君は、どれが好き?
ボクは、朝早くから部屋のデスクに置いているコンピュータと向き合っていた。
『博士、おはようゴザイマス。コーヒーを持って来マシタ。』
リオは、いつもの時刻にコーヒーを持って来た。
「おはよう、リオ。コーヒー、いただくね。」
やっぱりリオのコーヒーを飲むと、朝なんだと感じるなぁ。
『アノ、博士。コレらは何デスカ?』
リオは、ボクが朝早くからデータバンク内のデータを調べていた、三つの花をじっと見つめている。
「これらの花はデータしか無かったんだけど、この間、近くの森に探検に行っただろ?」
『ハイ、アノときの博士は、まるで別人のようデシタ。』
「あはは…………」
いや、それは初めてリオと探検できたから、はしゃいでいただけなんだ。
とボクは心の中で訂正をして、説明を続ける。
「そのときに、これらの花を見つけて、持って帰ったんだ。左から順に、ユリ・チューリップ・パンジーというんだけど、君はどれが好きなのかな?」
もうすぐリオの誕生日だし、気に入ってくれた花をプレゼントしようと思う。
『三つの内一つを選択すれば良いのデスカ?』
「そ、そうだけど……──」
『ワカリマシタ。三つの選択項目の内、一つをランダムに決定シマス。
──……チューリップが良いと思われマス。』
「いや、そうじゃなくて……」リオの予想外の行動にボクは驚いたが、それと同時に少し悲しくなった。