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D.R.E.S.S.  作者: J.Doe
Smash To [Brutal] Desperado
135/460

Dressed In [Hurtful] Tragedy 1

 ルードが3機、クラックが2機。

 まるでダガーハート小隊のような編成の部隊に、レイが呆然としていると、ルード2機が背部ブースターを吹かせてリベリオンに急襲を掛けてきた。


 加速に乗るまでに時間がかかるリベリオンの性質を理解しているレイは、マシンガンで張られた弾幕による牽制を右肩部に装備された盾で受け、ガトリングキャノンの砲口をその2機のルードへ向けて引き金を引く。

 轟音と共に30mmの砲口から吐き出された弾丸達は、合金の刃を振り上げたルードを圧倒的な運動エネルギーで押し返し悪辣なまでに破壊する。


 ――クラックが2機って事はリザ達はまだジャミングの範囲内か


 原型を止めないほどに破壊されたルードの影から飛び出してきた、もう1機のルードの射線を合わせながらレイは考える。

 最悪の事態を考えるのであれば、この部隊を即殲滅して2人を追い駆けなければならない。だが隊長格と思われるクラックが本当にミレーヌのエスプワールであるのなら、話はそう簡単に進みはしないだろう。

 そのレイの考えを裏付けるようにリベリオンのバイザーアイを掠めるように、敵の後方から弾丸が放たれる。


 ――さて、どうするかね


 2機目のルードを撃破したレイは精密な狙撃を回避しながら、シアンブルーの光を灯すバイザーアイで戦場を把握する。


 遮蔽物は何もない荒野に敵部隊は展開され、残った最後の1機のルードとクラックはアサルトライフルでリベリオンを牽制しながら接近。

 エスプワールに酷似したクラック改修機は、後方からの狙撃を繰り返していた。


 被弾覚悟で強引に攻め切るか、あくまでガトリングで落とし続けることを優先するか。

 何をするにせよエスプワールに酷似したクラックに、レイは判断を鈍らせられていた。

 自身の役割をを全うするのであれば、すぐに皆殺しにして2人を追いかければいいと理解しているというのに。

 そしてその疑問は答えを得る事で氷解した。


『久しぶりね、ブルームス』

『……ああ、本当にな』


 突然掛けられた聞き覚えのある声に、レイは端的な言葉を返すことしか出来ない。

 その声は確かにミレーヌ・ラングの物であり、ミレーヌが死んだとは聞かされていなかったが、生きているとも思っては居なかったのだから。


『何か言う事はないわけ?』

『……何もねえよ』


 あからさまに不機嫌そうなミレーヌの声に、レイは回避機動を取りながら淡々と返す。


 ベック・ボガート。

 トレヴァー・セネット。

 タイスト・ラング。

 そして、アイリーン・フェレーロ。


 その4人の死に思うところがないわけではない。

 しかしレイは悼んでいい立場でもなければ、償える立場の人間でもない。ダガーハート小隊はあくまで任務としてそれを受諾し、彼女らの意思によってレイは生かされたのだから。


『……言ってくれるじゃない。人の旦那を奪って、アタシの人生をメチャクチャにして置いてさ!』


 ミレーヌが声を張り上げると共に、ルードとクラックがリベリオンへと急襲を掛けてくる。

 リベリオンは背部ブースターを駆使してエスプワールを中心に、円軌道を描くように回避機動を取りながらガトリングキャノンで弾幕を張り続ける。


 重厚なガトリングキャノンの引き金を引くレイの脳裏に浮かぶのは、先に逃がした2人のこと。


 "幸運にも"敵の正体の目的はレイとリベリオンで、おそらく2人は無事に屋敷まで辿り着けるだろう。


 しかしそんな事を考えていたのがいけなかったのか、右肩部に装備したエイリアス・クルセイドのエンブレムが描かれた盾に、エスプワールのスナイパーライフルの弾丸が撃ち込まれてしまった。 

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