第3話:作戦終了・・・そして、新たな出会い!?
作戦自体は、レッドの圧倒的な戦いにより
基地ごとの壊滅に成功して
500体+αの氷機の撃破を達成した
その結果を重視してくれたようで
他の事についての言及はされず
始末書も必要なかった
はっきり言って、私に味方する上層の幹部が上手くやってくれたらしい
後で感謝せねばならないな
とりあえず、メールを送っておこう
軍隊に所属している身として
規律を守ることは絶対であり
余程の事態でも起きない限りは
許される行為ではない
だが、そのあたりを適応外で襲う氷機だったりするから
比較的自由に行動可能なように私は上層に打診し、認められた結果が
この22部隊だったりする
メンバー内についても
私の管理の元で動いてもらって
任務のない場合は
こちらに一任されている
こんな特別扱いされるには、それなりの理由もある
私が現行で最も氷機を撃破してきている事と
ちょっと言えない事情により
世界に一番効果的な方法と認めさせたから
『さてと・・・どちらからにしようか??』
任務用に設置されたテントを撤収して
宿泊施設のある基地が併設された街に移動してきている
物資の補給もだが、テントではない施設での寝泊りの方が身体も休まるし
それに、娯楽施設もない森じゃ
寂しいじゃない
この基地には22部隊以外にいくつかの部隊もいて
少なからず、交流をしたりもしている
『それにしても、レッドとラビリアを拘束する日が来るとは思わなかったぞ』
レッドに関しては、任務遂行後に自ら枷を着けていた
そんなレッドを見るなり、初めてに近いくらいの暴走っぷりをラビリアがしてくれた
基本、戦闘ではない状態では
あまり乱暴にはしたくなかったが
無抵抗のレッドに襲いかかろうとしたから、仕方なく拘束した
『僕のせいでラビリアさんに迷惑をかけてしまいました・・・』
『そうだな、でも・・・私が許した部分もあるから、一緒に謝罪しよう』
あのシステムは、まだ改善の余地が多大にありそうだが
理性の内で抑えていたレッドだからあれで済んだのかもしれない
涙目で私やレッドを睨むラビリア
手足だけだなく、口にも猿轡してある
下手に舌を噛んだりされても困るし、叫ばれても困るから
暫く、大人しくしててもらおう
『レッドには、1時間抱きしめの刑だからな・・・覚悟しておけよ!!』
『・・・ううっ、お母さん他ではダメなんですか??』
『ダメだ、隊長としてではなくて・・・母親として、もっと愛情を込めたスキンシップが必要だと判断したから・・・私の温もりを感じながら反省しなさい』
っと、半分・・・いや、かなりの私情があるとか言わないでくれ
本来は勲章ものなんだから
まずは私の気持ちを満たすようにした
次はラビリアの悲しみを癒すようにするつもりだ
折角の結婚の話も台無しになっては困るし
この窮地を逆手にして、急接近を狙う作戦なんだから
でも、私個人の欲望を優先してしまった
だって・・・あんな、レッド見たら興奮してしまって
母ではなくて、一人の女としてレッドを感じてしまったのよ
少しでも理性のある間に母に戻らないと
一線を超えてしまいかねない
ダメよ、私とレッドは親子なんだからね
そんな事を思いながら、悶絶してレッドを抱きしめています
もう、このまま時が止まればいいのに・・・などと妄想したくなるね
永遠には無理だけど、数日くらいなら・・・私のスキルで可能だけど
どうしようかな、本気で悩むくらい
『ラインなんですの!! 躾ではなかったの・・・ご褒美じゃないのそれ!?』
急にエリアが入ってくる
私がレッドを抱きしめているから、見るなり怒鳴ってくる
当然とは思うが・・・あくまでもお仕置きだぞ
『お前には関係ないだろ、これは私とレッドの問題だ・・・部外者が口出しするな!!』
『ぶ、部外者!? ラインはエリアの家族だと接してきたのですのに~悲しすぎますわ』
・・・家族??
悪いが、今は他人のフリ
エリアには色々と世話にはなってるが
ちょっとだけだ、私とレッドだけの空間を堪能させてくれ
『エリア姉様・・・自分で言いながら、抑えられなかったの??』
『だって~レッドちゃんが・・・ラインの胸に溺れてしまいますわ~!!』
『隊長さん・・・また、エリア姉様はトールが抑えておきますね』
あいつもレッドの事好きなのに、気を利かせてエリアを連れていった
トール・・・お前には特別にレッドとの時間を少しだけ与えてやるぞ
『あ、レッド眠ってしまったか・・・やはり、私の胸は心地よいみたいだな』
戦いの疲れもあるのだろう
次の出撃まで、ゆっくりと休むがいい
私もいいかな・・・
緊急以外は、誰にも遭遇できないように処置しておくか
女神の聖域を展開させて、この部屋を閉鎖した
私とレッドとラビリアだけしか存在しない
エリアはトールが抑えてくれているから問題ないだろうし
六花は察してくれるだろうから
よし!!
私もレッドと共に夢の世界へ
ラビリアも最初は騒いでいたが、同じく疲れて寝てしまったようだ
起きたら正式に謝罪をしよう
レッドの暴走気味な戦いは、やはり刺激が強すぎたな
事前に話しておくべきだったか・・・
でもな、レッドに止められていたし
自分で抑えると言ってたから、私も読みが甘かった
・・・・・・・・・・
短い時間であったが
私もレッドも十分な休息ができたようで
心身共に回復していた
『お、起きたか・・・レッドおはよう』
『お母さん、おはようございます??』
意識ははっきりとしているが、何故かレッドは不思議そうな表情だ
どうしたんだ・・・
『レッド、何だ??』
『いえ・・・どうして、裸なんだろうと思いまして?!』
裸??
レッドは何を言っているんだろうか
と、よく見ると私もレッドも服を着ていなかった
いつの間に・・・無意識にか
寝ている間に誰かが侵入した形跡はない
私の聖域の展開はしっかりと構築されているから
ラビリアも、服を着ていないな・・・
これは、何か作用したのかもしれない
周囲に着ていた服が無いし
『データの異常かもしれないな、この部屋は私の聖域で封じてあったから、誰かが何かをする事も不可能だし・・・私とレッドは寝ていただろ、ラビリアの服も無くなっているが拘束はそのままだから』
『服の情報が欠落したということですかね・・・再構築すれば、問題ないですか??』
とりあえず、普段着を再構築してみる
今までこんな事なかったが、何だろう不可解な状況だよな
『事態がここだけなのかを把握しておいたほうがいいかもしれない、とりあえず服は再構築に成功したか』
私とレッドとラビリアの服を再構築させた
同じものというのは、面白くないから
別の服にしてみた
まあ、普段着だから変わり映えはあまりないが
『ちょっと確認してくる、レッドはここで待っててくれ』
『はい、わかりました・・・』
レッドとラビリア残して、部屋を出て
まずは、エリアとトールに遭遇する
服は着ているよな
『ライン・・・服着替えましたの!? レッドちゃんに何もしていませんわよね??』
『・・・エリアも服違うじゃないか、トールも』
これは、単純に着替えただけだろうか
一応、トールに確認してみる
『トール・・・さっき、違和感なかったか??』
『違和感ですか・・・え~と、あの・・・えっとですね、あの~』
何だ・・・急に恥ずかしそうにしている
これは、同じ現象があったと考えるべきだな
『服が急に消えただろ??』
『へっ・・・あ、隊長さんもですか・・・トールもお姉さまもです』
やはりな、エリアが私と同じような考えで
別の服を構築したのだろう
『エリアに襲われなかったか??』
『ライン!! わたくし、いくらなんでも裸のトールを見て興奮なんてしてませんわ』
そうか、ついに一線を超えてしまったか
これでレッドを諦める口実ができたわけだ・・・
よし、トールに追求してみよう
『お前、エリアに何されたんだ!!』
『ひゃ・・・身体に触れられただけで、特に何もありません!!』
あら・・・触れただけか
でも、触れたんだよな
『じゃあ、エリアに責任を取ってもらわないといけないな』
『責任・・・トールはエリアお姉さまに一生ついて行きます』
まあ、冗談はさておき
本題に突入しておかないとな
トールの事は、後で詳しく話を聞くとして
『ラビリアに確認していないから、不明だが・・・多分ネットワーク系の異常かと思うんだが氷機に関係しているかもしれんぞ!!』
『ですわね・・・ラビリアは、まだ回復できてませんの??』
『多分、回復はしていると思うぞ・・・目を覚ましていないだけだろう』
『そうですの・・・お疲れで悪いとは思いますが、緊急ですわよ』
そうだな、一応周囲の確認をしたかっただけだからな
急いで戻ってラビリアに調べてもらおう
『とりあえず、二人も一緒に来てくれ!!』
エリアとトールと部屋に戻る
中に入ると、既にラビリアが拘束を解かれて
色々と調べを行っていた
レッドが起点を利かせてくれたんだろう
『ラビリア・・・原因はわかりそうか??』
『・・・そうですね、何か別の世界から来訪者でも来た感じです』
別の世界!?
私やレッドを追ってきた刺客か・・・
それともトールの知り合いでも探しに来たか
どちらにしても、こちらに影響がありそうだが
それ以外の要因を考えるのが普通なんだろう
でも、ラビリアは冗談で言っているとも思えないからな
『ラビリアが冗談を言っているの、初めて聞きましたわよ・・・』
率直な感想だろうな
エリアもラビリアが真面目だとわかっているから
でも、すぐに察したようで
『ライン・・・あなたに関係あるの??』
『さぁ、どうだろうな・・・私にはわからん』
とりあえず、濁しておいたが
具体的な情報が必要だな
もう少し、様子を確認したい
『ラビリア、実際どうなんだ??』
私の質問に返す前に
空間に無数の画面を出しながら
その画面に対して高速でタッチをしている
世界を構築しているネットワークの総括をしているラビリアは
各地の情報を今の瞬間で収集を行っているようだ
5分もしない間で、ある程度の答えを出していた
『次元の壁に影響がありました・・・やはり、この世界への侵入があったようです』
『そうか・・・それで、その侵入者の存在を把握できるのか??』
既にその情報も把握できているみたいで
出ていた画面を一旦閉じて
次にひとつだけ新たな映像を出す
『天球という別の世界からの来訪者です・・・ジオクロニクルに女神として登録されています』
『お前・・・何でジオクロニクルを知っている!?』
女神クラス以外は存在自体も知らないはずだ
・・・ラビリアは女神ではないんだぞ
『ふふふ、ラインのシステムを介して情報を得ましたから・・・あなたが特別な存在であると、レッドに協力をしてもらいましたよ♪』
((((;゜Д゜)))な…んだと…
レッドが関わっている!?
嘘だと言って欲しかったが
まあ、既に私の知らない間にレッドとラビリアは通じていたようだ
『お母さん、ごめんなさい・・・記憶の改ざんをあなたに対して行いました、でも・・・本当の部分はまだ未開封にしておきました』
『レッド・・・何を言っているんだ??』
これは、私への悪戯か何かか??
一体、どういうことなんだ・・・
『ラビリアもレッドちゃんも、ラインを困惑させてどうしますの!!』
『私は別に構わないが・・・』
動揺を隠せないか
思い切り、反応してしまっている
『私とレッドを結ばせたいのでしょ・・・真実を知らないから、まだそんな事を言えるのですよ』
『ラビリアに・・・いえ、いいです』
この感情をどうしたらいいのだろう
私がわからない情報を知っているレッドとラビリア
もしかしたらエリアも知っているみたいだし
『私たちの関係については、後で詳しく説明します・・・今は来訪者の情報を開示しますね』
『あ、ああ・・・頼む』
少しでも気持ちを落ち着かせなければ
とりあえず、座らせてもらおうか
若干だが腰が抜けたみたいになっている
『お母さん、平気ですか??』
『ん、少し腰が抜けただけだ・・・お前たちの事・・・まあいい、まずはラビリアいいか??』
心配そうにしているレッド
この反応を見る限り、私との関係は親密な状態なんだろうな
『目的は私かラインのどちらかでしょう・・・名前は須賀麻里華、風属性の女神ですね・・・不思議な能力を保有しているみたいです』
須賀麻里華・・・!?
これは、私が目当てになるだろうな
知り合いに同じ苗字のヤツがいて
多分、その家族だろう
『ここまでは、私しか知らない情報のようだな・・・くくくっ、すまん!!』
『お母さんは本当に真直な方ですよね、だから俺・・・あ、僕大好きなんですよ』
俺??
まだ、あのシステムの影響が残っているのか
全く危険な・・・ラビリアにもっと安全を高めてもらおう
『女神同士、繋がりがあるのですか・・・私にも内緒にする内情みたいですね、体内宝石のシステムですか・・・ふ~ん、レッドが味方である限りは完全な遮断は不可能ですから』
一番敵にしたくない相手=ラビリア&レッド
これは、絶対だ!!
仕方ない・・・もう、隠し事も私は下手だし
いずれは家族になるのだから、いいや
『私の性格は、重々承知だろ・・・そして、今の私の思考も把握してるだろ・・・だったら、わかるよな』
『お母さんは、僕らの側に歩み寄ってくれるみたいです・・・ラビリアとラインの魅力的な女性が俺の女として・・・あ、妄想です・・・すいません』
やはり、レッドがおかしい!?
本気でラビリアに抗議するしかないな
『ラビリア・・・まずは、レッドに関してをどうにかしたい』
『レッドを?? 普通だと思いますが・・・ライン的には気に入りませんか、それとも隊長としてですか』
これは、完全に私は配下として行動する形にされそうだな
困ったものだ・・・
私が隊長なんだぞ!!
『もういい、レッドを奪って・・・お前と対立する覚悟でもいいんだぞ、麻里華もこちらに率いる事も可能だし・・・ラビリアが世界そのものだとしても壊すつもりで行くからな!!』
私って、こんなにも激情的だったんだな
簡単にラビリアの作戦に踊らされるなんてな
はははっ・・・
『あははっ~!! なんてな・・・私がラビリアを敵にする訳無いだろ』
『・・・今の本気でしたよね、あなたの瞬時な切り替えは誰にも負けない起点ですけど』
エリアとトールが珍しく、唖然としている
二人もある程度の情報の開示が必要だろうけど
それでも、ここまでのやり取りに対応できていないみたいだ
『俺・・・あ、僕がここは収める場面ですかね』
急に私とラビリアの間に入り込んでくるレッド
ニッコリと微笑みを見せる
この笑みは・・・危険だぞ
『不完全な状態でも、私とラビリアの仲裁をしてくれるなんて・・・ラビリア、私はレッドに免じてお前との争いはしないと誓おうじゃないか~!!』
強引にラビリアの手を取り、握手した
下だろうが上だろうが関係ない
絆というものは、常に対等だから
『お母さんもラビリアさんも仲良し、僕は二人共大好きですから・・・絶対に守りますよ!!』
『ふふっ、息子に守られる母・・・夫に支えられる妻・・・そんな家族、いいな』
『・・・もう、家族の一員扱いなんですね』
まだ、呆然としているエリアとトール
そろそろ察してもいいだろ
『私にとって、エリアもトールも家族同然だから・・・あ、六花もな』
よし、決まったぞ!!
私もやるじゃないか・・・自我自賛さ
『隊長殿に面会です・・・お目通しをとのことですが??』
『お、六花・・・私に面会だと・・・誰だ、こんなタイミングで』
そう、六花からデータを受けると
相手は、須賀麻里華だった
『手早いな・・・既にこの世界の手続きを無視しているにも関わらず、面会は正規でとか』
『どうするのですか・・・』
急に心配そうな感じで見てくるラビリア
ここでそんな顔で見てくるのか・・・私をどうしたい??
『会うに決まってるじゃないか、何でお前が私を不安そうに見る??』
『あなたはこの世界の顔なんですよ、管理者として心配するのは当然じゃないですか!!』
珍しいと思ったが、事務的だったな
まあ、そうだよな・・・少し期待してしまった
『心配なら、同行すればいいだろ・・・私だけで会うとは言ってないからな』
私とレッドとラビリアの三名でも構わないだろ
とりあえず、待っている部屋に向かうことにして
『レッドとラビリアは、基本的に口出し無用でいいからな』
『僕も来る必要あるのですか??』
『私を守ってくれるのですよね・・・レッドは!?』
よし、ラビリアが比較的その気になりつつあるな
これは、私の計画を順調に遂行できる
部屋の前に到着した
扉に詳細が記載されている
ゲストルーム03:ゲスト・須賀麻里華 ホスト・ライン
さてと、入るか・・・
『お待たせして、すまない・・・麻里華』
『あなたが、ラインさんですか・・・はじめまして、須賀麻里華です』
礼儀正しい綺麗な女性じゃないか
・・・と、顔を見て私は驚く
『麻里子じゃないよな??』
『やはり、姉をご存知でしたか・・・あたしは双子の妹です』
双子の妹・・・麻里子のヤツ、家族構成を隠してたな
今度会ったら、問い詰めるからな覚悟しとけよ!!
『ラインさんは、姉を感じますが・・・近々で遭遇していました??』
『・・・会ったのは、随分前だぞ』
残り香を感じるのか、女神の能力か
どちらにしても・・・強い絆で繋がっているようだな
とりあえず、麻里華の目的を聞くか
『姉の事は、後で詳しく話そうじゃないか・・・まずは、お前の目的を聞いてからだ』
『ラインさんは、基本的に上からなんですね・・・属性宝石に依存している感じですか』
雑談を交えてくるのか
話を長めにするつもりか
とりあえず、ラビリアとレッドを入れていいかを確認しておくか
『雑談をするなら、人数あっても構わないか??』
『人数!? 部下を待たせているのですか、でしたら入ってもらって下さい』
『ああ、すまないな・・・ラビリア、レッド入っていいぞ~!!』
二人を呼び込む
会話はデバイスを通じて把握していたから
私の呼び込みにすぐ反応して入ってくる
『失礼いたします』
『・・・失礼します』
礼儀正しく、ラビリアとレッドが一礼をして私の後ろに立った
対面で麻里華と私が椅子に座っている
ソファは単体用だから
机に合わせてあって
他の椅子が片付けられていて
それをラビリアとレッドの分を出す
空間に存在していなかった椅子
『・・・これが、データ世界の特性ですか』
若干、驚きを見せる麻里華だったが
事前に情報はあったようで
実際に見ての発言みたいだな
『データに関しては、このラビリアが管理しているから・・・知りたい情報は聞くといいぞ』
『・・・そうですか、後でお願いしますラビリアさん』
無言で麻里華を睨んでいる
基本、視力の悪いラビリアは
眼鏡をしていても、見る際に目を細める癖があるようで
それが、睨んでいると思われる可能性が高いために
色々と誤解を招くからな・・・
そのあたりを修正できるようにデバイスを調整すればいいのにと
打診した事もあったが
それは既に調整済みらしく、癖だから簡単に治らないみたいだな
『ラビリアさんは、あたしを敵視している感じですかね・・・女神ですが争いに来たのではないのです』
『これは仕様だから、気にするな・・・癖だと思ってくれ、基本優しいヤツだから』
と、レッドに視線を向ける
彼が一番把握しているだろうし
言葉もしっかりと選んで喋るだろう
『麻里華さん、ラビリアさんは真面目にデータの事を話してくれますよ』
『・・・はい、小さいのに礼儀正しいですね』
自分がより真面目だと把握しているのだろうか
そんな感じをさせない、ナチュラルに真面目を見せるレッド
麻里華もその誠実な部分を評価するだろうな
だが、レッドの情報をどこまで把握しているか
それ次第で彼への反応も変わるかもしれない
『レッドは私の部隊でも中心的存在になっているからな、見た目に騙されると痛いぞ』
ヒント的な感じだな、私もお人好しだ
それでも、相手がわからなければ・・・それまで
単独で私に会うために次元を超えて来るくらいだからな
ある程度の情報は、あるようで
私の言葉で理解してくれたみたいだぞ・・・
『ラインさんは、あたしにそんな提供をしても平気なんですか??』
『ああ、余裕だぞ・・・頂点に対等できるだけのギミックだから、ふふふっお前も知ってるだろ』
変な会話になってきてるな
まだ脱線するには、早すぎる段階だけど
『そろそろ、お前の目的を話してくれないか・・・余談ばかりじゃ、進まないぞ』
『ラインさんは何かに追われているのですか??』
そんな事聞くなよ!!
常に私は時間と世界に迫られている
女神は、みんな同じじゃないか・・・麻里華もだと思うのだが
『女神に聞く質問じゃないだろ・・・お前も同じ女神なんだから』
『・・・もう少し、面白みを出せる方だと思ったのですが・・・あなたが一番の真面目じゃないですか』
恥ずかしくなってきた
一番の真面目だとか、言われると困るぞ
ギャグを重視して、より面白く世界を盛り上げるようにしているのにな・・・
『麻里華さん、あまりラインを責めるのはやめてもらえますか・・・傍観だけと言われましたが、実力行使も可能なんですよ!!』
あれっ!?
ラビリアがご立腹だ・・・どうした??
レッドではなくて、私に気があるのか
『ラビリアさん、まだ早いですよ・・・』
レッドがスッとラビリアを制している
このやり取りは、何なんだろうか??
私を守るアピールの意図・・・
『ラインさんの側近は、かなり優秀ですね・・・あたしの思惑を察しての牽制みたいですから』
不敵な笑みを浮かべ
私に手を伸ばしてくる
『・・・興味あるのか、個人的に二人きりでなら構わないが』
『ふふふっ、その大きさは反則ですよ・・・愛理を連れて行った順子とかいう存在を思い出すわ』
愛理!?
順子!?
この名前は・・・天球の守護者じゃないか
そうか、天球から来たなら・・・当然か
『久遠愛理と沢渡順子か・・・あまりいい印象に無い感じだが、そのあたりが目的か??』
やっと核心に踏み込めるようだな
終始にこやかだった麻里華が表情を真面目そうにしている
『愛理にもう一度・・・再会したい、永遠を誓った相手なのよ』
『天球から来たのだろ、こっちで探すのは見当違いじゃないか??』
『ううん・・・愛理を連れて順子は旅をしているみたいなんです、愛理を感じる次元を巡って形跡を追っているんです・・・でも、見当違いなんですね』
強気な姿勢が一点して、恋する乙女の顔だな
本気だよな・・・永遠を誓ったとか言ってたし
でもな、順子が相手だというのが苦労する感じか
『麻里子の妹だとしたら、私はお前の味方だ・・・順子が相手だとしても、全力で抗うなら協力は惜しまないぞ!!』
『姉の知り合いだけで、そこまでの介入をするの??』
『知り合いか・・・まあ、お前には話してもいいかもしれないな』
私の基礎的な部分を構築する上で重要な存在だったりする
須賀麻里子との出会いは、私を女神へと覚醒する大きな起点となった
そんな麻里子との馴れ初めを、妹である麻里華に話す事になるとはな・・・