
この作戦は、ラビリアの感性に働きかけて
上手く行っていたのだが
本当に実施はしていなかったから
これは、本気で冗談ではなくて目の前で号泣するしかない
ライン:「私は、抑制して溜めておくから・・・」
ラビリア:「私にそんな脅しは通用しませんから」
ライン:「仕方ないか・・・本題を簡潔に話すから、早く復帰しろな」
ラビリア:「・・・麻里華さんのフルスキャンですか、強制なら参加します」
ライン:「お前は、相変わらず怖いな・・・同意を求めずに夜這いするから、私も何度泣き寝入りしたことか・・・ラビリアから受けた屈辱は忘れない、貞操を失った悲しみも」
ラビリア:「誤解を招くような発言は控えてもらえますか!? 私が鬼畜な存在みたいではないですか」
ライン:「ほぼだろ、お前の強要は・・・私、本気で泣いたのだから」
ラビリア:「あなたの起こした事象の繰り返すによる影響が私にも出始めているだけです」
多重構想の事象のスパイラルを発生させている私だが
これには、沢渡順子という頂点に君臨する次元の魔女と呼ばれる女神の存在が大きく関わっている
本来、彼女は私にとって
倒すべきライバルの扱いであり
過去の事象で幾度と出会いと戦いを繰り返してきている
これによる、恩恵は
彼女との別ベクトルでの争いが可能だと分かった事だ
面白い実験を自ら行っている順子が
私にもその実験に参加しないかと、持ちかけてくる
それに、私が乗っかる形で
大きく事象が変わり始めていった
事象の繰り返しは、同じ歴史を何度も行うために
中心になる存在に全ての因果が集約されていく
その因果は、やがて存在を無限の可能性へと発展させて
結果、最強の存在が誕生する
本来、一人に集まる力が
私にも分散されていくことになり
分配された因果のベクトルの違いで
より、私に対しての力が大きく傾き始めていって
順子と私とが同等の存在へと結ばれた新たな世界が構築されようと、動きが流れている
その最終的な結末を、私と順子で同時に見ようと約束をした
ラビリア:「大きな渦を崩して、混沌とした事象を再構築した新たな世界が誕生しようとしています」
ライン:「そうだな、お前を失うのは寂しいと判断したから・・・レッドと私と一緒に順子との理想郷で暮らそうじゃないか??」
ラビリア:「面白いことを考えていますよね・・・まだ!?」
ライン:「まあ、まだ秘密だから・・・悪いようにはしない、つもりだ!!」
戦いに関しては、確実にトールにも麻里華にも勝てるとは思えない
しかし、次元管理の能力に関しては
誰にも負ける気はしない
世界を構築したリーアだろうが
空間管理のエキスパートのツイールだろうが
頂点たる順子ですらだ
私が、新たな世界の頂点となって
愛で満たされた、最高な理想郷を・・・
ライン:「全てが終わり頃に、また続きを話すから・・・回復中にすまなかったラビリア」
ラビリア:「いつものことですから、気にしません・・・それに私も真のメンバーに含まれているみたいですから、楽しみにしていますよ」
深層へ語りかけて、ラビリアとの対話を行った
これは、刹那の対話であり
実際には2か3秒程度だろう
女神のスキルである、テレパシーの利点は
脳に直接語りかけるから
瞬間的な出来事で、実際は終わっていることだろうか
お互いだけは、数分かけての会話だと認識されてはいるけど
エリア:「ライン・・・割り込んで、申し訳ありませんわ」
ライン:「何だ、お前もメンバーに入っているから安心してていいんだぞ??」
エリア:「違いますわ~!!」
ライン:「覚醒したから、試したのか??」
エリア:「それもありますが・・・方舟に関する情報を思い出しましたの」
ライン:「情報??」
エリア:「ええ、あの二人では勝てませんわ・・・火属性が必須となりますから」
ライン:「だったら、お前が出ればいいだろ??」
エリア:「わかっていて、言ってますわよね・・・わたくしもあなたも戦力外ですわ」
ライン:「属性吸収するのだろ・・・わかっている」
エリア:「あなた!? 負け戦を行うおつもりですの!!」
エリアが凄く怒っている
まあ、無理もない
能力の高い女神であるが
戦闘に特化した形ではない
私とエリアは、世界を管理する際の能力す優れているから
最悪、二人で同時に戦えがとも考えたが
それでも多分、無理だと判断して
実際、どうしたらいいか
レッドのデーモンシステムに頼る方法もあったが
これは、まだ未完成であって
もう少し熟成させる形で、本当のボスに対して使わないといけないから
エリア:「ライン、聞いてますの!?」
ライン:「テレパシーなんだぞ、聞こえないとか逆に無理だから」
エリア:「だったら、わたくしを納得させる作戦を今すぐ実行なさい!!」
・・・あまり、幼馴染を侮辱するようなことはしたくはないが
正直、お節介でうざい
絶対に本人には言えない
だって、今まで一番親身に私を助けてくれた存在だから
色々と犠牲の出る巫女にまでなって
私の理想郷計画の遂行を手助けしてくれたんだよ
自分を殴ってでも、一生言うことはしない
心に思うだけで
恥ずかしいじゃないか、照れるし
お礼なんて、幼馴染には特に言いにくい
エリア:「ライン・・・何か待っている事は、何となく把握してますわ」
ライン:「ああ、私の覚醒を待っていたのだが・・・どうやら見当違いだったみたいで、あはは」
エリア:「・・・見損ないましたわ、あなたはそんな・・・ううっ」
あ、嘘だろ
エリアが泣いてしまうなんて
どうしよう、半分くらい冗談だったのだが
このピンチはある程度だが意図的な運びとなっていて
条件を満たすためのファクターだった
ライン:「泣くな・・・仕方ない、お前にだけは・・・これを見せてやるから」
本来は、見せてはいけないのだが
私の権限で個人のジオクロニクルの閲覧コードは
解除可能で
一部を開示させて、エリアのために
ライン:「こういうことだから、もう泣くな・・・私も無力さを嘆いているのだから」
エリア:「・・・ライン、わたくしのわがままに付き合ってくださるなんて」
強制解除してしまったようだ・・・
これも後でしっかりとエリアを慰める時間を設けよう
私の身体が耐えきれるか心配だが
はっきりと言うと
トールも麻里華も本番の前の前座のようなもので
かませ犬と言えばわかるだろうか
まあ、お供えみたいな感じで
ある大きな事象の流れの一部とでも言うのか
複雑な制約を無視するための処置だと思ってくれれば
とりあえず、3名の女神に助けを求めて
その内の1名から・・・アプローチの返答があり
更に、その相手の世界へ瞬間的な邂逅を行おうと思っている
時間で言えば、10秒もあれば往復可能だろう
稼働時間に実際に流れる経過をそのままなんてしません
最近、習得した最大の特権とも言える技法を使って
サプライズをしてこようじゃないか
どうやら、この世界に来ている麻里華以外のもう一人の女神がご所望のようだし
私も久しぶりの実物の感触を確かめてみたいところだったし
さっき、相手から次元を超えて連絡があったから
ライン:「10秒ほど、天球という別の世界に遊びに行ってくる・・・何か助けのヒントでも貰ってくるから、少しだけ待っててくれ!!」
エリア:「天球ですの!? まだ懲りてませんの!!」
ライン:「懲りるも何も、あいつとは腐れ縁だぞ・・・エリアもツンデレみたいな反応をしているじゃないのか」
エリア:「何を言い出すの!! わたくしは、別の好きでも何でもありませんわ」
まあ、すぐにわかるだろうし
隠す必要もあまりないかもしれないが
頑張っている・・・トールと麻里華
特に麻里華へのご褒美できな意味合いになるだろうか
トールに関しては、レッドとエリアと過ごせれば十分な褒美でろうからな
私とラビリアが嫉妬をどのくらい抑制できるか次第だが・・・
現段階で最も恋愛で言えばラビリアが優位にいる
永遠の誓いをした、私がその次だろうか
レッドは、自分でどのように思っているかはわからないが
トールとも関係を持っている別次元での話もあるわけだ
更に言えば、エリアとの繋がりも
これに関しては、まだ未公開情報だから
後で、詳しく話をしておかないといけないか
六花だけは、情報開示がなされていないから
具体的にどのようにレッドとの関わりを持っていたかが不明だったりする
ライン:「エリアも来るか?? 折角だから事象を少し変えてみたい」
エリア:「そんなラインの気まぐれに付き合うほど、お人好しではありませんわ」
とか言いつつも、私の目の前に移動してきたエリア
六花が居れば、解放されたラビリアシステムの監視下で10秒
私とエリアが天球へ往復するくらいの余裕はあるかと思う
向こうでは、数分以上の滞在扱いとなるだろうけど
どうやら、あちらでも女神の来客が居て
しかも・・・こちらの関係者かもしれないと聞いてきたから
これは、確かめる必要があるじゃないか
エリア:「暴走するラインを制御するのも、正妻であるわたくしの努めですわ~♥」
ライン:「目の前で22部隊回線で話すのは、やめてくれ・・・みんなに聞こえるじゃないか!!」
六花:「自分は気にしませんから・・・隊長殿の恋路に口出しはしません!!」
あいつ・・・何で、少し怒っている感じなんだ??
私かエリアに対して、気持ちがあるからか・・・
う~ん、六花も女性を好む方だったか
それとも単純に公私混同していると真面目だし、思っているのかもしれない
私のメンバーに対しての後処理が必須になりつつあるな
レッドに私のケアをお願いしよう・・・ラビリアには内緒で
ライン:「六花、すまないが10秒だけでいいから・・・世界を頼むぞ」
六花:「承知いたしました、順子殿をお連れするのですか??」
ライン:「どうだろう、あいつ次第になると思うが・・・」
六花は、私の思惑をしっかりと把握しているようだった
しかし・・・相手の意図までは無理だろう
私でも不可能だし
エリア:「・・・愛理ちゃんですわよね、目的は??」
ライン:「まあ、そうなるな・・・今回は順子以上に重要な存在となるだろうから」
エリアの方が、より把握しているみたいだ
私と過ごしている時間が長いだけはあるな
正妻発言に関しては、異議を申し立てたいところではあるが
順子と愛理の関係性は、複雑な事象が絡み合っていて
本人たちの物語を専門で行った際にでも、詳しく語ってくれるだろう
私なんかよりも長い時間を同じ状態で繰り返しているから
同じ状態と言っても、常に進化していて
見た目が変わらないという意味合いでの同じ状態だと思ってくれ
女神は、その身体が女神となった時点で容姿は変わらないから
詳しくは、ジオクロニクルにも書かれていないが
誰かの研究で、最もその個人が輝いている瞬間ではないだろうかとあって
これは、私も少し分かる気がしている
自分もだが、一番脂がのっている状態ではないだろうかと思っているから
この姿で長く過ごしているが
精神に関しては、100%とは言いにくいが
身体は1000%もしくは10000%じゃないかってくらい
お気に入りだ・・・
何を基準としているか、不明な部分もあるが
ジオクロニクル史上で最高の身体らしいぞ・・・私は
なんて、脱線してしまったが
そろそろ順子のところへ遊びに行こうじゃないか
しかも、エリアと同行して
若干でも事象の変化を楽しむギミックを追加させる
エリア:「六花ちゃん・・・ラビリアとレッドちゃんも頼みましたわよ!!」
六花:「エリア殿、命を懸けて・・・その頼みお受けいたします」
古来の日本という国の心構えとでも言うのだろうか
六花の家系である霜月の家柄なんだろうか
凄く不思議で、独特な雰囲気を持っていて
それが、真面目で実直な性格もあり
頼もしく思う部分を六花からは感じている
ライン:「では、行ってくるぞ」
『エリア、私の手を握ってくれ??』
『わかりましたわ・・・』
柔らかいエリアの手
女性的で素敵な感じなんだが
異性だろうが同性だろうが、ドキドキしてしまうくらい
まあ、私も戦士ではあるが
女神の特権なんだろうか
比較的、手は柔らかい方だと思う
重量級の装備を使うのだが
その重さは身体に負荷を感じることはない
重力を無効化するスキルもある
それに、女神となった時点の容姿(生体の全て)がそのまま変化しない
それだから、老化もしないが筋量や脂肪など
体質の変化もない
宝石による、多大なる能力の放出があるため
見た目の重要性はあまり必要ではないのかもしれない
どれだけ宝石に力を貰えるか
その宝石に愛を満たせるか
女神の根本的な部分だったりする
科学者であった、私とエリアだが
実験などの作業を行う際、直接手を使うことはなくて
ほぼ、キーボードを打ち込むくらいで
そこまで酷使されたこともないから
手に関しては、綺麗だったりする
まあ、アーティスティックなネイルとか
興味はあったが・・・キータッチに際し邪魔だったから
むしろ、今行うことが多いかも知れない
私とエリアで一緒に色々なデザインを施したりしている
メンバーにもしたりしている
この世界のシステム操作などは、空間タッチが基本だから
ネイルが邪魔になることは、少ない
流石に有事の連続だと、難しいと思うが
『フラッシュゲート・・・固定座標、沢渡順子の目の前』
『順子ちゃんを驚かせるですか・・・ラインは相変わらず、もの好きですわね』
時間の概念を停止して、天球の順子に再会してこよう
この技法は、順子の専用スキルで
“時間と空間の魔女“と呼ばれる由来でもある
“専有時間”という、自在に事象を繰り返すことのできるスキルで
自分の納得のできる世界となるまで、無尽蔵に繰り返しを可能とする
危険以外、何ものでもない恐ろしいスキルだ
実際、順子から奪取してみて
このスキルのいい部分と悪い部分が極端に存在することがわかって
改めて、沢渡順子が凄い女神だと感じた
私の専用スキル“共有する愛の印”で
女神以下全ての相手のスキルを自分のスキルとして使えるようになる
これが私の専用スキルだったから
ここまで、一気に頂点に近い存在にまで上がってきたのだと思っている
特にレジェンドクラスのスキルは、狂った能力ばかりで
長い間、上位君臨を可能とする意味合いを把握するいい勉強になった
意識下で語るのは、自在の時間軸で行われるために
流れを無視してでも、好きなだけ語ることも可能だし
同時進行にしてても、臨機応変で使い分けすればいいし
色々と女神というのは
制約もあるが、基本的には神なので
何でもアリなところが多い存在だったりする
無限な時間を過ごす神たる存在だから
簡単に終わることもできないし
奔放な方もいるが、基本は真面目だと思う
『面倒だから、直接やって来たぞ!!』
目の前に小柄な可愛い、順子
折角のサプライズにも関わらず
驚きもせず、若干睨む感じで私を見ている
『ほら、ライン・・・順子ちゃん、困っていますわ・・・うちのラインがどうしても順子ちゃんを驚かせたいと申しまして、わたくしは引きとめようとしたのですが・・・強引に連れて、ううう』
エリアの女優かと思うような、演技
私は把握してしまっているために
これが順子に対する、多重のサプライズ演出のひとつだと
『ラインさん、エリアさんまで巻き込んで・・・そこまでしてあたしを驚かせたいの!?』
『順子は、何で怒っているのだろう・・・愛理はどう思う??』
当人にではなくて、横に居る愛理に尋ねてみた
素っ気ない反応でもされてしまうかと思ったが、順子以上に愛理はこの手の運びに対して
何故か、乗ってくれたりします
『順子は、恥ずかしいのでしょう・・・ラインさんとの再会が』
私とエリアは、阿吽で通じ合うくらいな
否定はしているが、本当に長年連れ添った夫婦なように思えるだけの
意思の疎通が、リンクしていなくても可能だったりするが
それを超えるかのように、察知能力が高いのだろうか
愛理は、私たちの茶番に付き合ってくれている
『愛理ちゃんまで、何でよ・・・あたしをどうしたいの!?』
『順子すまない、再会を喜ぶだけの時間が無い感じなんだ・・・手短にしたかっただけで』
『そんな危機的な状況でも、遊びを忘れないラインさんには・・・ある意味尊敬しますよ』
『・・・悪かった、土下座でも何でもするつもりでやって来たから』
『順子、こちらも聞きたいことあるのでしょ??』
私と順子で、お互いに質問と要請がある
多分、有事でなくて
こちらが出向かなくても
順子がやって来た可能性が高い
『まあいいわ、あなたが真面目な方だとは十分理解していますし・・・目を見れば、焦っているってこともわかるのよ・・・時間止めて来たでしょ??』
『折角、順子を驚かせるギミックを用意してきたのだが・・・面白くないぞ、少しは可愛らしい反応とかできないのか・・・って、野暮なことは無用だろうな』
お互い、別世界をそれぞれ守る女神だ
しかも、何度も接触して
お互いの世界をある程度把握もしている
それに、恋路から肌の感触まで
知らない部分を探すほうが難しいかも知れないくらい
親密な関係だからな・・・逆にサプライズできるかと思ったが
普通に難しかった
『私の世界を救う立役者となるか、仇名す存在となるか・・・順子の新たな能力も知りたいし、最愛の存在も来ているから・・・こちらへ来るつもりなら大歓迎だ』
少しだけ、悩む素振りを見せる順子
彼女の思考演算が女神で一番なことはわかっている
更に言えば、隣の愛理がその次の速さで
1位2位がコンビを組んでいる状態
今、天球には誰が挑もうと
返り討ちで終わるだろうな
『わかりました、時間を戻し次第・・・そちらへは訪問させてもらいます』
『順子!? それでは、また旅が頓挫しますよ??』
愛理が、順子に怒鳴る
まあ、無理もない
過去何度も、この似たような流れで
こちらのメインである旅が継続不可となってしまっているらしいからな
『大丈夫よ、愛理ちゃん・・・ラインさんも何かしらの用意があるみたいですし、ねっラインさん??』
『ふふふ、順子もわかっているようだな・・・既に事象を変えようと働きかけているぞ』
世界を管理できる存在にしかわからない会話かもしれない
簡単に説明すれば
お互いの世界で起きている危機的事態を救う術を相手に要請しようと
変化をさせて、悪い流れを良い流れに・・・って感じだろうか
『愛理にも、ちゃんとした利点があるから・・・』
と、私は珍しく耳打ちで愛理に伝言をする
女神は、そんな原始的な方法をとか思うだろうが
外部伝達は、特に影響の出る
特殊なスキルを使いやすい
『・・・ラインさん、吐息で感じさせるのはやめてもらえませんか??』
身悶える愛理
ふふふ、私の吐息には普通に感じる以上に作用があるんだぞ
それでなくても、愛理は性感帯が耳にあるようだし
嫉妬の攻撃を受けそうだから、これ以上は危険と判断して
『順子にも平等にしないといけないよな・・・』
同じことを順子の耳にもする
愛理まではいかないが、多少は効果があったかと思う
『ラインさん・・・性技の発展も怠らないのですね、あたしは構いませんが・・・愛理ちゃんには手を出さないでくれません!? 預かっている大事な娘さんなんですから~!!』
『そうだな、その預けた相手が今、来訪していると告げたのだが・・・あ、お前のも同じ意味だ』
この事で順子も愛理も表情が大きく変化する
無理もない、最も愛を確かめ合った相手だから
『彩ちゃんに麻里華ちゃんだったかしら・・・彩ちゃんにはこれからですが、麻里華ちゃんにはお会いしましたわよ』
『エリアさん、本当ですか??』
『ええ、しかし・・・麻里華ちゃん大ピンチですわよ、黒い方舟相手に大苦戦中だったわ・・・それで、ラインが助けを求めにこちらへ来たのですから』
基本、心優しいエリアに少し酷なギミックだったかもしれない
このタイミングで話をして、やっと表情が穏やかになっているから
『彩ちゃんに麻里華・・・あたしと愛理が動かない理由が見つからないじゃない!!』
『順子・・・』
『頓挫はしないし、二人にも会えます・・・ですよね、ラインさん??』
真剣に私を直視する順子
あまり見ない真面目な順子
彼女の言うようにするためのギミックにエリアを用意したのだから
『エリア・・・すまないが、順子と愛理の代理を頼めるか??』
『最初から、そのおつもりでしたのよね・・・わたくしも準備は整ってますわ』
少し前に話したと思うが
再度、繰り返すと
私とエリアは、次元を管理できるタイプの女神で
戦いに特化していない分、世界の統括などの分野で特に能力を発揮できる
実際、エリアは世界を持っていないが
私の代理で何度か行ったこともあるし
私以上に能力は高いかもしれないから
安心して、任せることのできる存在だと思う
『アレキサンドライトでしたよね・・・エリアさん、すいませんがあたしの代理お願いします』
深々と頭を下げる順子
この点はリーダーとしての正しい姿勢を示しているのだろうか
トップ直々のお願いだからな
『少しだけ、わたくしのワガママを受け入れてくれるなら・・・全力で代理努めますわ』
『うっ、また登頂ですか・・・仕方ありませんね、登山家は本当に山好きですよね・・・』
ははは、流石の順子も困り顔だ
エリアは生粋の登山家である
まあ、登るのは女体の胸だけどな
私もだが、特に標高の高い霊峰が大好きで
昔は私にもよく登頂していたから
最近は、何故か登ろうとしないけど
それに、あのメンバーだとラビリアくらいしかいないし
でも、六花やトールと仲良くしているから
もしかしたら、山の質にこだわるようになったのかもしれない
標高だけでは、判断できない良さがあるのかもしれないぞ
『愛理には、登らないのか??』
咄嗟に胸を隠す愛理
私からは、コメントしにくいが
標高で言えば、なだらかだったりする
『・・・愛理ちゃんですの、じゅるり・・・っと、ごめんなさい・・・トールちゃんを思い出してしまいましたわ・・・強制はいたしません、愛理ちゃんの自由意思でいいですわ』
『わかりました、成功報酬として・・・考えておきます』
愛理、無理しなくてもいいんだぞ
別にエリアは襲ったりしないし
無理やりも嫌いみたいだから
強要で、なんてって考えだったら
エリア自体が泣いてしまいそうだしな
『愛理、本当に嫌なら断れ・・・強引とか、エリアも心苦しいから』
『・・・はい、でも私の気持ち次第かもしれません』
まあ、これから麻里華との再会もあるし
エリアが天球を代理守護する分もあるから
愛理的な意味合いでのお礼として
どうするかをその時になって、判断したいのだろうな
律儀なヤツだ、愛理は・・・