第10話:世界震撼 トールハンマーの威力
世界崩壊警報か・・・
トールだろうな、ハンマーで氷機を叩くつもりか
ははは、六花も大変だろう
っと、他人事ではなかったな
終わったら、しっかりと労ってやらないといけないな
色々と頑張っているだろうから
特にトールの扱いとかは苦労するだろう
今回は、何故か六花に固執し始めているようだし
さて、六花の様子はどうだ・・・
・・・・・・・・・・
隊長殿が突然介入していて・・・驚きました
と、言いますか
一連の流れは全て、把握なされているのですね
実際に会う時、恥ずかしくて泣いてしまうかもしれませんが
見守って下さっているのですから
絶対に泣きません!!
トール:(女神には筒抜けですわ、皆さん察して話さないだけですよ・・・)
麻里華:(悪い表現ですよ、女神でも遮断して聞こえないようにしていますから)
この二人の発言は、どちらでもあるのでしょう
だから、無理には共に悪いとも良いとも言い難いです
六花:(表も裏も真実も嘘も全てが良いとも悪いとも言えませんから・・・自分も女神ではありませんが善し悪しありますよ)
通信やモニタの計器類が一切機能していない状態で
戦っている二人の能力を信じるしかない
特にトール殿の攻撃力が大きく影響するでしょう
六花:(申し訳ないのですが、麻里華殿とトール殿のビジョンを自分とリンクしてもらえませんか??)
麻里華:(わかりました、ネットワーク一切繋がっていないのですね)
トール:(わたくしと繋がりたいだなんて、六花さんから誘ってくれるなんて・・・)
反応に関しては、一切しません
発言もしません
今、アクションを起こしたら・・・心を保てません
既にリンクしているような形ではありますが
テレパシーに加えてビジョンも多重でのリンクは
双方に負荷がかかるために
基本的にはしません
自分も含めて、相手にご迷惑となってしまうからです
二人のテレパシーのみでは
指示すら、的確にできません
麻里華:(こちらへ比重を高めに調整してありますから、トールさんをメインで戦ってもらうためです)
六花:(わかりました・・・麻里華殿よろしくお願いします)
機能が停止しているモニタを麻里華殿のビジョンにより
戦いの映像として擬似的に投影させました
目の前にトール殿が巨大な鎚を構えている
トール・サファイア=プラスミョルニルエディション
装備重量:2000t
追加攻撃力:+2兆
放出ソウル:80%以上
総合戦闘力:92兆
兆クラスで攻撃するつもりですか!?
確実に勝てますが・・・空間損失20%では済まされませんって
トール殿は、いや・・・こちらが全力で復元させればいいだけの話
六花:(トール殿、全力で振り下ろしていいですよ・・・こちらも全力で復元させますから~!!)
トール:(それは・・・わたくしの愛を受け入れて下さったと解釈してもいいですわね~♥♥)
六花:(構いません・・・自分もトール殿と真剣に向き合ってみます!!)
それ以降、帰還するまで恋路に関するトール殿の言葉はありませんでしたが
笑顔で戻ってきたから、特には気にすることはしませんでしたが
自分・・・物凄い発言をしてしまっていたのです
武人として発言していたつもりでした
しかし、一人の恋する相手に対しての発言ですよね
流れ的に・・・疎いと言われても、文句は言えません
でも、後悔はしていません
トール殿も不可解な行動はしますが
基本、真面目で几帳面な方で
自分とは相性も悪くはなかったですし
楽しめるかと思っています
麻里華:(トールさんに映像固定しましたよ)
六花:(はい・・・ありがとうございます)
ビジョンは、使用者の視界を投影するスキルなんですが
特定の存在を追尾できるように視点を固定する事が出来ます
麻里華殿がこちらの意図を把握してくれて
主に戦うトール殿を重視した形にしてくれました
固定しない状態であると
麻里華殿が常にトール殿を視線で追わないといけなくなり
自分以上に他人を重視することは難しいと思います
氷機も増援など、方舟以外に出現の可能性もあります
トール殿が方舟討伐に専念できるよう
麻里華殿に待機してもらえます
トール:(麻里華さん、感謝致しますわ・・・)
麻里華:(一緒に戦っているのよ、必ず勝つと決めたのですからね・・・)
この二人のコンビは
にわかではありますが、凄く意気が合っているようですね
変な柵が存在しないからでしょうか??
あまり話したくはありませんが
過去に無数なくらい、近しい存在では対立していた事もあったりしましたから
逆に遠いと言いますか
初見な相手の方が、トール殿にはいいのかもしれません
そして、麻里華殿は
誰に対しても同じように接する事ができるようですね
相手がトール殿でなくても
問題なく勝ちを得て凱旋できるでしょう
トール:(惑星震撼の影響力は10分ですわ~星全体が対象となります)
六花:(全部引き受けます・・・自分が全力で演算で惑星崩壊は阻止します)
多大なるトール殿の攻撃は
方舟に及んだ以降の波及する対象が世界全体に広がる
それを警戒して、躊躇してしまっては
倒せる相手も失敗の可能性が出てしまう
そんな、些細なリスクであっても
しっかりと自分が制御できなくては
隊長殿の代役とは言えません!!
六花:(例え、無量大数を叩き出したとしても・・・上限を超えた許容量でも耐え凌ぎます!!)
麻里華:(トールさん、あなたの仲間を信じて全力で方舟を壊してみせて!?)
トール:(幸い、順子様も居られますからね・・・世界が崩壊することはないでしょう、ふふふ~♪)
笑みとは裏腹に
一気にトール殿の戦闘力が増大していきます
既に兆単位を超え
京に突入している数値
世界の耐久性が極限まで高められているのですが
聖域展開に対しての衝撃が空間喪失に転換され
一気に世界が崩壊を始めるでしょう
データ化されたこの世界では
ダメージによる割合で空間が喪失していく
全てが数値で決まるために、これをどうやって制御するかは
操作する対象者の演算で左右されてしまう
圧倒的な演算力を持つラビリア殿が世界を構築しているために
彼女の基本的な能力にどれくらい近づけるか
隊長殿は、それを遥かに超える能力を保有しているから
自分は女神ではありませんが
天性の能力による演算で頑張ります
ミョルニル自体の数値も増大しているみたいで
相乗で破壊力が凄い事になるのでしょう
自分が壊れたとしても、絶対に世界だけは守ります!!
既に防衛できる状態で待機していて
振動対策や復元速度の調整も
準備だけは万全であります
トール:(溜まりましたから、方舟を破壊してきますわ~♪)
数値が冗談ではなく、那由多まで上がっていて
本気で世界を壊すだけの攻撃になりますね
弱音は言いませんよ
モニタに映るトール殿が移動を開始
それとほぼ同時くらいで方舟の主砲がトール殿へ直撃する
六花:(トール殿~!?)
麻里華:(加速で押し返していますね・・・多分ですが、平気ですよ)
麻里華殿の言われた通り
トール殿は、主砲を押し返し直進している
そして、その勢いのまま
方舟の上部に移動して
一気に鎚を振り下ろしました
聖域に接触したため
方舟の周囲の空間がオーロラのように輝く
天使や女神が基本的に使える絶対防御
自身の戦闘力未満の攻撃であれば、一切無効にできる
それを超える場合でも、多大なる防御を発揮する
しかし、一長一短であって
無敵な盾ではありますが
これが破られた瞬間が、自身の終焉となるのです
聖域崩壊=宝石喪失
となってしまうために
女神以外は、そのまま死に直結してしまいます
更に女神も一時退場扱いで
この防御の使用には、常にリスクを伴います
氷機の模した方舟は
常に聖域を展開している状態です
その聖域に接触している鎚が圧倒的な差を見せる
空間が方舟ごと崩壊を始めている
勝ちはこれで確定しました
後は・・・世界を攻撃の余波から守るだけです
白い方舟の戦闘力は2000兆
防御タイプの聖域を展開していて
戦闘力の1000倍の防御力と同等となっていましたが
そんな些細な数値では、トール殿の攻撃を受け切れることはできず
ほぼ、瞬殺でした
黒く歪みながら、方舟のあった空間が喪失していく
世界全体の30%の空間が今のトール殿の攻撃で喪失してしまい
今、それを必死に復元している
更に、同時に振動が世界中に起こり
それによる影響も相当出ている
六花:(空間復元10%進行中、震撼による大地への影響軽減皆無・・・ああ~どうしたらいいのでしょうか、弱音は言わないと決めたのに~!?)
麻里華:(トールさんを見失いました・・・固定のビジョンも衝撃の影響で消えてしまいました)
世界も大事ですが
トール殿・・・どうなされたのですか~??
こちらでは捜索に使える人材を出せる余裕はなさそうですね
麻里華殿に任せるしか・・・
司令部の機能は未だ、復旧していません
モニタに投影されたビジョンも消えてしまい見えていません
『私の寝ている間に、大変な事になっていたようですね・・・六花さん??』
後ろから声がして
その相手がラビリア殿であると振り向かずにわかった
姿を見て、安堵したからでしょうか
『・・・どうしたのですか、六花さん??』
『ううっ、弱音は言わないと隊長殿の代役として自分は・・・』
泣き崩れてしまいました
申し訳ありません、自分には荷が重すぎました
本当に・・・申し訳ありません
『後は、私が対処します・・・』
『・・・ラビリア殿、ごめんなさい』
力なく、地面に座り込む
気丈で無理をしていたようで
そのまま、気を失ってしまいました・・・
・・・・・・・・・
まだ、回復しきれてないが
もう、十分だろう
ラビリアも復帰してきたみたいだし
私も戻ろうか
『愛理も来るか?? ラビリアが復帰したようだ・・・それに少し手伝っても欲しいから』
『いいですよ、私で役立つなら・・・順子と麻里華は待ってて』
二人がそれに手だけで合図していた
そこまで話に集中しているかのようだが
まあ、別にいいか
愛理の肩に手を置き
司令部へ瞬間移動で
六花とラビリアの前に到着
『来ると思っていました・・・愛理さんもご一緒でしたか』
『愛理がお前に大事な話があると、私は邪魔なら六花を連れて介抱してくるから』
どちらにしても、心労で倒れた六花は寝かせたい
その意図は二人もわかっているだろうが
意味深な言い方を私がしたから
特にラビリアが睨んでいたな・・・
『六花さんを置いたら、すぐに戻りなさい!?』
去り際にラビリアが叫んでいた
内容が、私も含めた事を話すからな
順子にも関わりはあるだろうが、愛理は何で待つように言ったんだ??
医務室のベッドに六花を寝かせる
本来なら、宝石の活性化を促す装置を使用するのだが
自然治癒でゆっくり休ませておこうと
私のスキルだけを施して、再び司令部に戻る
『概要だけ、愛理さんから聞きました・・・滞在延長を申請して、愛理さんと私で新たなシステムを構築します・・・完成まで私と愛理さんは戦線離脱状態でお願いします』
『新たなシステムか・・・それで私も必要だったか、でも順子はいいのか??』
順子は事前に愛理が処置を済ませておいたようで
後は私の処置だけのようで
『順子には既に必要分は完了していますから問題ありません』
『物凄い事になりますよ、ラインと順子さんのコラボレーションが実現しますからね』
私と順子のコラボか・・・
そうか、あいつが言っていたのは
これだったか
前回は順子と戦う事になって
私が勝利で幕切れだった
最後の瞬間に順子が
『次回は、お互いイレギュラーな事をするから楽しめるわよ・・・後、ラインさん大好きよ~♥』
と・・・
大好きと告白されたことはいいのだが
イレギュラーな事に関しては
私も順子も今までに無い流れで動いてきている
そんな流れが加速した先の変化として
順子と私は、対立ではなくて共同という選択になっている
更に、新しいシステムは
ラビリアが凄い事と言っていたように
本当に凄いから
完成したら、説明する際
興奮してしまうかもしれない
冷静なラビリアと愛理にお願いした方がいいだろう
『リセットなしで再構築しますので、明日には完成すると思います』
『そんな時間でできるのか~!?』
数日はかかるのかと思ったが
明日に終わるらしい
『ほぼ愛理さんが基礎を設けてありましたから・・・それに、順子さんとラインあなたの演算も借りて行うから、速度的には瞬間だと思っていいわ』
『ですが・・・まずは、トールさんの攻撃の影響を阻止しなくてはなりません』
そうだったな
トールの攻撃による世界の空間喪失がまだ完全に収まっていない
折角の功労者が破壊者となってしまう
六花も苦戦していたからな
あいつも世界でも上位の能力者であるが
今、頂点とも言えるラビリアとその師に近い存在である愛理も
苦戦しているところを見ると
相当、破壊が進行しているようだ
『復元は間に合いそうか??』
『わかりません・・・異常加速を起こしていますから、順子さんにお願いするかもしれません』
『私のところへ、順子から打診されていますが・・・どうしますか??』
ラビリアは、何でこんなに落ち着いているのだろうか!?
愛理も冷静に処理を行っているし
順子の必要はないのでは・・・
少しして、司令部の機能が復旧する
氷機の仕業だったみたいだったが
今まで、そんなギミックなかったと思う
これも新たな事象への導きだろうか
それともリーアの陰謀だろうか
過去の事象とは異質な部分を大きく見ることになるのかもしれないな
『面倒です、順子さんとラインで事態を収めて下さい』
『そうですね、呼びましたから・・・後はお願いします』
そう言い残して、ラビリアも愛理も司令部からいなくなってしまう
面倒って・・・おいおい
まあ、それだけ新システムが重要なんだろう
相当凄い事になるみたいだし
順子も一緒なら、半分くらい壊れたとしても復元できる可能だと思うから
『こちらの世界は、休む暇も満足に与えてくれないのですね~!!』
若干、苛立ち気味の順子
麻里子も一緒に来ていた
『麻里子も可能なら、お手伝いしますわ・・・順子さんとの話の続きを早くしたいです』
珍しく、普段怒る事をほぼしない麻里子だが
自分の夢の実現の計画の話を中断されたからだろうな
順子ほどではないが、少し怒っている感じだ
『そうか・・・だったら、妹の力を借りたいが構わないか??』
『麻里華ですか!? 本人に確認してみないとわかりません』
別にエンジニアというわけではないが
麻里華の能力は特殊で
どんな分野であっても、速度という観点で
多分、女神で頂点と取れるだけの速さを保有しているかもしれない
『すいません、ラインさんの思考を察して・・・来てしまいました』
『お・・・今だけは、気にしないぞ!? お前の速さが必要だから』
このタイミングで私の心を読むとは
わかっているな~
さて、役者は揃ったぞ
『この4名なら、確実に復元させて崩壊を阻止できるだろう』
圧倒的な演算を誇る順子
まあ、私も準ずるくらいはある
そして、サポートとして最も有能な双子姉妹
姉も妹も察する能力に長けていて
潤滑な行動を促してくれる
更に妹の麻里華の速度を、全てに転換させて
復元の時間を短縮して
確実にはそうだが
特に時間を重視してみた
『ラインさん・・・あなたの部隊のメンバーは、特化しすぎよ』
『知らんわ~私だって、持て余しているくらいだし・・・個性で片付けているぞ』
皮肉を私に対して、トールだけではなくて
全体を称して言ってきたから
誇りを持って、個性だと言い返してやった
『これが、リーダー気質ですか・・・あたしもこの発言が出来るように頑張ろう~♪』
あらっ!?
真面目に感じ取ったか
順子もリーダーとして、まだ悩みとかあるのだろうか
お互い、コンビとなるのだし
悩み相談でも受けてみるか??
『姉妹で一緒に作業なんて、久しぶりです・・・』
麻里華はニコニコしながら、見えない手の動きで復元作業を行っている
隣でゆっくりと作業している麻里子
『麻里子は、これで本当にいいのですか~??』
『ああ、妹の仕事が捗っているから・・・問題ありません』
私や順子よりも麻里華だけで十分なのでは
そんな圧倒的な速さで復元が行われる
物凄く惜しい人材ではあるが
愛理と契りを交わしているようだから
順子も同じように思っているかもしれないな
『あたし、無駄足だったのではと思っていますが・・・役に立ってますか??』
『単純に、私とお前が存在しないと復元作業自体ができないからな・・・無駄ではないぞ』
麻里華の仕事が異常に速いと言っても
それを世界に反映させる事ができなければ
それこそ、無駄になってしまう
私と順子は、世界に干渉できるが
麻里子も麻里華も二人共、世界には干渉できない
遠隔的な事は可能でも
実際に行動をするのは、管理している女神である私だし
それと同等である順子だったりする
『ラインさんと順子さんが居なければ、成り立ちませんよ』
『須賀姉妹は、あくまでもサポート役ですわよ・・・順子さん』
麻里子も麻里華もよくわかっている
順子は、特に気分屋な部分があり
冗談気質で語る事も多いが
基本は真面目で
一生懸命だったりする
しかし、その本質を理解していないと
さっきのような事は言えないだろう
本気でどこまで思っているかは、私はあえて控えさせてもらうが
二人に関して言えば、半分くらいかもしれない
『太鼓持ちも、楽な仕事ではないのよね・・・あたし、気を使わせているのね』
かなり真面目モードな順子だな
なんだろう、この世界が苦手とは言っていたが
冗談抜きで、蝕まれている可能性がありそうだ
『順子・・・隊長としての命令を受けてくれるか??』
『どうしたのよ、急に・・・まあ、部下ですから受けますけど』
折角の戦力なんだが
今後を考えると、酷使させるのは・・・
普通に出撃も控えてもらいたい
『事務方の能力を発揮してもらおうか・・・お前、あまり戦いには向いてないからな』
『・・・いいですけど、あたし別に・・・わかりました』
何か言いかけたが
躊躇して、やめたな
私が察したことに気づいたようだ
『六花とレッドとトールも基本的に事務には向いていないから、それに氷機は生身では厳しいだろ』
『う~ん、よくわかりません・・・でも、ラインさんの優しさだと受け止めます♥』
珍しい感じがする
やはり、あまりいい状態ではないかもしれないな
・・・もしかして、これを優先事項としたかったのか??
あからさまな、ラビリアと愛理の行動だったよな
順子と私のためかもしれない
『ラインさん・・・復元90%まで完了です』
『・・・あ、ああ』
麻里華のおかげで復元はスピーディーに完了しそうだ
麻里子と順子の話の続きも再開できるぞ
個人的には・・・いや、やめておこう
不謹慎だと思われてしまうだろうから
こんな心境を理解してくれる存在はレッドくらいだからな
急速に世界が復元されていく
通常以上の回復は、負荷があり
後に影響を及ぼす可能性があるから
比較的安定している速度で行う事が理想ではある
しかし、そんな余裕がない状況では
まず、元に戻す事を優先していく
後遺症などは、なった時点で対処すればいい
『わたくしの・・・んっ!?』
急に現れたトールが
多分だろう、謝罪でもしようとしたのか
悲しそうな表情で私を見ながら発言しようとしたから
そんな気持ちごと、口止めする意味でキスをした
テレパシー:(トール⇔ライン)
トール:(突然、何をなさるのですか~!?)
ライン:(お前に謝罪させないようにしただけだが・・・)
トール:(・・・過剰防衛だと判断されてしまうだろうと、解釈しましたわ)
ライン:(勝手な判断をしなくていい・・・お前の全力でやっと倒せたと思っていい)
トール:(余力を計算して戦えるだけの相手ではありませんが、わたくしでも罪悪感というものはあるのですよ・・・ラインさんは、それすら無視なさるのですか??)
ライン:(人類の脅威を倒した功労者に罪悪感は無用だ、むしろ誇るべき)
トール:(・・・不思議な事をなさるのですわね)
ライン:(これが私流だ、お前もわかっているだろ~??)
割り込み:(ラビリア&愛理⇔トール&ライン)
愛理:(すみません、どうしてもこれだけは伝えたかったから・・・割り込ませてもらいます)
ラビリア:(いいトール、よく聞きなさい・・・愛理さん、いいわよ)
愛理:(トールさんが窮屈に感じる世界は、新たに構築したシステムにより全力でも壊れない防御力を誇る聖域に生まれ変わります・・・それに、今までの世界も壊れませんでした、あなたの功労は誇るべきです)
ライン:(ふふふ、プロテクトを無視して割り込むなんてな・・・まあいいか、いいタイミングで来てくれた・・・トール、今の愛理の言葉を理解したか??)
トール:(・・・そうですわね、慰めかと思いましたが・・・本当に凄いシステムみたいですわ~♪)
ライン:(ん!? どういう事だ??)
ラビリア:(先ほど完成して、システムの転換が終了しました・・・“ユニバースシステム”と命名しました、天球と電脳異空間をシステムとネットワークが共有しています)
ライン:(こっちでは、名前入れなかったのか・・・愛理ラビリアシステムだと思っていたのだが)
愛理:(私は、その名前がよかったのですが・・・ラビリアさんがどうしても変更して欲しいと言われて)
ラビリア:(ラビリアシステムでも相当恥ずかしかったのですよ~!!)
ライン:(事象の歪みが生じるようにしてあるからな、ラビリアの恥じらいも計算のうちだ)
トール:(わたくしのシステムともリンク可能なんですのね・・・それで宇宙規模ですか)
愛理:(トールさんのお知り合いの2名共アクセス可能ですよ・・・)
トール:(ご親切に・・・それで、急に声が聞こえたのですね)
ライン:(ロキとオーディオか・・・その内、実際に会うことになるだろうな)
ラビリア:(自在に能力のリミットを制限できるように、新しいデバイスを用意しましたから)
愛理:(これは順子のアイデアとデザインを参考にしました・・・データと共に転送しました)
私とトール
それに前にいる麻里子と麻里華にも転送されている
二人共、特別に私が意識を共有させたから
今までの対話を全て把握している
だから、特に驚く様子もないかと思ったが・・・
『麻里子姉さま・・・お揃いのリボンです~!!』
『そうですね~うふふ、麻里華とお揃い・・・あ、みんなとお揃いですか』
あまり思われにくいかもしれない
私も含めて、アクセ関連には
どうしても反応してしまうな
情報だけなら、特に流すだけでいいが
最初、属性色で考えていたようで
それだと、ヘアアクセに使いにくいと
属性に反発するように目立つ色として
色味に関して、自在に変更できる仕様になったみたいだ
『私もリボンは色々と持っているが・・・お揃いとか、少し恥ずかしい気もするな』
『いいではありませんか・・・皆様でご一緒なら、ふふふ』
基本的に足まである長い髪を後で結うようにしている
いわゆる“ポニーテール”という髪型を私はしているのだが
結い紐に使うリボンに貰ったデバイスリボンに交換しておこう
ある程度長さのある髪の場合は、私のようにヘアアクセにしている感じだろう
ショートの場合は、服のアレンジやシュシュの代わりに手首にしている者もいたから
色々と試しても、ファッションとしては楽しめそうだ
愛理:(気に入っていただけましたでしょうか??)
トール:(ええ、とても素敵なリボンですね・・・貴重に使わせていただきますわ♥)
ライン:(長さも幅も色も自在なんて、アレンジには凄くいいぞ~!!)
ラビリア:(正式に私がメインで復帰しましたから、それと同時で愛理さんにも同等にメインとして稼働してもらっています)
愛理:(基本的な部分は、今までと変わらないようにしました・・・大きな違いは、管理対象が単体ではなくなっています)
ライン:(私が天球を守護する場合も、順子が電脳異空間を守護する事もあるのか)
ラビリア:(ラインと順子さんと愛理さんと私と基本4名体制で二つの世界を管理することになります)
愛理:(初期設定の構築上、一時的に私がラインさんと行動を共にします・・・ラビリアさんには順子の回復をお願いしました)
トール:(順子さん・・・やはり、深刻的な影響を受けていましたわね!?)
ライン:(トール知ってたのか・・・完治するのだろうな、ラビリア??)
即答ではなかった、100%ではないみたいで
確実な成功をさせたいから
より、可能性の高いラビリアの直接的な処置を行うらしい
ラビリア:(ルビーとエメラルドの共存の負荷が異常にあったみたいですね・・・新しいシステムを転換して、様子を見ようと思います)
新しいシステム・・・
ルビー専用の宝石稼働に関する全てを補助する
私とレッドが同じシステムを共有していて
更にレッドは独立して別のシステムを保有している
ラビリアの構築した“ラビリアシステム・改”
これは、元々私とレッドに導入予定だった
それを愛理の構築した“スターライトシステム”
これを組み合わせて
“ユニバースシステム”として世界ネットワークに稼働させている
愛理の構築したスターライトシステムは
順子のために考えていたらしい
特殊な構造のために
順子には宝石の稼働を補助するシステム導入できていなかったらしく
それも原因の一つだと思われて
複数の要因によって
順子が消失の危機に陥っている
通常の退場と違い
宝石の完全崩壊になると
復元不可となってしまうため
存在自体が抹消されてしまい
女神の唯一の死となる
これはレアケースな場合だから
過去にほぼ事例はない
順子の姉である一華が
似たような感じで保有していた“ガーネット”を酷使していため
完全崩壊寸前だったが
新たな宝石“サードニクス”の導入により
女神へ覚醒して、今では頂点に匹敵するだけの存在だ
愛理とのコンビも新鮮な気持ちで
部隊を率いる事ができるかもしれないし
順子が手放したくないと言っているし
それに“次元刀”の存在があるから
色々な意味で、使える人材だろう
まあ、ラビリアの代役だから
戦闘にはあまり出さないようにするが
『一時的ではありますが、よろしくお願いしますラインさん』
『ああ、こちらこそ・・・よろしく頼むぞ、愛理!!』
彼女は軍人ではないので
あくまでも民間人の協力者として
臨時に部隊に同行してもらう形となっている
これは、順子も同様なのだが
あいつには・・・完治してもらいたいから
トールの代わりで後方支援を行ってもらう扱いに変更してある
実際に支援してもらうことは、後々だろうが
『わかってはいましたけど、あたし・・・』
『仕方ないさ・・・ラビリアに任せて、ゆっくりと治してこい!!』
軽く抱擁して
順子は少し震えていた
自覚があるだけに不安もあるのだろう
付き添いで彩もあるから・・・精神面では問題はないだろう、きっと
後は、システムが上手く稼働して
宝石のダメージを無くすか
新たな宝石を・・・“ルビー”に匹敵するモノだよな
“アレキサンドライト”くらいしか思いつかないが・・・
『順子さんの宝石は、多分ですが複数保有でないとダメかもしれません・・・いくつか用意してありますから、全て試してみます』
『順子をよろしくお願いします・・・』
不安そうに出て行く3名を見送る愛理
順子と彩とラビリアは、基本的に戦闘や任務には使えない
その代わりではないが
ロキとオーディンを召喚準備していて
トールと共に三賢者として、助っ人してもらうように要請してある
明日にはフラッシュゲートの調整が完了して
二人がこちらへ来てくれる
『愛理とトールにかなり負担があるかもしれないが・・・私も全力で指揮するからな』
『うふふ・・・期待されていますわね、お二人も来ますから楽しみになりそうですわ~♥』
『新しいシステムを駆使して、私も楽しみます~♪』
愛理もトールも比較的リラックスしている様子で
無駄な力が入っていないのは、不思議な感じもするが
逆なのかもしれない
普段が緊張しているから
緊迫した方が、能力を発揮できるのかもな
『じゃあ、私も楽しませてもらうか・・・』




