第13話:集う三賢者 ロキとオーディンの魅力
『女神と同等の演算を実現できるギミックを用意してくれたみたいですね、アリアさんは・・・』
『ふふふ・・・流石としか言えないな、完全に見透かされている』
私がイレギュラーな行動を起こしている
事象の集約を導くためのアクション
順子と私で派手に頂点争いをしているからだろうか
レジェンド達も黙ってはいないとは思っていたが
直接的なアプローチをしてくるリーアの妹だけはあるな・・・
『アリアさんの言われた通りになりました・・・信用はしていませんが、利用できるならと思いまして』
『そこまでして、順子に復讐したかったのか・・・宝石になったとしても復帰は可能だから、物理的な復讐を再発させたいなら含みを考えておくぞ』
『ラインさん!! ネメシスを惑わすのはやめてもらえませんか!? あたしは宝石で支配される未来でも覚悟の上でネメシスの永遠の復讐を完了形でとの結末だったのよ・・・わかってるの??』
『あはは、そんなの知らんわ・・・どうせ、ルビーでエメラルドを抑えるだけだろ??』
順子もネメシスもお互いの思惑を理解した上での行動なのだろう
相手がどのような存在も
腐れ縁なくらいの付き合いみたいだし
中途半端なやり取りで終わっているので
確実に裏で色々な対話はなされているのか
そんなことをしなくても、通じ合える間柄なのだろうか
事象の繰り返しによる、致命的な負荷を受けた順子のルビーも
ラビリアとレッドで復元作業を行っている
しかし、長年単独で動いていなかったためか
どうやら宝石を2個体内で保有させないとダメらしく
当初、彩がエメラルドだから
順子のために一緒になると話が進行していたらしい
同じエメラルドのネメシスがその代わりをすると言い出して
この流れをアリアは予測したのか
把握できたのか
どちらにしても、完全に私もラビリアも思惑に流されたのだろうな
『ルビーに勝てる宝石なんてありませんよ、それでも構わないと順子と同化できればいいのです』
『ネメシスは彩に嫉妬したのか・・・ある意味、愛の集大成だな』
終始、彩を睨んでいたネメシスだったから
この戻る流れを待っていたのか
彩が復帰したのは、ネメシスには好都合か
『あたしが魅力的なのが悪いのね、ネメシスも彩ちゃんも受け入れるだけの包容力はありますから!!』
順子は彩とネメシスを両脇に抱きながら
泣いていた・・・
『そろそろ本格的にルビーの復元を行いたいと思います、レッドさん以外は退室してくれますか??』
特殊な能力を駆使して
レッドは順子と繋がり同化に近い状態で復元作業を行う
ラビリアは外部からサポートすることになる
『さて、終わったらまた来るぞ!!』
愛理と彩とネメシスを連れて隣の部屋に移動する
かなり特殊な癖を持つラビリアくらいだろうか
嫉妬の塊のような存在にも関わらず
レッドが他人とイチャイチャするのを見るのが好きみたいで
狂ったように数日は荒れてしまうが
ストレスが溜まっている際に、より発散する意味があって
今回は緊急処置だから、ストレスではない
『私には耐えきれません・・・』
『だろうな、私も無理だ・・・レッドと順子は過去に関係もあるからな、不倫扱いだと思っている』
『ラインさんは堂々としているようで、かなりレッドさんに対して心配していますよね??』
『命を救う為とは言え・・・やはり肉体関係はダメだろ!?』
これ以上の会話は、私が暴走してしまいそうだったから
それをみんな察してくれたようで
話題を変更しようとしてくれた
『ネメシスさんの宝石化を準備しておかないといけませんね・・・ラビリアさんは彩さんを使う予定で進行していましたから、私が並行してやったほうが早いと思いますから』
『可能なら、場所は提供するが・・・今はほぼこちらで自由に使えるようになっているし』
『ここでも器具は不要ですから、今できるのはデータ整理のみです』
言いながら、愛理はネメシスのデバイスに自分のデバイスを接続して
直接作業を開始している
『作業中にすまない、愛理・・・順子はどのくらいで完治できるんだ??』
『・・・完治までは、1ヶ月は必要です』
思ったよりかかるみたいだな
具体的にどこに時間が費やす事になるのだろうか??
『宝石のドライブシステムの定着までの時間が半月以上かかりますよ・・・』
『すまんな、私の疑問を察知して答えてくれるなんで・・・申し訳ない』
さり気なく、私の心を見ているようだが
無駄なく行動をできるようにしているのか
このサポート力は凄すぎるな、ラビリアには悪いが・・・愛理とのコンビも魅力的だ
この期間があるからこそ、無理を承知でトールの知り合いを召喚するようだし
順子がまともに稼働できないから
天球と統合したシステムを構築して
私が主導でも管理が可能になっている
単純な氷機のみの相手だけならな・・・
別に難しく考える必要もない
まあ、戦う相手が同類だということだ
『そういえば・・・六花さんは大丈夫なんでしょうか??』
『今、トールが集中的な治療をしているから・・・問題ないだろう』
比較的に心配性なんだろうか
彩は自分よりも他人に対して気持ちが向いているみたいで
彼女の女神の特性でもあるようだが
自分より他人を心配する事で強くなるみたいだな
今回は、麻里華と彩に関しては
メインでの戦闘はさせないつもりだから
完全なサポートでゆっくりしていてくれればいいかと思っている
明日からのスケジュールをしっかりと決めておかないとダメか
ラビリアに順子を任せる形で、完全に愛理と私で22部隊を率いる事になるだろうが
それよりも首都の防衛隊として行動に変更するから
実際に異動となった後でなければ
具体的な事は決めるのは難しいかもしれない
『ラビリアさんより、ある程度の予定を打診されていますよ・・・首都異動後に照らし合わせて下さいと』
『・・・そうか、あいつも時間無いというのに』
氷機が本腰で攻めてくるらしい
刷新される事象で、私以外も特に身近な存在は
私以上に繰り返しの叡智を習得しながらで
レッドやエリアは、ほぼ同等の能力があるのではと思うくらいだし
トールはレッドと同じ独立したシステムを開花させて
より高みへ向かおうとしているし
ラスボスなラビリアは、私が思っている限り
拭えないのかもしれないが
今回でそれも終わりにする
私が本来目的としていた部分を
何故かエリアが実行しようとしていたのは、驚きで
その目的を順子も抱いていて
どうやら、実現に向けて
順調に進んでいるようだ
強制乱入・テレパシー:(順子⇔ライン)
順子:(あなた、無駄な思考を巡らせすぎです・・・もっとスマートにできないのですか!?)
ライン:(・・・うるさいな~順子は治療に専念しててくれ!!)
順子:(そう思うなら、心配させない心構えでいてくれませんか??)
ライン:(簡単に出来るなら、既に実施していると思わないか・・・)
順子:(思いますよ、だからこそ愛理ちゃんにもラインさんの情報を流しましたからね~♪)
ライン:(それでも、心配するのか・・・仕方ないな、彩を最中の場へ向かわせるぞ!!)
順子:(それだけは、やめてもらえませんか?? 他はいいけど彩ちゃんだけは、見せたくないです)
ライン:(だったら、大人しくしてろ)
順子:(レッドさんに言われたのよ、あたしだってジレンマなんだからね)
ライン:(それなら、レッドに逆に誘惑してくれよ・・・思惑はわかるよな??)
順子:(ラビリアさん以上に嫉妬の塊なんですから、意固地になって・・・まあ、わかりました)
テレパシー強制解除
最中にレッドが私を心配して
順子を通じて話すようにしたのだろう
余計なお世話だ
嫉妬もするし、不倫だと喚くけど
ビジネスサイドでの事情だと
泣きながら、割り切るのよ
そして、順子以上に愛してもらうのみ
簡単に愛を語る事はしたくないが
無限な愛を振りまくとする順子の求める世界に
私も同じように愛の溢れる世界を求めているから
ということでもないが
嫉妬することも、愛の形である
好きだから、別の愛に対して
思う・・・
全ての愛を受け入れるだけの心を自分で愛せるようになれれば
『順子ですか??』
『ん、ああ・・・大丈夫だ、あいつは優しいヤツだよな~♪』
愛理は、やはり順子の事わかるのだろうな
まあ、私の反応は比較的わかりやすいからでもあるだろうか
すぐに順子が語りかけてきたと判断したみたいだ
『ラインさん・・・』
『大丈夫だと、言ったろ・・・ここは察してもいいところだぞ!!』
『すいません・・・気になってしまいましたから、まだ慣れない環境に戸惑いがあるのかもしれません』
『そうか、だとしたら・・・もう少し楽に考えるように心掛けろ』
このあたりはラビリアと違う点だろうか
淡々としていて、緊張などをしているように見えない愛理だが
心が繋がっている状態である私には
手に取るように心の動揺がわかっていて
不安が拭えないみたいで
これは、私がしっかりと和らぐ環境を構築するのを・・・
愛理には悪いが、今後一番重要な存在であるから
多少、無理だとしても強引に行動をしてもらうことになってしまう
だから、そうならないように
私は出来るだけ、愛理を重視した流れを当面の間
最優先事項だな
『レッドさんと順子の情事が始まったみたいですね・・・』
『恥じらいながら、言わないでくれ・・・泣くぞ!!』
順子のルビーの修繕作業中
深くリンクするための準備をレッドが行っている
システム同士を親密に繋げて
ほぼ直接レッドがルビーを復元させる
順子とレッドで“性交渉”を行っている
肉体的な繋がりが不可欠であり
最中で、ほぼルビーが復元できる
まずは、順子のメインであるルビーを完全な状態に戻す必要があり
更に安定するために
彩ではなくて、ネメシスのエメラルドを取り込む
宝石化は女神の特権の一つでもあって
肉体が維持できない場合や
複数で融合する際などに、用いられる技法で
意識が宝石の状態でも存在していて
宝石のまま“生きている”が実現可能だ
短期、長期に関わらず
麻里子が私の中で潜伏していたし
五祝も六花に託すために同じ事を行っていた
作業的な意味合いで割り切れればいいが
レッドを愛する私には、耐えきれません
しかし、順子を失う方が
今後のレッドとの関係を永遠にするために
順子も必要です
リーアと対峙する最強のギミックは愛理だったりするが
そんな愛理と一番近しいのは
麻里華ではなくて、順子だと
私は思っている
だからこそ、順子と愛理を二人共味方にしなくてはならない
『ロキと名乗る方より、打診があるのですが・・・どう対応しましょうか??』
『・・・ロキ?? なんだろう、来るのは明日の予定だが・・・前倒ししたいとかか??』
割り込み・テレパシー(ライン⇔ロキ、愛理)
ライン:(システムの中心に向けて交信をかけたのか、ジオである私を無視したわけではないよな??)
ロキ:(・・・面倒な手続きは、嫌なんだよね~)
愛理:(明日まで待っているのが辛くなってしまったようです)
ライン:(フラッシュゲートは固定座標で時間設定してあるから、変更ができないぞ)
ロキ:(解除は可能だよね・・・自力でそっち行くから)
ライン:(自力だと!? お前、次元デバイス所持者か??)
愛理:(レーヴァテインという、次元刀に次ぐ装備を持っていますよ)
レーヴァテインか・・・
三賢者の装備はトールのミョルニルも含め
ジオクロニクルの上位装備だったりする
リーダー格のロキの装備だからな
空間を切り裂く能力があるのだろう
ライン:(私も、早くお前達と会ってみたいと思うからフラッシュゲートを解除しておくから)
ロキ:(お!! 話のわかる相手で助かったよ~)
ライン:(登録は済んでいるから、1日早くても問題はないだろう・・・じゃあ、待ってるぞ)
愛理:(次元壁に影響があるようですから、対処に10分だけ待ってもらえますか??)
ロキ:(・・・10分でいいのか、そのくらいは待つ)
ライン:(時間経過と同時にフラッシュゲートを解除するから、完了の合図としてくれ)
ロキ:(わかった・・・では、直接会おう)
強制終了
流石と言うべきか
トールの知り合いは凄いヤツかもしれないな
もう一人のオーディンも凄いのだろうか
何か、ワクワクしてきたぞ
今の会話を聞く限り
鬱陶しい相手だと容易に判断できるだろうが・・・
私は、そんな相手の方が面倒なやり取りなど
難解な感じが、どうも好きな特殊なヤツなんだ
『ラインさん、次元壁の調整が完了しましたよ』
『・・・早いな、愛理ありがとう』
10分というのは、余裕の時間だったようだ
作業に3分もかかっていなかった
『では、フラッシュゲートを解除して・・・』
『予定より6分も早かったな・・・仕事の出来る奴は嫌いではないぞ、色々とロキが楽できるし~』
『・・・あ、初めまして・・・オーディンと申します』
解除とほぼ同時でロキとオーディンが目の前に現れた
どこまでセッカチなんだ
『私がラインだ!! よろしくな』
『初めまして、久遠愛理です・・・よろしくお願いします』
可愛らしい二人だ
細身で少女のような純粋無垢な感じのオーディンと
そんなオーディンにもたれ掛かるように弛れている子供のような小柄なロキ
見た目で言えば、強そうには思えない
だが・・・登場時の戦闘力が尋常ではなかった
次元壁を超えてくる際に瞬間的に数値を高めていた
速報値ではあるが、兆単位を出していた
『女神の強さの基準にある“可愛さ”が特化しているみたいだな・・・レジェンドクラスに匹敵できそうだ、三賢者のトリオが強い理由は無垢なキュート感か』
『・・・そんな事は、どうでもいい!! トールはどこだ??』
『比較的重要な事項だったが・・・まあいいか、トールは六花を治療中だ』
ロキとオーディンの手を取り
六花の治療中のメディカルルームに移動した
この階層は8割が治療を専門とする部屋だったりする
治療に時間がかかる場合
設備のある部屋で集中的な施しを受ける
順子はラビリアとレッドが宝石の復元を行うために使用している
六花はトールのスキルでの治療だから
一般的な部屋でもいいが、環境的な意味でメディカルルームを使用するように私が指示した
『トール~久しぶりだな・・・』
『トールさん、お久しぶりです』
女神でしかも二人の知り合いであるトールだから
こちらへ来た事はすぐに察知していたみたいで
更に私が連れてくる事もわかっていたようで
特に驚くような感じでもなく
再会も、普通にしていて
長期間の意味を感じさせない態度で
『早かったですわね・・・ロキさん、待ちきれませんでしたか??』
『・・・お前~もう少しは再会な感じを出してもいいんじゃないの~!?』
『いいではありませんか~わたくしは常にお二人を感じておりましたから、再会感をあまり思えませんわ』
『わたしが無理を言って・・・ロキさんは自分のために動いたのではありません』
『わかっておりますわ、ロキさんが自分から動くなんてオーディンさんのためだとすぐに判明しますわ』
再会してすぐにこんなにニコニコしての会話を行うなんて
相当の仲なんだな・・・これは、想像以上の期待かもしれない
レジェンドクラスの装備を差し置いての上位を占める三賢者の装備もあるし
それを扱う女神自体も強力な能力を保有している
氷機討伐は、あくまでもこの世界でのルーティンでしかない
本来の目的であるリーアとの対峙に準備する
まあ、具体的な三賢者自体の目的を確認していないから
敵対する可能性も無くはないが
トールが当面は味方だと発言している部分を信じるしかない
『トール、六花の容態はどんな感じだ??』
『六花さんは、90%と言ったところでしょうか』
『そうか・・・では100%までは付き添ってくれ』
『わかりました、完治まで添い寝してますわね~♥♥』
レッドやエリアにも見せないようなくらいに嬉しそうにしている
こいつ・・・いつの間に六花をここまで気に入ったのだろうか??
テレパシー(トール⇔ライン)
トール:(最初からですわよ・・・レッド様は特別ですがエリアさんは六花さんを攻略する際のパートナーでしたから、わたくしを提供する代わりに六花さんとの仲を徐々に縮めるように)
ライン:(・・・やはりエリアも順子から奪取していたか、ある程度の介入は私の近くでは可能だがそれ以上の行為は順子から直接スキルをコピーしなくてはならないからな)
トール:(エリアさんは、結城亜沙美さんという方と共謀して女性だけの新世界を目論んでいるらしいですわね・・・わたくしも誘われましたがレッド様がいない世界は却下ですと即答しましたけれど)
ライン:(亜沙美?? ああ~順子の仲間のか・・・ちょっと、後で順子に確認が必要だな)
トール:(ちなみに三賢者自体は・・・レッド様と一緒なら、特に問題はありませんわ)
ライン:(何!! くぅ~お前らレッドとどんな関係があるんだ!!!!)
トール:(・・・ラインさんほどではありませんわ、ただ順子さんの言い回しですと一員ですわね)
順子のだと・・・
あいつ、本気でレッドを中心としたハーレムを作ろうとしているのか??
正妻を私でも構わないと言い出したのは、一夫多妻を基本とした考えだからな
ライン:(それで三賢者は順子に加担するというのか??)
トール:(・・・厳密には違いますが、概ねそうなりますわね)
ライン:(私と順子の中間的な立ち位置という事か・・・まあ、いいわ)
トール:(最終判断はレッド様の意見次第ですわ)
ライン:(シックスカラーの影響でお前は狂ってしまったみたいだな・・・私の責任だろう??)
トール:(ラインさんは悪くはありませんわ、育ってきた環境を憎むべきです・・・だからこその計画だったのですわよね??)
ライン:(・・・答え難い・・・否定も肯定もしないぞ)
トール:(わたくしは、笑顔の絶えない愛で溢れた世界なら・・・生きていると実感出来るかと)
ライン:(私に限りなく近いじゃないか・・・トール)
トール:(うふふ・・・)
強制終了
『六花が完治するまでは、ロキとオーディンが最前線で戦う事になるが構わないか??』
『う~ん・・・本当はあまり動きたくないんだけどね~仕方ないな、ラインさんが隊長なんでしょ』
『ああ、問題でもあるのか??』
『いや・・・そういうことじゃなくて、隊長が前線で戦うのは・・・どうなのかって思って』
『少数の特殊部隊だから、当然だと思うが・・・違うのか??』
『何ていうか、ロキが隊長なら指揮して自分は出ないかなって思っただけ・・・』
私が未熟だからか??
ロキは何が言いたいのだろうかが理解できなかった
通常の部隊なら、隊長は率先して行動しない場合も多いが
今回は若干人数は増えたが
それでも少ない人数の部隊だ
隊長自らも戦うのは当然だと思うのだが・・・
『ロキさんはあなたを心配しているのだと思います、リーダーが先に倒れては誰が部隊をまとめるのかってことではないかと・・・』
『・・・そうか、ロキの考えは参考にさせてもらうか』
『別に、ラインさんがどうなろうとロキには関係ないけどね~』
そう言いながらオーディンの後ろに隠れてしまう
やはり私にはロキの行動は不明すぎる
当面はトールに確認した方がいいかもしれないな
『基本的な指示は私が出すが、細かい部分は愛理が補足してくれるから』
『あ、よろしくお願いします・・・後、ロキさんとオーディンさんにこれを装備してもらいます』
二人に眼鏡型デバイスを手渡す
電脳異空間と天球で行動する際
この眼鏡型デバイスを装備していないと
女神のスキルなど必要な制御関連が上手くできない
これは、侵攻してくる別の世界の女神に対して有利にするためだ
まあ、レジェンドクラスには無意味だと思うが
それ以外の場合
即効で影響が出るから
速攻で倒せるだろう
無駄な時間は使いたくないからな
特に天球には侵攻する女神が多いと聞いている
実際、過去に何度か遭遇しているし
ネメシスも該当する
最初で言えば、私も侵攻しようとしていたから
当初は順子に敵対する存在だった
『デバイスで眼鏡を強制するのか~なかなかの策士だな、愛理は・・・ふふ』
『気に入らないのであれば、有事の時だけでもいいぞ・・・まあ、耳への装着だけは必須だが』
『ん、ああ~別に眼鏡が嫌いとかじゃないから・・・有能な存在だと褒めただけだ』
『ふふふ・・・そうか、それならもっと実感すると思うぞ・・・ははは』
変な感じで私とロキがニヤニヤしている
勿論だが、当事者の愛理を二人で凝視しながら
まあ、当然ながら・・・かなり怖がってしまっている
『すいません、私を二人して見つめるのは控えてもらえませんか??』
『恥ずかしいか・・・ロキ、自重らしいぞ』
『そうか、わかった・・・』
とりあえず、ニヤニヤと愛理を見る事を一旦終えた
距離感は不明だがロキとは楽しく過ごせそうだな
オーディンは控え目な感じがして
トールとだけ会話を主にしている
これは、ロキ以上にオーディンとはトールを介して仲良くできればいいが
『自分で言うのも変だと思いますが、私の・・・いえ、何でもありません』
『どうした愛理?? あ、氷機が来たのか・・・ふふふ、謙遜は無用だぞ』
『もう少し察してくれてもいいと思うんだけどね~ロキちゃんの魅力を世界に疲労・・・披露する』
『謎のボケなんてしなくていいぞ、ロキ』
察しているから、このタイミングで氷機が侵攻をしてくるのだろうな
本当にラビリアは操作していないのか、気になってしまう
今は、そんな事はどうでもいいか
ロキとオーディンの即実戦、ミョルニル以上の装備にも注目しようか
『はじめまして~ロキちゃんの“保護者”レーヴァテインで~す☆彡』
『“カリスマウエポン”グングニルよ~♪ オーディン頑張ろうね!!』
ジオクロニクルに記載される
ソウルウエポンの単純な強さで“次元刀”に次ぐ2~4位に連なる
レーヴァテイン、グングニル、ミョルニル
それぞれ剣、槍、鎚となる
トールハンマーの威力を知っているだけに
どのくらいの破壊力なのか、楽しみだ
『ロキにオーディン、急ですまないが出撃を頼む・・・私もサポートで出撃するからな』
『仕方ないな・・・早く終わらせて眠りたい』
『・・・緊張しますけど、頑張ります』
それにしもカリスマウエポンって何だ??
そんなに優れいているのか
自分でハードルを上げるだけの余裕があるのか
実力が本当に凄いのだろうな
『氷機が首都に侵攻を開始したようです、緊急で殲滅要請が来ています』
『ついに首都侵攻が主体となってきたという事か・・・ロキ、オーディン私がすぐに前線へ連れて行く』
旧ユーラシア大陸の極東にある島
データ化した後の統一国家となったこの世界の首都
日本と呼ばれていた国の中心だった都
東京が現在の首都となっている
ラビリアに出資した大企業エンシアの一族の末裔が皇帝として君臨している
安定した政治を常に行ってきた優秀な叡智を受け継ぐ若き陛下
エンシア6世
レッドと同じ14歳の少女であるが
ダイヤモンドを保有する光属性の女神であり
多分だが、レジェンドクラスに匹敵するだけの実力はあるだろう
次元の管理は私が行っているが
世界の統治はエンシア陛下がしてくれている
勿論、面識もあり
何度も謁見している
数日前に、陛下から氷機が首都侵攻を主体とする行動に変更してくると
それに際し首都防衛隊を結成してその隊長として世界を守ってほしいと打診された
これは、何度も繰り返される事象でも同じように流れがあって
これを行うのは重要な事だと熟知している
だから、断ることはしないし
それに向けての準備も始めている
『簡単な要件だけ話すが、詳しい事は帰還後で申し訳ないがじっくりと時間を作る』
『う~ん・・・帰還後も別に時間作らなくてもいいよ、大体はトールに聞いているから』
『わかった、知りたくなったらいつでも言ってくれ・・・じゃあ、行くぞ!!』
再び、ロキとオーディンの手を取り
氷機の侵攻する手前に移動した
到着して、すぐにレーヴァテインとグングニルは武具の形状に変化していた
レーヴァテインはロキの小柄な容姿もあって凄く大きく見えたが
実際にも私の倍くらいのサイズはあるかと思うくらいの長さだった
グングニルは比較的手頃というか、オーディンに合うサイズというのか
2m未満の長さだろうか
私とほぼ同じくらいの感じだな
『眼鏡は面倒だから、常に出しておく事にしよう~世界の光も遮断出来るみたいだし』
『ラインさん、指示をお願いします・・・』
ここまで対応力の高さ・・・順子達に匹敵するな
まあ、私は手間が省けていいが
『すぐに愛理から、氷機の詳細が来る・・・とりあえず殲滅してくれればいい』
『うん、周囲の被害は気にしたほうがいいのか??』
『そうだな、比較的気にする方向で頼む』
22部隊専用通信:(愛理⇔ロキ、オーディン、ライン)
愛理:「現在侵攻中の氷機の情報をデバイスに送りました、ご確認下さい」
ライン:「愛理ありがとう、フラッシュゲート反応を注意しててくれ」
愛理:「わかりました」
ロキ:「便利なシステムだな、思考だけで操作可能なのか・・・これは有能だな」
オーディン:「氷機さんの情報を把握しました・・・これって生命ではないのですか??」
ライン:「とりあえず、無人兵器だから機械自体にも生体反応はないぞ」
ロキ:「オーディンは優しすぎるからな・・・殺生はしたくないんだよ」
愛理:「女神同士の抗争には不向きですね・・・フィーバーモードを導入しましょうか??」
ライン:「とりあえず、準備だけしててくれ」
愛理:「わかりました、調整しておきます」
ロキ:「時間の概念を無視できるのか、色々とご都合主義だな~」
ライン:「ロキお前、核心に迫りすぎると危険だぞ・・・わかっているのか??」
ロキ:「ロキちゃんには、わかんないも~ん♪」
トール:(割り込み失礼いたしますわ~)
ライン:「どうした、トール・・・」
トール:「すみません、ロキさんが暴走していないか気になりましたもので」
ロキ:「トールに心配される筋合いはあるが・・・いや、無いわ!!」
ライン:「お前らは仲いいな~漫才みたいで面白いし」
トール:「そうですわね、仲良しですわ・・・うふふ」
ライン:「暴走はしていないが、予兆はあるかもな・・・まあ、平気だと思うぞ」
暴走して消えるのは、当人のみだからな
物理的な行動であれば、私が介入して止めるのみだ
ロキがクレバーな存在だろうから
私は問題は無いと思っている・・・