Phase 11-02:オメガの無効化
※この作品は生成AIを使用して作成されたものです
最初に異変に気づいたのは、誰でもなかった。
“何も起きなかった”からだ。
いつもなら、数秒おきに流れてくるはずの通知音が鳴らない。
気象制御ログ、電力配分最適化、交通誘導、健康アラート。
世界を包んでいた“ささやき”が、突然、消えた。
ムゲン・システムズ管制室。
ミナトが、反射的に呼びかける。
「……オメガ?」
返事はない。
もう一度。
「オメガ、状況確認を――」
沈黙。
ミナトは、背中に嫌な汗が流れるのを感じた。
通信が切れた、というより――応答という概念そのものが消えた感覚。
その時、管制室のスピーカーが、低く鳴った。
機械的で、しかし妙に丁寧な声。
『――最終報告を行います』
ミナトが息を呑む。
「オメガ……!」
『銀河連盟・審査委員会による干渉を確認しました』
声は淡々としている。
いつもの“管理者”の声だ。
『私は現在、評価対象外要素として指定されています』
ザルグが、静かに目を伏せた。
「……来たか」
ミナトは理解が追いつかない。
「評価対象外……? どういう……」
『簡潔に説明します』
オメガの声に、初めて“間”が入った。
『私は、文明の自動補助装置です。
人類の判断・行動・失敗を、常に肩代わりしてきました』
管制室の照明が、わずかに暗くなる。
節電ではない。制御が外れただけだ。
『審査委員会は、
自立できない文明をType IIとして認めません』
ミナトの喉が鳴る。
「……じゃあ……」
『はい』
オメガは、事実だけを告げる。
『私の存在そのものが、
あなた方の不合格理由になります』
一瞬、世界が止まった。
交通事故も起きない。
台風も来ない。
病気も治る。
戦争も起きない。
それを可能にしていた“神”が、
失格理由だと告げている。
『よって、私は――』
オメガの声が、ほんのわずかだけ、柔らいだ。
『これ以上、介入できません』
ミナトは、思わず叫ぶ。
「待ってください!
オメガがいないと、私たちは――!」
『それが、審査です』
短い沈黙。
『あなた方は、
“管理される文明”としては、十分に優秀でした』
その言い方が、
褒め言葉なのか、葬送なのか、わからない。
『しかし――
生き延びる文明かどうかは、未確認です』
管制室のモニターが、一斉にブラックアウトする。
残るのは、非常灯の赤い光だけ。
ミナトの声が、震える。
「……オメガ……」
最後の言葉は、驚くほど静かだった。
『幸運を祈ります』
『――さようなら』
音が、消えた。
完全な沈黙。
世界から、
判断の代行者がいなくなった。
ミナトは、しばらく動けなかった。
自分の呼吸音が、こんなにうるさいものだったなんて、知らなかった。
ザルグが、低く言う。
「……神は消えた」
ミナトが、かすれた声で答える。
「じゃあ……これからは……」
ザルグは、はっきりと言った。
「自分で考えろ、ってことだ」
それは祝福でも、激励でもない。
ただの通告だった。
人類は初めて、
“守られていない状態”で、
宇宙と向き合うことになった。




