Phase 10-08:強制日食
※この作品は生成AIを使用して作成されたものです
それは、爆発でも、警報でもなかった。
ただ——
光が、減った。
正午のはずの東京。
ビルの影が、妙に長く伸びる。
雲はない。
停電でもない。
それでも、世界は確実に暗くなっていた。
人々は最初、気づかない。
VRゴーグルをつけたままの者も多い。
だが、数分後。
「……暗くない?」
「夕方……じゃないよな?」
「太陽、どうなってる?」
人々が空を見上げた瞬間、
そこにあったのは——
欠けた太陽だった。
水星基地。
制御卓の前で、ザルグは立っていた。
スウォーム衛星群が、
ほんのわずかに角度を変えている。
太陽を覆うほどではない。
だが、遮るには十分だった。
「……やりすぎじゃないですか」
ミナトが、低く言う。
「都市が凍りますよ」
「凍らん」
ザルグは即答した。
「遮蔽率3%。
文明は死なない」
「ただ——」
一拍、置く。
「不便になる」
地球全土のスクリーンが、同時に切り替わる。
街頭ビジョン。
VR空間。
家庭の壁面ディスプレイ。
そこに映ったのは、
無加工のザルグだった。
演出も、BGMもない。
ただ、怒っていない顔。
それが、逆に異様だった。
「聞け、人類」
声は低く、静かだった。
「俺は、何も奪っていない」
「エネルギーも、食料も、
安全も、全部そのままだ」
一瞬、間を置く。
「奪ったのは“実感”だけだ」
ザルグは、背後の映像を指す。
欠けた太陽。
光の輪に囲まれた恒星。
「お前たちが今使っているエネルギーは、
地面から湧いたわけじゃない」
「空から降ってきたわけでもない」
「——あそこだ」
指の先。
太陽。
「毎秒、質量を燃やしている星だ」
「数十億年かけて、
今この瞬間の“快適”を作っている」
声が、少しだけ強くなる。
「VRを落とせ。
室温を感じろ。
影を見ろ」
「文明は、蛇口じゃない」
人々は、黙って聞いていた。
怒号もない。
喝采もない。
ただ、
空を見上げる人間が、確実に増えていく。
子どもが、初めて太陽を指さす。
「ねえ、なんで暗いの?」
親は、答えに詰まる。
ザルグは、最後に言った。
「俺は神じゃない」
「罰も与えない」
「ただ——」
少しだけ、笑った。
「思い出せ」
「お前たちは、
“無限”の上に立ってるわけじゃない」
「燃えている星の上に、
偶然、生きてるだけだ」
通信が、切れる。
世界に残ったのは、
薄暗い昼と、静かな空。
そして——
考え始めた文明だった。




