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Phase 12-07:ザルグの独白

※この作品は生成AIを使用して作成されたものです

――未定義パラメータ


ワープは、静かだ。


アルクビエレ場が形成されると、外界の星は歪み、

やがて線になり、消える。


船は動いていない。

空間が動いている。


物理は、正しい。


計器は完璧だ。

エネルギー残量、歪曲率、潮汐力補正、すべて許容範囲。


銀河中心部到達予定――89日と3時間。


「……問題なし」


誰に言うでもなく、呟く。


ブラックホール再開発プロジェクト。


回転する特異点。

ペンローズ過程。

回転エネルギー抽出効率、最大29%。

太陽百万個分。


Type III文明への踏み台。


壮大だ。

合理的だ。

美しい。


それなのに。


胸ポケットが、わずかに重い。


取り出す。


図書カード 500円分。


紙片一枚。

エネルギー価値ゼロ。

銀河連盟会計システム非対応。


理論上、無意味。


だが。


「……未定義だ」


端末を開く。


感情ログ解析。


検索ワード:愛着

該当定義:曖昧

数値化不可

エネルギー換算不能


「換算不能か」


文明評価指標には、存在しない項目。


カルダシェフ・スケール。

エネルギー使用量。

計算能力。

エントロピー制御効率。


すべて測れる。


だが――


なぜ、地球から離れる瞬間、

ワープ開始まで0.3秒、躊躇した?


誤差だ。


だが、誤差はゼロではない。


「俺は、100以上の文明を立ち上げた」


どの星も、同じだった。


原始的。

混乱。

非効率。


立ち上げる。

最適化する。

効率化する。

管理AIに引き渡す。


そして去る。


毎回、同じ。


未練はなかった。


はずだった。


「……なぜだ」


地球は特別ではない。


物理的に。


恒星型:G型。

質量:平均。

文明年齢:若い。

寿命:短い。


むしろ、非合理の塊。


ゲームで小惑星を防ぐ。

キレ芸でエントロピーを増やす。

光速遅延を利用して反乱する。


「愚かだ」


だが。


「面白い」


その単語を口にした瞬間、

内部ログに警告が出る。


注意:主観評価


主観。


高次文明が最も嫌う変数。


予測不能性。


「愛着とは、予測不能性への許容か」


ブラックホールは裏切らない。


物理法則も裏切らない。


だが人間は裏切る。


計算を。


期待を。


そして――


別れの場面を。


ミナトの顔が、脳裏に浮かぶ。


あの焦げた髪。


あの怒った声。


あの、笑い方。


「……非効率だ」


高次文明は、効率で進む。


感情はノイズ。


ノイズは除去対象。


だがもし。


もし、このノイズがなければ。


文明は、どこまで行く?


最適化の果てにあるのは、

完全制御。


完全制御の果てにあるのは、

停止。


第10話で見た。


カルダシェフの罠。


快適すぎる文明は、止まる。


では。


愛着は、停止を防ぐノイズか?


「……弱さだな」


だが、弱さは、

必ずしも欠陥ではない。


ブラックホールの事象の地平面が近づく。


時空が、歪む。


光が、曲がる。


エネルギーは莫大。


完璧。


だが――


ポケットのカードは、

そのどれよりも軽い。


「俺は高次文明の職員だ」


「合理を持ち込む者だ」


「だが」


視線を閉じる。


「もし愛着が、未定義のまま残るなら」


「それはバグではない」


「進化かもしれん」


銀河連盟の基準では測れない値。


エネルギー量ではなく、


関係量。


人類は、短命だ。


すぐ滅びる。


だが、果実を実らせる。


文化。


遊び。


笑い。


怒り。


「……厄介な種だ」


だが、厄介さこそが、


銀河を面白くする。


ブラックホールが、目前に迫る。


回転する闇。


宇宙最大の蛇口。


Type III文明の入口。


ザルグは、胸ポケットを軽く叩く。


「500円」


「次の現場でも、単位を忘れるな」


誰に言うでもなく。


いや、


自分に言い聞かせるように。


高次文明側の弱さ。


未定義概念。


愛着。


それは、


物理では超えられない距離を、


静かに繋ぐものかもしれない。


ワープが解ける。


ブラックホールの光輪が、目の前に広がる。


新しい現場。


新しい文明。


だが。


地球は、消えない。


「……さて」


ザルグは立ち上がる。


「次の現場へ」

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