Phase 2-03 置き配完了、そして3ヶ月
※この作品は生成AIを使用して作成されたものです
鳥取砂丘。
観光客の姿はなく、砂の海だけが広がっていた。
遠くで、パトカーと消防車の赤色灯が無言で回転している。
空が、かすかに唸った。
次の瞬間。
ドスン。
重たい衝撃が、地面を通して腹に響く。
ドスン、ドスン、ドスン。
黒い影が、次々と砂丘に突き刺さっていく。
爆発はない。
炎もない。
ただ、
重たいものが、正確に「置かれていく」音だけが続く。
砂煙がゆっくりと晴れたあと、
そこには、墓標のように突き立った黒いブロックが並んでいた。
【月面・管制モニター】
ミナトは、モニター越しにその光景を見ていた。
「……全部、着きました」
指が震えている。
「被害は……砂丘に穴が開いただけです。
人的被害、なし」
ザルグは腕を組んだまま、満足そうに頷く。
「ほらな。
置き配は静かであるべきだ」
「そこ、誇るところじゃないです……」
その瞬間。
ミナトのスマホが、場違いなほど軽い音を立てた。
ピコン♪
「……え?」
画面を見る。
配送完了
配送方法:置き配
配送先:鳥取砂丘
配送業者:ギャラクシー・エクスプレス
下には、QRコードと短い文字列。
エネルギー解凍キー
GX-2025-1203-TOTTORI
「……ほんとに、宅配便なんですね」
「当然だ。
銀河配送規約に準拠している」
ザルグは、事もなげに言った。
「受取人(日本政府)には通知済みだ。
あとは回収して、好きに使えばいい」
ミナトは、遠い目をした。
「好きに……」
「じゃ、帰るぞ」
「待ってください!」
ミナトは、食い下がる。
「本当に、5分ですよね!?
今回こそ、絶対ですよね!?」
ザルグは親指を立てた。
「任せろ。
今度は完璧だ」
「その『完璧』、信用ならないんですけど……」
視界が歪む。
月の地平線と地球が、溶けるように消えた。
――静寂。
サーバーのファン音。
見慣れた床。
見慣れた非常灯。
「……戻ってきた」
ミナトは、ほっと息をつく。
そして、壁の時計を見た。
「……あれ?」
日付。
3ヶ月、進んでいる。
「……は?」
スマホを取り出す。
ロック解除。
通知、通知、通知。
未読メール:463件
不在着信:312件
「……3ヶ月?」
声が裏返る。
「3ヶ月!?
5分じゃなかったんですか!?」
ザルグは、少しだけ目を逸らした。
「あー……」
「まさか」
「……有効数字をな」
「またですか!!」
「今回は小数点以下の扱いをだな……」
「時間は有効数字じゃないんですよ!!」
ミナトは、頭を抱えた。
「終わった……
私の社会人生活、完全に終わった……」
震える指で、会社のメールを開く。
人事部からの件名。
【重要】長期欠勤に関する取り扱いについて
「……」
目を閉じて、開く。
「……え?」
読み進める。
医師の診断に基づき、
当該期間は有給休暇全消化扱いとします。
「……クビじゃ、ない?」
ザルグが胸を張る。
「根回しはしておいた」
「どうやって!?」
「夢で」
「夢!?」
「銀河標準の潜在意識通信だ。
お前の社長に『いい感じの納得』を与えておいた」
「それ、完全にアウトなやつですよ!!」
「細かいことを気にするな」
ザルグは、出口を指差した。
「行くぞ。
結果を見せてやる」
外は、妙に明るかった。
街のネオンが、増えている。
夜なのに、夜じゃない。
ミナトは、嫌な予感を覚えながら歩き出す。
「……ザルグさん」
「なんだ」
「これ、
ちゃんと人の役に立ってますよね?」
ザルグは、答えなかった。
ただ、
遠くで瞬く異様な光を、じっと見つめていた。




