第1話:第22部隊活動開始~!!
凍てつく大地を照らすささやかな太陽
氷河期を迎えた地球と呼ばれる惑星
他人行儀な言い方をするのは、私が別の世界からやって来たからだ
人類が存続をかけた惑星改造を行ったため
特殊な空間が構築されている
全ての生命を含めた惑星全体をデータと化して
完全な進化を遂げる事に成功した
簡単に言えば、世界が全部ゲームみたいな感じとなったと思ってくれ
私は科学者ではないから、この手の詳しい話は隣にいる彼女に教えてもらってほしい
『なぁ・・・ラビリア、動きはあったか??』
見晴らしのよい小高い丘の上
隠れるようにして、前方の平地にある敵の前線基地を偵察に来ている
『・・・隊長が偵察に来るなんて、堂々と駐屯地で待っていて下さい!!』
大雑把な性格だとよく言われる
自分でも自覚はあるし、できるだけ迷惑をかけないように心がけている
それでなくても、特殊任務中の隊長である私が重要な役目を担っているから
余計に部下が心配している
特に参謀である隣のラビリアには、頭が上がらない
一応、私も部隊長をするだけの能力はあるから
別に頭が悪いとかではない
ここで、謙遜して言っても仕方ないので
ちゃんと私もしっかりとした事ができるところを見せたいと
ラビリアに同行したのだが・・・逆効果だったみたいだ
私が空回りして使えない存在だと思われている
『あなたは戦闘に関しての采配と実戦で自分をアピールして下さい・・・その方がみんなも納得してくれますよ、特に副隊長にはね』
私を真っ直ぐ見つめ真剣に訴える
部隊の事以上の、特にメンタル面に関しても的確にアドバイスをしてくれる
『うん・・・いつもすまない、私がしっかりとしなくてはならないのに~レッドにも示しが付かない』
今、人類は自分達の作ったシステムの暴走により襲いかかる“氷機”と呼ばれる
データ化した世界を管理する南北の極部分にある塔を防衛する装置
その装置が作り出した氷と機械の融合した存在が人類に対しての防衛
排除を強いられるように敵対する形となってしまう
『そうです・・・あなたは世界最強の戦士なのですよ、もっと堂々として下さい!!』
『戻ったら、抱きしめてもいいかラビリア??』
『断固拒否します、少しは自重して下さい』
仕方ない、不意打ちで行うことにしよう
最近は・・・完全に拒絶してくるようになってきてしまったからな
最初は、なすがままに私のスキンシップを受け入れてくれていたのに
『近い未来の娘に対しての愛のある行為じゃないか・・・どうして私を拒むんだ』
『娘って!? まだ、交際すらしてないのですよ・・・親公認に関しては嬉しく思いますが、本人の気持ちを確認もしないで決める事ではありません』
任務中に不謹慎だとは思うが
私にとっても、ラビリアにとっても死活問題だったりする
未婚ではあるが私には養子の息子がいる
さっき、話題に出たこの部隊の副隊長のレッドだ
家族のようなこの部隊だから、メンバーは基本的に親しい
駐屯地に戻ったら残りのメンバーの紹介を兼ねて
馴れ初めなどを詳しく話すとしようか・・・
『レッドは99%ラビリアが好きだと思うぞ・・・お前の裸だけは恥ずかしくて見る事ができないらしい』
『・・・!? な、な、な、何を言ってるのですか~!!』
『私と含めた、他のメンバーの裸を見ても普通にしているんだぞ・・・ラビリアが特別だと思うんだが』
顔を真っ赤にして
うつむいている
両想いが分かれば、私はレッドをラビリアと結婚を前提に恋人として恋愛をするのを楽しみにしているんだけどな・・・将来的に結婚して、私の義理の娘だ
『任務中です、私語は禁止します!!』
また、このパターンだ
自分の都合が悪くなると、すぐに任務だと言って逃げる
真面目にしてくれるのはありがたいのだが・・・レッドに関しては、優先して欲しい
義理ではあるが親として子供の行く末を見守るのは、当然だと思う
しかも、最も信頼している私の右腕とも言える存在となれば
既に家族として接している節はあるが
それ以上な絆を自他共に認める形となると思うんだ
『わかった・・・だが、戻ったら追求するからな!! お前に拒否権はないぞ!!』
こちらも、実力行使だ
上官として・・・いや、未来の母親として
レッドを交えて、家族会議をするぞ
『エリアに頼んで、レッドと3人だけの空間を構築してもらうぞ・・・逃げられないようにだ』
『ラインは卑怯です・・・あ、すいません隊長』
本気で困っているのだな
急に私を名前で呼ぶところは
ふふっ、楽しくなりそうだ・・・
実は、先日レッドを問い詰めて
まあ・・・数日嫌われてしまったが
本命の相手を確認している
それは、私の思ったようにラビリアだった
しかも、出会った日からずっと好きだったようで
能力開発の研究をしていたラビリアの実験台を快く引き受けたのも
好きな相手の打診だったから
少しでも近づけると思ったみたいで
私がもっと早く把握していれば、お互いを公認で恋人にしたのに・・・
『死語厳禁なんだろ・・・私を名前で呼ぶなんて、相当焦ってるな』
『ラインは・・・あたしを責めて楽しいのですか!!』
もう、公私混同しているようで
私に対して、普段の任務以外で呼び捨て名前で半べそだ
少し責めすぎたか・・・この手の加減がどうも調整が出来ない
『もう、しないから・・・泣くのはやめてくれ、私も悲しくなるだろ』
う~ん
また、やってしまった
この前も、こんな感じで責めすぎて・・・泣かせてしまった
どうしたら、歯止めができるのだろうか??
相手の気持ちを把握していながら、自分の気持ちが優先してしまう
『ラインが悪いのです・・・あたしが何をしたのですか!!』
偵察に同行しなければよかった
私の責任だ・・・レッドにも怒られてしまうだろうな
これは、本気で謝罪しなくてはならない
ラビリアにもレッドにもちゃんと結ばれて欲しいが
その前に私がどれだけ邪魔してしまっているか・・・を把握しなくてはいけないか
でも、二人に任せてしまうと
時間がかかりすぎてしまうだろう
強引だとしても、まずは恋人までの関係を構築させたい
こんなご時世だから、いつ消えてしまうとも限らない
安定したデータとなった世界ではあるが
氷機という脅威による揺らぎ
あいつらに倒された場合、復元不可となり
事実上の死を迎える事となる
折角、氷河期を乗り越えた人類だが
再び存続の危機に晒される
データの世界で生きる人類も
ただ無下に消えていくわけにはいかない
それに抗う術を手にしていた
科学というには、かなり微妙な位置づけらしいが
私を含めた国家軍隊所属の兵士は
特殊な能力を保有している
更に言うと、データ化している身体を構築する中枢
ここには様々な宝石を使用している
そんな宝石には“幻想の風”の息吹がかかっていて
属性を有する導師と呼ばれる存在であり
魔法のような能力を使用できるようになっている
能力を有する宝石が中核となっているところから
“ソウル”と呼んでいる
そんなソウルには属性が複数存在する
基本的な火、水、風、土の4種
光、闇の上位2種
更に火+風の雷と水+土の氷のコラボ2種
8属性が存在する
これはラビリアの受け売りだが
私も一応、導師の一員である
しっかりと勉強をしているから
基礎知識はある
人類が全てを賭けてきた歴史をここで終わらせるわけにはいかない
何のために一度は終わったはずの運命に抗い
新たな一歩を踏み出したのか、わからないじゃない!!
『ラビリア・・・私は戻るから、ワガママな隊長を許してね♥』
『いえ・・・あなたの気まぐれやワガママは日常茶飯だと思っていますから』
何て事言い出すのよ
私のお茶目な打診じゃない
でも、デバイスで通信も可能だし
単独でもラビリアなら逃げる事も出来るだろうから
『今のは聞かなかった事にするわ・・・未来の娘とは仲良くしていたいから』
丘を滑るように下り
急ぎ、駐屯地に戻る
私の率いている部隊はこのような単独行動専門だったりする
最新の22番目となる私が隊長となって私がメンバーを選出した部隊
現段階で最も氷機相手に活躍できると思う導師を集めた
半分以上が偶然にも私と付き合いの長いから
ほぼすぐに結成に至った
私とラビリア以外のメンバーの紹介は会話の流れで行いますね
『隊長さん、おかえりなさい~』
丘から少し移動して林になっている地帯の一角
基本的にソウルスキルを使用して氷機のレーダーにかからないような細工を行うから
別に隠れるような位置でなくてもいいのだが
ある程度の距離を設けて
こちらの細かい動きにどのくらい反応するのかを確かめる意味合いで
様子をお互い牽制する形になっている
『出迎えてくれたのはトールだけか・・・少し悲しいな』
『みんな、出撃の準備をしてます・・・って隊長さんが命令したんじゃないですか!!』
そうだった、ラビリアに同行する際
メンバーには基地への奇襲を仕掛けるから準備しておけと命じたのを忘れていた
それは・・・こちらのテントにいるわけないよな
『トールはまだ、出撃するには難しいからな・・・今回は留守番してもらうぞ』
『はい・・・身体がまだ回復できていません、ごめんなさい』
『気にするな、お前の活躍でみんな無事だったのだから・・・こちらが謝罪しなくてはいけないくらいだ』
ここへ来る途中に、氷機と遭遇して交戦状態となった際に
不意打ち気味だったのをトールの防御スキルのおかげで
最小限の被害で済んだのだ
しかし、代償としてトールはかなりのダメージを負ってしまった
数時間前の話なので
今、破損した部分の復元を行っている
データ化した人類の最大の特徴で
中核の宝石とシステムデータがあれば
致命傷であっても時間をかけて復元が可能だったりする
『わたしの怪我だけで済んでよかったです、みんな無事で戦えるよね』
このトールは、とにかく健気で
導師としての戦闘力が低いから
後方支援専門な感じだから、悪いとは思うが
前線メンバーが無傷だったのは、彼女の起点だったのだろう
華奢な身体に穏やかな性格と
守ってあげたいと思える感じではあるが
健気な部分があり、先のような咄嗟な行動をしたりする
能力の詳細はラビリアにお願いしよう
私はあまり把握できていないから・・・違う属性の事はわからん
『隣に行ってくる、また後でなトール』
『は~い、お菓子用意しておきますね・・・休憩するようにみんな連れてきて下さい』
『よし、わかった』
安静にしててもいいのだが、致命傷ではなかったから
動きながらでも復元作業が行える
本当は動かずで専念してくれた方がいいが
自分的に考えても、トールと同じような行動をするだろう
だから・・・無理ではない程度の事は自由にさせてやろうと思う
テントと言っても
簡易ロッジのような屋根付きの建物のような感じで
トールのいた部屋の奥に寝室もあり
比較的大きなサイズだったりする
その隣の少し大きな建物
戦闘用の装備や通信用の施設を兼ねた倉庫になっている
『あら、偵察はもういいのかしら~ラインは隊長なのよ、もっと堂々となさい!!』
怒っているが艶っぽい感じの喋り
私は幼馴染なので普通に思えるが
初見にはかなり刺激のある妖艶な声らしい
身長は若干低めだが・・・胸は、私以上にサイズがあり
世話焼きな性格から、母性の塊だったりする
『エリアは別に準備の必要ないだろ・・・トールの介抱しててくれよ』
『あなたの妻として息子のレッドちゃんの面倒を見る義務がありますわ~』
『またそれか・・・そこまでしてレッドと戯れたいか!!』
私の幼馴染で、子供の頃からずっと一緒に過ごしてきた
それだから、というわけではないのだろうが
どうも私の妻だと言って接してくる
男勝りな部分は否めないが
特に私に対してというより、レッドに対しての母親感を全面に出している
そんなエリアは最近、母親ではなくて恋人のポジションを醸し出してきていて
ラビリアとレッドを結ばせようとしている私としては
かなり邪魔な存在となってきている
基本的にエリアは女性を好む癖を持っているだけに
どうしてレッドに好意を寄せるのか??
今もレッドに密着するくらいの距離で接しているし
レッド自身も昔から本当に母親のように思っている部分もあるから
方向を変えてしまわないと
私の描くこの部隊の完成形が崩れてしまう
もっと、母親を全面に押せばよかったのだろうか・・・
『エリアには、トールの看病に専念して欲しいのだが・・・平気だと言っているが、私は不安で仕方ない』
『ラインは心配すぎるのよ水属性は自己治癒力が高いのだから、思っている以上に回復は早いですわよ』
そのくらいは私でも分かる事だから
エリアをトールとくっつける方向で攻めてみようと
母性を擽るようにしてみたのだが・・・
レッドに対する方が強いのか、少し疑問気味で対応してくる
『どうもラインは最近、わたくしとレッドちゃんを離そうとしてますわよね??』
『そんな事は、あるぞ・・・お前が悪いんだ、レッドはラビリアと結婚するんだから!!』
あ・・・思わず本音を言ってしまった
ここにはレッドも居るんだぞ、私やってしまったか・・・?!
どうしよう、ただでさえ初陣を控えて気持ちが微妙な状態だったのに
『隊長殿!! 今の話は本当なのですか・・・レッド殿とラビリアが結婚するというのは??』
『うっ、あのだな・・・私の個人的な願望なだけで、実際はまだわからん!!』
どんどん空回りしてしまうそうだから
これ以上のこの話題はやめたいのだが・・・
レッドにも聞こえてしまったために、収集がつかなくなりそう
『ライン隊長は、僕の結婚相手を勝手に決めるのですか・・・それとも、母親として相応しい相手だと考えているのですか??』
この他人行儀な感じ・・・
折角、同じ部隊に編入させたのに~!!
どうして、ここまで律儀に上司部下なカンケイを保とうとするの
義理だとしても、私はレッドの母親なんだぞ
『私の事は、お母さんでいいんだぞ・・・私の部隊なのだから、規律を無理に守る必要はないのだから』
『・・・学校で教わったままを実施しているだけです、命令でしたら守りますが』
お・・・これは、いい事を知ったぞ
隊長命令で・・・いや、強制してお母さんと呼ばせるのは嫌だな
自分から本心で呼んでくれないと、意味がない
『レッドが自ら呼ぶようにしないと私は命令ではさせないから・・・』
『わかりました・・・でも、すぐには難しいかもしれません・・・僕の責任です、ごめんなさい』
う~ん、私のワガママをレッドに困惑させてしまった
これは・・・どうしたらいいのだろうか
実の母親ではないから
頼れる相手がいないので、私は誰にも聞く事ができない
だから、というか・・・
今のこの世界の特徴とも言えるのだろうか
世界中が全てデータ化している恩恵とも思える
ネットワークがあらゆるものに通じていて
子育てに関して、独学で勉強して
私と、時にはエリアとでレッドを今まで育ててきた
そんな感じでエリアは母親のような接し方をしている
だが、母親は私なんだぞ!!
エリアには別の事を頼んで、レッドを諦めてもらうしかない
世話好きだから、尽くす妻にはなってくれるのだろうが
現段階で一番釣り合うと思う相手はラビリア以外には考えられない
『私は、レッドを責めているのではなくて・・・あくまで、母親として接して欲しいと思っただけなんだ』
『・・・そうだったのですか、僕の母は一人だけです』
悲しそうな目で私を見つめている
軽い気持ちで母親としてと思っただけなのだが
深くレッドは考えているみたいで
私はそれに対して、対等にしないとダメだと
『わかった、レッドの母は私だけだな・・・だったら、素直に呼んで欲しい“お母さん”と』
少し躊躇したが、はっきりとした口調で私の事を
『お母さん!! 僕もずっと隊長ではなくて、呼びたかったんです・・・』
これは・・・
人前を気にしていても、身近な存在だし
抑える必要はないと判断して
レッドを思い切り抱きしめた
『変な母親ですまない・・・これでも私を愛してくれるか??』
『・・・お母さん、愛しています』
別の感情が芽生えてきそうだが
そこは・・・理性を全開にして、必死で抑えるぞ
あくまでも母親なんだから
『ライン・・・わたくし、トールの面倒見てきますわ』
全力の私の行動がエリアを無理に動かすことに成功した
すまないな、このメンバーはみんなレッドの事が好きなんだよ
百も二百も承知だが・・・それを超えて
私はラビリアとレッドを結ばせたい
『・・・隊長殿、準備完了しました』
『ああ、六花か・・・無理しなくてもいいんだぞ、私も微妙に辛いんだ』
『何を言い出すのですか!! 自分と隊長殿を同じにしないでくれませんか??』
トールとは違う意味で細身の六花
霜月流という世界的に有名な武家の生まれで
師範代クラスの実力は、最強の称号である“マシンブレイカー”を持ち
氷機に対して弱点ではない風の属性ではあるが
単身でも無類の能力を発揮して、撃破数は私に並ぶくらいの実力者だったりする
『お前がレッドを好きだという事は、周知の事実なんだぞ・・・今更隠すこともない』
『わ~!! 自分は、そんな・・・レッド殿、誤解です・・・嫌いではありませんが、あわわ~?!』
武人としては、最強なのだが
女としての部分がより乙女だったりするから
異常な反応を起こす
そんなところが可愛い感じではある
『お母さんから聞いていますから・・・六花さんも僕の事が好きだと』
『エリアもトールもラビリアも・・・そして私と六花のレッド以外のメンバーは同じように恋愛対象としての好意を抱いているとな』
部隊と言っても
私を含めて6名しかいない
軍隊に所属しているが、群れるのは苦手で
特別に隊長として自らで編成を行って
より機動性に特化した形
私事ではあるのだが、色々とあってな・・・
これに関しては・・・その内、語る機会があると思うのでその時にします
あまり思い出したくない過去だったりするから
『お母さん?? どうしたのですか・・・』
『ん・・・ああ、少し考え事をしてただけだ、すまんな心配させてしまったようだな』
他人の事を気遣える優しい紳士に育って欲しいと
幼い頃より、様々な教育をしてきた
そんな努力も自我自賛してしまうくらいに素敵な感じに成長してきている
『自分も、トール殿が心配ですから・・・退室します』
『そうか・・・トールはお菓子を用意してたから、こちらもすぐに向かうぞ』
六花も隣のテントに移動していった
察してくれたのだろう、それとも居づらいと感じたのだろうか
私がそんな空気を作ってしまったみたいだから
でも、好都合ではある
『重要な話を、簡潔に言うからな・・・』
『何ですか??』
ラビリアとの話をして、本題に進む事にした
まずは恋人へと進展させようと、促す
『僕とラビリアさんと!? お母さんはそれでいいのですか??』
『私の事は気にするな・・・お前の今の気持ちを尊重したいから』
やはり、私に対しても気を使ってきたか
ここがネックな部分になるとわかっていたが
少し、強引に進めないと難しいかもしれない
『まずは、初陣に集中したいのですが・・・』
『あっ、そうだな・・・まずは、そこを終わらせるか』
デリケートな関係だろうし、無理に進めると逆効果の可能性もある
あまり時間はないかもしれないが
じっくりと進展させないと
『遊びに来ているわけではない、全力で世界にお前の力を示す時が来たのだから』
『はい、僕もしっかりと戦いたいです!!』
『そろそろ、ラビリアも戻ってくるだろうし・・・我々も隣の戻ろうか』
『わかりました・・・・』
やっと笑顔になったレッド
この笑顔を絶やさないようにしたいな
私は・・・母として隊長としてしっかりと守っていきたい
レッドの手を引いて
隣のテントに戻ってきた
トールの用意していたお菓子を四人で食べていた
ラビリアも戻ってきていて、短い団欒を過ごしている
『隊長、副隊長・・・親子でも構いませんが、その手つなぎはどうかと思うます』
戻ってきてデバイスチェックをしているラビリアが
少し怪訝な表情で私を睨んでいる
普段は素っ気ない感じで私とレッドの戯れを見ているが
意識させるように意図的に行ってきたところが効果的になっているようだな
『何だ・・・嫉妬か、ラビリアは気にしないのではなかったのか??』
明らかな反応をしてくれるラビリアの方から、攻めるようにすれば
レッドも流されてくれるかな
年上だし、お姉さんとして恋人から妻への道を進んで欲しい
『ラビリアさんはラインの策略に踊らされていますわよ~』
エリア・・・余計な事を!!
クレバーなラビリアだから、すぐに把握されてしまうとは思うが
自覚させる意味でも周りも巻き込むようにしてしまうか
ただ、エリアもトールも六花も何気にレッドにアピールしていたりするから
そこをもっと拍車をかけて、ラビリアに焦りを持たせれば・・・
『ラビリア・・・ライバルに先を持っていかれるぞ、今はレッドの気持ちがお前にあるが未来はわからないのだから・・・本気で蹴散らすつもりで挑まないと知らないからな』
よし、ショック療法だ
これで折れるようだったら、ラビリアには悪いが
他のメンバーからレッドに決めてもらうようになるぞ
『皆さん、まずはリラックスしましょう~甘いお菓子で気持ちを落ち着かせて』
鶴の一声のように、トールが空気を変えてくれようとしてくれた
自分もレッドに救われて一目惚れのような感じであるのに
健気な性格がここでも発揮されているのか
『そうだな・・・ラビリアの情報を元に作戦会議をしようか』
ラビリアが戻ってきたのだから
基地に動きがあったということで
こちらも殲滅活動を開始する行動に移行しなくてはならない
『はい、隊長・・・基地の氷機が戻ってきました、事前の情報通り500体の帰還です』
『レッドの初陣を派手に演出したいと思うのだが、私の主砲を使うのはどうだろうか??』
この私の発言は、ラビリアには予想されたようだったみたいで
ある程度の流れを考えてみたらしいが・・・
どうも、渋々と語りだして
『あたしとしては、レッド副隊長のみで他はサポートでいいのではと思うのです・・・特にライン隊長は何もしなくていいかと、はっきり言って邪魔です!!』
これって、どういう事だ!!
私が邪魔だと言い出して
レッドの初陣だけをアピールするから、他はない方がより目立つようにするからか??
『フィーバーの活動限界は三分だけなんだぞ・・・それで終わるのか??』
『コントロールクラスがいないのであれば、僕だけで十分ですが・・・』
コントロールクラスがいても問題ないのではと
謙遜するレッドが十分と言ったのだったら
これは、私の出番は必要ないかもしれない
『ラビリア・・・どうだった、ノーマルのみだったか??』
『はい、500体は全て下位でした・・・レッド副隊長の活動限界三分は以内で容易かと』
『そうか・・・ではレッドに任せてみるか、いいか??』
『わかりました、僕が単独で出撃します!!』
よし・・・レッドもやる気で
勝利への勢いを付けるには丁度いいかな
劣勢だった人類の逆転劇を派手に華麗に遂行するのは
我々、火属性を筆頭とした導師たる存在が担う
『では、レッドを中心とした布陣を構築しようか・・・ラビリアはシミュレーションを頼む!!』
『わかりました、すぐに出しますね』
これから始まる
レッドの初陣を全力でサポートしようじゃないか
氷機の前線基地攻略作戦の開始まで
カウントダウンだ~!!