西の森へ
トントントン……──
白い壁に、白いテーブルと、僕は殺風景なキッチンで料理をしていた。
「────よし、出来た。」
テーブルの上には、大きなバスケットが一つある。
そして、突然ドアが開いた。
「博士、コーヒーを持って来まシタ。」
コーヒーをのせたお盆を両手に持つリオだ。
「ありがと。」
僕がコーヒーを受けとると、リオはテーブルを見た。
「……博士は、何を作っていたのデスカ?」
「えっと、お弁当……かな?」
料理の腕は素人なので、このバスケットの中身が弁当と言えるのか、自信がない。
「お弁当…………何のタメに作るのデスカ?」
「出かけた時に、外で食事をするためだよ」
ヤバいな、リオの質問攻めが始まったかもしれない。
その原因は、僕なんだけどね。
リオは、自ら学習し、考えるロボットだ。だから、疑問が起こるたびに、ひたすら質問してくるのだ。
「外での食事…………ドコへ行くのデスカ?」
「とりあえず行ったことのない、西の森に行くよ。」
それから10分ぐらいはリオから質問攻めにあった────
「──それじゃあ、準備出来た?」
僕の部屋で僕とリオは、リュックの中身を確認していた。
「ハイ、大丈夫デス、博士。」
「それじゃあ、行こうか。」
「ハイ、博士。」
そして、僕達は家から出発した。
外に出たら、西の方角に歩いていく。見渡す限り緑が混ざった銀色の景色が広がっていた。
しばらく歩いても人は一人たりともおらず、動物さえもいない。
歩き出して一時間で森の前に着いた。
入り口と思われるものが見つからない。
「どこから入れば良いのかな?」
とりあえず僕は、リオに助けを求めてみた。
「ワカリマセン。」
「…………だよね。」
リオは即答した。
そして、僕達はそのまままっすぐ進んで、森の中に入っていく。
「────あっ!」
太い木々が乱立する道なき道を進む中、他の森と違って雑草のあまり生えていない茶色い地面に、緑色とは異なる色があることに気がついた。
黄色い花だ。
「リオ、君のリュックに入っているカプセルとスコップを出して!」
「ワカリマシタ。」
リオは、リュックから手のひらぐらいの縦に長いカプセルを取り出した。
「ドウゾ。」
「ありがと、これは凄いぞ。まさか、こんなところで見つけるなんて!」
僕は根を傷つけないように、ゆっくりと地面からカプセル内へ花を移した。
「アノ、博士?」
「どうしたの?」
リオは、僕が作業を終えるのを見計らって僕に声をかける。
「今ノ博士は、博士らしくないデス。」
「なんで!?」
突然なことで、僕は戸惑った。
「博士らしくないカラデス。」
「…………?」
しかも、意味が分からないよ、リオさん!?
「とりあえず奥に進もうか。日が暮れるまでに、家へ戻らないとね。」
「ハイ、博士。」
また僕達は、太い木々が乱立する道なき道を進む。会話がほとんど無いけれど、僕にとって楽しい時間だった。
だって、リオが一緒にいるから。
「────リオ。」
「ハイ、博士。」
僕は歩きながら振り向かず、リオに声をかけた。
リオは、それに足を止めることなく答える。
「…………ありがとう…………」
「?」
リオは、僕が礼を言った理由を理解できなかったのか、もしくはあまりよく聞こえなかったのか、返事が無かった。
そのまま森の中を進むと、光が強くなってきて視界が真っ白になった。
目が光に慣れ、青空の下に広がる草原が見える。
森の向こうに、こんな綺麗な景色があるなんて────
「凄い…………」
やっぱりここに来て正解だった。
「博士、正午デス。」
「そうか、じゃあここで食べようか。」
僕は昼食を食べ終え、また森の中へ入った。今から家に帰るけれど、帰り道は同じじゃない。
なにせ目的は、西の森を探索することだからだ。
「──────あっ、リオ。カプセルとスコップを出して。」
「ハイ、博士。────」
帰り道に白い花を見つけた。
「────うわぁー!これは大発見だ!!」
しばらくすると今度は、形は同じでも、様々な色の花を見つけた。
これはきっと、自然の中で突然変異した花なのかもしれない!
僕の様子をじーっと見つめていたリオと、すっかりテンションが上がってしまった僕が家に着いた頃には、夜空の星がよく見えて綺麗だった。
最近
課題とテスト勉強に追われてて
全然更新できませんでしたが
まだまだ続きます。