第6話:光を纏った女神の狂宴
物事が冗談に思えるくらい
圧倒的な事象の前では
嘘が本当で、本当が嘘と感じてしまうのかもしれない
あくまでも、例えの話で実際は
麻里華の移動スキルの速度数値がマッハ5を軽く超える状態で
ほぼ接触させる程度で氷機が次々と倒されている
初期の師団が1万程度いたが
分を超える事なく消えていった
更に後続の師団も猛攻をかけているが
全く、通用していない
麻里華の速さでの攻撃が凄すぎるから
ラビリア:「氷機撃破数:7万4千」
ライン:「所要時間・・・6分か、私本当に無用かもしれないな」
麻里華に影響を受けて高まった戦闘力があるだけに
凄く、ジレンマに襲われている
具体的な戦闘を起こしていない分、まだ強く理性が働いているから
戦況を見守るだけで収まっている
六花:「スカイブースター臨界点突破・・・マッハ8以上は無理です」
おいおい、麻里華さん
加速、止まらなくなってしまったのかい??
マッハ8って
目視は無理なので、ビジョンで追尾しているが
それでも光の筋にしか見えない
同じ風属性の六花も相当の速度に関しては、特化していると思ったが
スカイブースターの臨界点を超すまではしていない
実際は可能だったりするかもしれない
リミッターを設けているみたいだから、解除すればわからない
それでも、マッハ6、5を出して世界記録を更新していた
それを今、麻里華が加速する度に
更新を重ねている
六花:「麻里華殿、申し訳ありませんがマッハ9で制御します・・・次元壁に影響してしまいます」
麻里華:「・・・そうですか、すいません飛ばしすぎました」
急停止する麻里華
結局マッハ8,9のギリギリで収まったようだ
一体、どこまで加速させるつもりだったのだろうか??
麻里華:「フラッシュゲートの予感がしたので、ボス対策と思いましてマッハ11で突入したかったのですが・・・本当にすいません、別策で考えます」
ライン:「気にするな、世界が耐え切れないのが悪いだけだ・・・お前が謝る必要なないぞ」
ラビリア:「そうです、ここまで素晴らしい加速を見せてくれたのですから・・・私は感謝したいくらいです、麻里華さん今度光速チャレンジに参加しましょう~♪」
ライン:「部隊回線だぞ、過度な私的は厳罰にするぞ!!」
ラビリア:「何ですか!! あなたが一番私的使用しているじゃないですか~!!!」
・・・これは、私が不利な展開となりそうだ
仕方ない
ライン:「隊長権限で不問とする、これで許してくれ??」
ラビリア:「またですか、まあいいです・・・麻里華さんの件を認めてくれれば、許します」
『頼む、ラビリアの遊びに付き合ってくれないか??』
『遊び!?ですか、光速チャレンジとは、なんです??』
高速チャレンジ・・・これは、速さを純粋に求める祭典
年間で10回開催される
単純に言うと、レースをするだけなんだが
ラビリアは、特にレースが好きみたいで
速さに対しての憧れがあって
私やレッドや六花が参加して
比較的面白いとは思うから
別にいいのだけど、シビアに勝利を求めるから
『すまん、麻里華の願いを女神特権で一つ可能な限り叶えるから・・・』
『・・・わかりました、愛理に必ず会わせて下さい』
『ラビリアにはどうしても勝てないからな・・・本当にすまん』
対象者が女神であっても、必ず1回は何かしらの恩恵を与えることができる
これは、こちらが慈悲で行うことも可能だが
基本的に相手を動かす際に利用する
しかし、愛理との出会いは通常で行えるから
かなり損した感じとなってしまったな
まあ、ラビリア絡みでは惜しんではいけなかった
全力で防衛しないと、完全に取り込まれてしまうかもしれないから
まだ、あいつの本性を暴いていないだけに
大きく出ることもできないし
レッドとの関係もある分
私も困るから
完全体となった私でも、ラビリアと同等に対峙できるかが
100%ではないから
レッドとの共同も考えて
できるだけ味方として認識してもらう必要がある
麻里華:「トライデントのリミッターを解除してもらってもいいですか??」
ラビリア:「いいですが、微調整が出来ませんよ」
麻里華:「多分、当たると思います・・・方舟には」
エリア:「この反応は方舟ですの!?」
ライン:「エリア、どっちだ??」
エリア:「黒ですわね・・・黒い方舟」
闇属性の大戦艦を投入してくるのか・・・
氷機の仕業ではないようだな
相手は、誰なんだ??
緊急速報:「フラッシュゲート反応あり、ボスアラーム発令~!!」
緊急速報:「フラッシュゲート反応あり、ボスアラーム発令~!!」
来たぞ・・・
次元干渉による警告
しかも、黒い方か
最も厄介な艦が登場のようだ
ラビリア:「黒い方舟対策は一応してありますが、主砲を首都に放たれた終わりです」
大戦艦クラスの主砲
闇属性の最大攻撃である空間を滅する漆黒
こんなのを放たれたら、星ごと消えてしまうぞ
しかし、主砲はフラッシュゲートで召喚後にしか充填できないから
放たれる前に轟沈させればいいだけだ
ライン:「麻里華単独では、困難と判断・・・首都に連絡して、完全解放を要請してくれ!!」
ラビリア:「今、首都防衛隊に最大防御と・・・陛下へ完全解放を要請しました」
レッド:「デーモンシステムが使えれば、麻里華さんの攻撃で方舟を落とせるかもしれませんよ??」
ライン:「レッド・・・それは、ダメだぞ!!」
レッド:「でも、聖域を中和しても方舟の戦闘力を0にはできません」
ライン:「そうだが・・・デーモンだけは」
トール:「仕方ありませんわ・・・わたくしの完全覚醒をもって、方舟を落とします!!」
トールなのか??
急にどうしたのだろう
『シックスカラーはレッド様だけではありませんわよ・・・このトールもですわ』
『トール・・・その容姿!? 戻ったのか記憶と力が??』
一気に色々あって、混乱しかしないが
事象の集約が早まっているみたいだな
『愛理さんのサファイアの分身ですわ・・・終わったら、人柱で召喚しましょうね』
『トールさん・・・青の化身だったのね』
赤と青と緑が今、この次元に存在する
黄と白と黒は別の次元でこちらの様子を伺っている
集合のタイミングを待っている
ラビリア:「緊急事態の上、要請は全て即許可されました・・・」
『それで、トールが覚醒したのか・・・私もこの感覚と記憶の戻り・・・ふふふ、苦々しい甘い記憶だ』
『愛理との思い出が目の前にあるようです・・・この世界に限界はないのですか??』
『管理者の能力次第ですわね・・・ラビリアさんの本体が完成させたシステムが動き出しますわよ』
色々と制御していたものが一気に解放されていく
トールの女神覚醒
私の完全覚醒
麻里華のリミッター解除
ラビリア本体の復活!?
だとしたら、レッドもデーモンが目を覚ましてしまうじゃない
レッド:「安心ですわ・・・まだ抑えておくから、彼は安全だから」
ラビリア:「レッドさん、仮眠状態に入りました・・・どうしよう??」
ライン:「ラビリア・・・お前の本体が復元されたみたいだぞ」
ラビリア:「私の本体・・・そうですか、それよりもレッドさんは??」
ライン:「そうだな、エリアに任せておけ」
エリア:「ライン・・・わたくしでいいのかしら~♥」
色々と誘惑のあるヤツだが、最も信頼できる存在だから
託すなら、エリア以外は考えられない
六花:「隊長殿!! 六花も戦闘に参加しましょうか??」
『どう思う・・・』
『そうですわね・・・防衛へ徹して貰う方がいいかと思いますわ』
『わかった・・・』
ライン:「すまん、六花は防衛をお願いする・・・お前の防御力に期待するからな!!」
六花:「はい、わかりました・・・全力でお守り致します」
レッドを守るためにエリアと六花で防衛をしてもらう
ラビリアも一緒に守ってもらえればいいだろう
そして、私と麻里華と覚醒したトールで
戦艦との戦いだが
『トールは、装備あるのか??』
『うふふ、素敵なお供がおりますわ~♪』
何もしないでの召喚・・・
高速キャンセルスキルか
『ミョルニルさんです・・・ご挨拶なさい』
『はじめまして、トール様に仕える大槌のミョルニルです・・・よろしくね☆彡』
凄く軽い口調で、優しく語る少女だが・・・
大槌って言ったよな??
巨大なハンマーってことか
『ミョルニルか、よろしくな・・・私はライン=ルビーだ!!』
『須賀麻里華です、よろしくねミョルニルさん』
とりあえず、握手してみる
見た目も感触も人と変わらないみたいだけど
伝説の神器ということか
神の操る装備や道具は、使用する神の力が宿り
普段は人の姿をしていると
ジオクロニクルの伝説の装備の情報に載っていた
実際に見るのは初めてだが・・・
どのくらいの能力なんだろうな
麻里華の速さとトールの破壊力と
私は・・・
『私の本当の力、まだ戻ってないじゃないか~!! うわぁ~ん!!』
解放されたんじゃないのかよ
まだ、何か足りないみたい
テレパシー:デーモンシステム⇒ライン
レッド:「一時的に媒介とさせてもらうぞ・・・許せ、ラインよ」
ライン:「あなたは??」
レッド:「レッドの中に宿る悪魔とでも思ってくれ」
ライン:「レッドデーモンですね・・・私に用事ですか」
レッド:「完全体を求めているようだったから、あなたが」
ライン:「世界の解放が行われているのに、私だけ変わっていないから」
レッド:「元々、あなたは完全体ですから・・・」
ライン:「冗談はいいですから、本当の事をお願いします」
レッド:「あなたの求める真の姿とは・・・このレッドのシステムとしての融合です」
ライン:「・・・レッドとの融合??」
レッド:「デーモンシステムはかりそめです、真のシステムはラインあなた自体なのですよ」
私がレッドのシステム!?
これは、冗談としては笑えない方向ね
でも・・・レッドと一つになるってこと
レッド:「事象の集約が行われている間は、まだ融合はできません」
ライン:「それで、私はどうすればいいのかしら??」
レッド:「青と緑を率いて、黒い舟を落として下さい」
ライン:「トールと麻里華で十分勝てるということか??」
レッド:「事象の流れを壊すのです、全てはあなたが自由に構築できるはずですから・・・」
と、最中で途切れてしまう
相変わらず、この手の話は中途半端で終わるのね
まあいいか・・・
方舟は落とせるらしいから
トールと麻里華に任せる
隊長として的確に指示を出して
手柄は、部隊全体で獲得するものだし
個人の撃破数なんて、氷機は無尽蔵にあるのだから
ラビリアさえ居れば自在よね
当面は、レッドをかばわないといけなくなるだろうけど
麻里華とトールに手伝ってもらえば
『今の話、伝達してたわよね・・・二人共!?』
『隊長が悪いのですわよ、レッド様と内緒話なんて・・・』
『世界に関わる重要な話だったじゃない、部隊に加入しているのだから・・・聞く権利はあって当然よ』
女神の嫌なところは・・・
パッシブとして、相手の脳内の情報を共有したり確認したりできる部分
自分も含めて、この仕様は消滅させたい
知らない方がいい情報だって沢山あるんだぞ
と、現在ジオクロニクルの改ざんを密かに企んでいる
あれは、単なる情報ツールではなくて
女神やそれ以下、全てのジオと呼ばれるこの世界のルールブックのような存在で
あの中での禁止事項は、そのまま世界にも反映されるために
数多くの制約も記されている
誰もが、絶対に改ざんを行わない“女神が死の概念が存在しない”は
不可視的な意味合いの暗黙のルールもあって
都合上、誰もがこれを受け入れている
これに関しては、私も困る部分も多いし
不死ではない女神の存在価値が皆無となる可能性もあり
世界管理を主とする場合にも
不都合な部分が出るだろうから
現に、幾度とこの制約で助かった事がある身として
目的達成に近づくための、仕方ないルールだと思っている
これと同等の不可視もあり
これは、逆に絶対に改ざんはさせるつもりはない
“女神が決めた永遠の契りを交わした相手も女神と同等の扱いとする”
エゴの塊だと、言われても
文句は幾らでも受ける覚悟はある
永遠の契りは、女神が唯一生涯を共にする際
相手が、女神ではない場合であっても
これに該当するように、女神と同じ・・・つまり死ぬことはない
過去の事例で数点
女神になる前に久遠愛理は、須賀麻里華との契りを交わしており
お互いが女神となった今でも、この契りを受けて
共に死ぬことなく、相手を探す事となる
沢渡順子も特殊な形であるが
幼馴染で最愛の緑山彩と契りを交わしている
しかし、彼女の死後に形見のエメラルドに誓いを立てたために
順子本人は、死んだままで思っていたらしい
(後で感動的な再会を、私が演出することになっているから・・・楽しみにしててくれ)
主宰となる、リーアも
永遠の恋人として、先に行ってしまったカモンという男性と交わしていて
いずれ、再会をする予定らしい
(これに関しては、不明な部分が多くジオクロニクルにも断片的にしか記載されていない)
更に、私も電脳異空間へ来る前に
当時は恋人同士だったレッドの前身とも言える
シックスカラーのレッドデーモンとの間で婚礼の儀を行っている
(単純に言えば、レッドと結婚したと思ってくれ・・・今は、親子の関係なんだが)
事象も因果も超えて、女神の契りには
無限な拘束力が働き
離れてしまっても、再会する事が可能となる
まあ、他にも記載される契りを行った女神が無数に存在するから
それぞれが、何かしらの別れをしたとしても
幾度と重ねた事象を繰り返して再会は可能だと
永久的に動き続ける女神にとって
最も必要な原動力は
同じだけ永遠に寄り添ってくれる、最愛の存在
この愛により
世界だって何だって、自在に出来る
前置きはこのあたりで
まずは、黒い方舟を見事轟沈させましょうか・・・
『私は、確実に足でまといだから・・・すまんが二人に頼むが、構わないよな??』
『ラインさんには、覚醒前に色々とお世話になりましたし・・・これからもレッド様とのハーレムのために不可欠だと思っておりますから・・・うふふ♥』
トールは・・・基本、健気で記憶のない時でも他人を思いやる素直な少女だと思っていたが
正直、驚きしかない
私とレッドがここへ入る前に
少しだけ、離れていた時期があって
その際にトールとレッドが別の世界でランデブーしていたようだ
後で、トールとレッドから詳しい話を聞き出すとして
『ハーレムという事は、22部隊をレッド専用の女で満たしたいとかか??』
『ラインさんは、あのメンバー以外の女性との交渉をレッドにお望みですか~!?』
『・・・現メンバーでということか、お前そんな事考えていたのか!!』
『麻里華さんは離脱なさるのですわよね?? でしたら、現メンバーのみですわ』
私とラビリアとトールにエリアと六花だよな
悪い提案ではないが・・・
ラビリアには、話そうか悩むところだ
『トールさん・・・不謹慎だと思いましたが、女神としては比較的正しい方向性だったりするのかも』
『麻里華も女神に相当の深みだな・・・まあ、愛理とは再会させてやるから・・・少しは、正気で保ってくれよ!!』
『当然です!! お返しするようですが・・・ラインさんが、今のところ一番の不安要素に思えます』
これに関して、私は言い返せなかった
自分でもそう思っているからだろう
『わかっているなら、任せてもいいよな・・・確実に使える人材を優先するのも隊長の役割だろ??』
『その点は、異論はありませんわよ・・・隊長としては、トップクラスのラインさんですものね~♪』
あざ笑うかのような、トールではあるが
ジオクロニクルの記載で大国の姫で統治していたとある
そんなの、私以上に一国の主だった相手に言われる言葉じゃないぞ
『麻里華もトールも私を惨めにするだけの有能者じゃないか・・・』
『ここで、あなたを落としても何もいいことはありません・・・しっかりと二人で戦いますから』
『・・・22部隊で一番の小心者ですものね、でもわたくしも全力でラインさんを勝利に導きますわ~』
本当に嫌だと思う反面
善し悪しを全て把握している分
皮肉であって、冗談の会話だったりする
特にトールは、ここでの生活が長かったためだろう
『充填が始まろうとしているし、私の事は後で好きにしてくれていいから必ず勝ちを持って来い!!』
麻里華もトールも微笑みで私を見ている
余裕の現れ何だろうか
まあ、負ける事は一切考えていないからな
『素敵な隊長の元で戦える事、誇りに思いますわ・・・』
『愛理に再会するまでは、何体でも氷機だったかを破壊するのみです!!』
完全覚醒している女神は
常に全力で戦えるように
制御に関する類は、皆無に近い
ラビリア:「速報値アラート:麻里華・・・12兆!? ちょっと~待って下さい!!」
六花:「世界警報発令~!! 方舟の主砲の充填が開始されました、照射予想時間50分後です」
ラビリア:「惑星戦闘力を増大させています、あなた達が、星を壊す気ですか!?」
ラビリア、怒っているな
まあ、当然だろう
折角の自分の構築した理想郷だもんな
壊されてしまったら
たまったものではないだろう
ライン:「トールも麻里華も京か垓くらいは上がると思うから、それ以上まで耐えるようにしておけよ~」
ラビリア:「あなたの統治する世界なんですよ?! 私に頼りすぎです・・・まったく~!!」
怒ってる、怒ってる
あはは・・・面白くなってきたわ
もう、笑いをこらえるだけで
精一杯だ
トール:「方舟の装甲が硬すぎますわ、ラビリアさん・・・お願いしますわね??」
麻里華:「あの、ラビリアさん・・・先ほどの件、必ず参加するようにしたいと思いますから」
トールも麻里華も、確実にラビリアの舵取りを覚えてきた感じだろうか
元々トールは天性の部分もあるから、長い付き合いでもあるし
麻里華は、愛理絡みになっている今は無敵に近いし
これは、安心して主砲照射前に落とせるかもしれないな
ラビリア:「仕方ありませんね・・・太陽と月を稼働させます」
・・・太陽と月!?
ラビリアは本気だぞ
補助的な防衛システムがあり
これに関しては、修繕中でオフラインだったために
氷機暴走の際の影響を受けずに
ラビリアの制御下のまま、完全なままで免れていた
ちなみに、南北の塔にそれぞれ1基ずつ成層圏ギリギリの軌道上
オーロラシステムの擬似的な役割を占めていて
主に宇宙空間に対しての防衛を主体としていた
ラビリア:「天照および月讀の地上に対する目を解放します!!」
この起動はいつ見ても、ワクワクする
現在、首都である旧日本国の東京という地区の面積と同等の巨大な人工衛星
南極の上空に天照が
北極の上空に月讀が、それぞれ待機している
名称は、日本の神話での太陽と月の神様らしいな
神秘的なネーミングで私は気に入っている
世界戦闘力を急速的に上昇させるために
補助ブースターとして使うのだろう
それぞれに搭載されている宝石が凄い事になっていて
天照には、人よりも大きなペリドットがある
月讀には、私の片胸(多分、マスクメロンだろうか)くらいの真珠があって
女神と同等かそれ以上の力を引き出せるらしいぞ
常に、実際の太陽と月の光を受けて
エネルギーを充填していて
それ以外でも、自家発電装置もあり
ほぼ永久的に稼働可能となる
ラビリア:「エリア、2秒だけでいいからサンシャインを私に照射してもらえる??」
エリア:「・・・わかりましたわ~トールちゃんの加護はありませんから、激痛ですわよ!?」
ラビリア:「構いません、死にはしませんから・・・でも、レッドさんは出来れば見ないで欲しい」
レッド:「視覚は、現在停止状態にありますから・・・その点は問題ありません」
ラビリア:「そうでしたね、仮死化しているのでした」
エリア:「トールちゃん、聞こえてる~?? 戻ったら、ラビリアの治癒をお願いね」
トール:「エリアお姉さまのお願いですから、必ず完治させますわ」
何か、エリアの本当の妹みたいな口調になったなトール
一番慕っているエリアだけには一生付いていくのだろうな
さてと、辛いから・・・私も
あと・・・見ているオーディションもこの2秒間は、無かったものとしてくれないか
本当に辛いからな
火属性の能力上昇系補助スキルであるサンシャインだが
他の属性に対しては強力な攻撃スキルだったりする
1秒未満だとしても、触れれば黒焦げとなる
文字通り、陽の光そのものだから
エリアは特殊で
巫女と呼ばれる、属性精霊から恩恵を受けていて
加護された存在である
更にその精霊と契りを交わして
専属の巫女だ
火属性のうちの一人“ジン”
“イフリート”や“サラマンダー”と並ぶ、強力な精霊
特に補助系のスキルに特化していて
同じ火属性には、多大なる恩恵をもたらす事になる
そんなエリアが使用するサンシャインだ
ただでは済まない
それを把握しているだけに、ブーストに関して
死を覚悟するだけの意味を持って挑む形となる
『世界を照らす、神の輝き・・・サンシャイン』
ジャンパーの着地地点からは少し離れて
氷機の侵攻を空中で待機して
交戦していた
だから、エリアとの距離は比較的離れていて
目視では把握できない
しかし、今後方でもう一つの太陽が輝いた
それだけ威力の大きなスキルだから
過去に単純に1秒の照射で2万体の氷機を瞬殺している
音声を遮断していたが、リンクしている相手だったために
塞げない耳の奥にラビリアの悲鳴が聞こえていた・・・
それと同時に、激しい嘔吐と強烈な悲しみがあった
『ラインさんも、わたくしと共にラビリアさんの癒しのお手伝いをお願いしますね・・・』
同じようにトールも口を押さえ、大粒の涙をこぼしている
ラビリアではなくて、私とのリンクがあるために
同等の事を感じてしまったようだ
『もちろんだ・・・大事なメンバーを救うのも隊長の役割でもある』
『ここまでして、守らないといけない世界なんですね・・・』
少し他人行儀にも思える発言
麻里華も似たような経験があるのだろうな
妙な冷静さは、逆に感情を殺して制御に徹しているからだと思うから
ラビリア:「惑星戦闘力の増大終了、数値安定しました・・・好きに戦っていいわよ」
普通に会話しているから
余計、悲痛に思えてしまうが
ここでそれを考えてしまっても、泣くだけだし
ライン:「了解した、トールと麻里華に全力で行かせるぞ!?」
ラビリア:「こちらも、防衛に関しては万全です」
・・・反動に私が耐えきれるかどうか
『充填完了まで、40分くらいですわね・・・時間ギリギリかもしれませんわ』
『最高速で聖域の破壊を試みます・・・トールさんは??』
『そうですわね・・・ミョルニルさんの試運転ですわね』
横にいた・・・少女
青く輝くトールの手に集約されていく
『トールハンマー アウトプット・・・ですわ♥』
私の身長の3倍以上の柄に先端がトールが二人分くらいの槌
何か表現がわかりにくいが
無駄にでかいハンマーが現れた
本当に神器だったようだ
『では、参りましょうか~??』
『ええ、頑張りましょう』
トールと麻里華が方舟に向かっていった
そんな二人にターゲットしていた、固定測定の数値は
共に12垓まで上がっていて
私の測定能力の限界ギリギリだった・・・