進まぬこの世界で…
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ベルフィーア
その世界の人々は、自分たちが生きるこの世界をそう呼んだ。太いL字の形をした大陸がひとつだけ存在し、周囲を海と小さな島々に囲まれただけのその世界。
その世界には、進化し続ける科学があった。
その世界には、古くから栄華を誇り続ける魔法があった。
その世界には、終わることの無い憎しみがあった。
戦いが起こるのは必然。異なる形を持った大きすぎる力同士の邂逅は最悪の形を持って始まった。科学は魔法を否定し、魔法は科学を否定した。
魔法と科学による戦火は大陸の半分を焦土に変え、以降ベルフィーアに国家というものは2つしか存在することはできなかった…。
科学主義国家『キルミアナ帝国』
魔法主義国家『マルディウス王国』
そして長き戦乱の時代を経ることにより難民と亜人、原生生物の集合地帯と成り果ててしまった大陸中央部…。
国境無き大地『イトリア無法地帯』、通称『空白地帯』
帝国と王国による戦いが3千年目を迎えようとしていたその年、大陸の半分以上を占める空白地帯で生まれたひとつの出会い…。
---己を殺し続けた『黒』
---不器用で、真っすぐな『紅』
---本当の明日を求めた『蒼』
この3人の出会いが、絶望と諦めが蔓延するこの世界に大きな変化をもたらすとは当人達を含め、誰一人想像することなどできなかった…。
「『生きろ』と言われながら『死ね』と言われ続けた僕は、一体どうすればよかった…?」
「例えあなたが拒もうとも私は譲らない。それがあなたに惚れた私であり、あなたが惚れた私なんだから…!!」
「世界を壊してでも手に入れてみせるさ。何せ俺は、空賊だからな!!」
時は『戦歴3124年』。彼ら3人の出会いから2年が経過したその年、世界を巡る歯車は動き出した…。