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D.R.E.S.S.  作者: J.Doe
Smash To [Brutal] Desperado
144/460

Point Of [NO] Return 4

「……アンタどんな情報バラまいてやがるんだ?」

「別にたいしたもんじゃない。エイリアス・クルセイドの唯一の傭兵は4人の女を侍らす女誑しだとか、最近になって新しい女を1人迎えたとか、そんな程度だよ」

「……ガキに興味はねえよ」


 ここに来て楽しそうな笑みを浮かべ始めたノウマンに、レイはシニカルな笑みを歪める。

 レイは4人との関係は説明しがたいものだが、小玲との関係に関しては誤解されたくなかったのだ。しかしそれと同時に、小玲がエイリアス・クルセイドの新しい傭兵である事が露見するのも避けなければならない。

 レイが交渉ごとの全てを引き受けている晶の優秀さを改めて痛感していると、ノウマンは真剣な表情から一転して楽しそうに笑いを堪えていた。


「すまないすまない、それと新しい情報をありがとう。実際は君達は情報を一切漏洩してくれないからね、どんな服を着てるとか、どんなアクセサリーを着けてるとか、そんなパパラッチ染みた情報しかなかったんだ。頑張って手に入れた情報も巧妙な情報工作された物が多いしね、困ったものだよ」

「そんなゴシップにもならねえクソみたいな情報、誰が喜ぶんだよ」

「誰もが、だ。君達は一種のカリスマなんだよ。たった1人で全てを消し飛ばすヒーローと、それを支えるヒロイン達。誰だって幻想も憧憬も抱くさ」


 そう言ってノウマンはレイから新聞を取り上げて、1枚の写真を見せる。

 それは遥か遠くに小さく写るリベリオンらしいD.R.E.S.S.を捉えた写真で、その記事はリベリオンが市街地付近にテロリストを排除したと誉めそやしていた。


「……柄じゃねえや」

「話してみて僕も痛感したよ――でも話はここまでだ、楽しかったよ」


 ノウマンはそう言って新聞を広げて、レイへと帰宅を促す。

 リュミエール邸の防衛設備を知らないノウマンは、こうしている間にも飯の種(イヴァンジェリン)が危険に晒されていると思っているのだ。

 そしてこれ以上の情報は得られないだろうと小さく舌打ちをしたレイは、テーブルに左手をついて立ち上がる。


 自身が右腕を負傷しているという情報も売買されてしまうのだろうか、と考えながら席を立つレイ耳にノウマンのバリトンの声が届く。


「もう夜も遅い、"ならず者(デスペラード)"に気をつけるんだよ」


 それを聞いたレイは振り返りもせずに、背後のノウマンへと軽く左手を降ってバーを後にした。

 そしてレイは色取り取りのネオンに照らされた道を、車を止めている駐車場へと歩き始める。

 1から10まで知れた訳ではないが、警告の中からいくつかの情報を仕入れる事は出来た。


 H.E.A.T.、ネイキッドガン、ラスールのオーナーはエイリアス・クルセイドに情報を与えられることを嫌がっているという事。

 敵対者たちにとってレイとイヴァンジェリン以外は人質としての価値しかないという事。

 そして"ならず者(デスペラード)"という聞き覚えのない単語。


 ――いつか1杯くらい……別にいいか


 レイは与えられた情報にそう考えるも、ノウマンが自身らを飯の種にしている事を思い出して却下する。

 ノウマンが防衛装備を知らなかった事から、市街地に出ている時はノウマンに尾け回されている可能性が高いのだから。


 ――それでもって、答えに補足を加える時間って訳だ


 胸中でそう呟いたレイは、差し掛かった薄暗い路地へと一気に走り出す。

 速度を上げて走り出した複数の気配を感じながら、レイは懐からワルサーPPKを取り出す。

 規模は不明、装備は不明、目的も不明。ただ自身の敵対者である事だけは判明している。


 ――まあ、やってやるさ


 D.R.E.S.S.を市街地で展開してしまえば、オブセッションとディファメイションの情報を失い、リベリオンの情報を何より求めている国防軍にあらゆる理由をつけて取り押さえられてしまうのだから、レイに選べる道など存在しない。


 レイは右手に現れた路地に入るなり反転して、自身が来たほうへと銃口を向けた。

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