Phase 8-05:光速は裏切らない
※この作品は生成AIを使用して作成されたものです
――「処理は速い。距離は速くならない」――
水星基地、休憩室。
空調は止まり、
あれほど騒がしかった冷却ファンの音も消えている。
静かすぎるほど静かだった。
ミナトは、コントローラーを握りしめていた。
「……ザルグさん」
「地球、静かですね」
「サーバー、完全に落ち着いたみたいで」
ザルグは、モニターを一瞥する。
「当然だ」
「電子を捨てた。
燃える要素がない」
「地球のデータセンターは、
今この瞬間、史上もっとも“涼しい”」
ミナトは、ゆっくり息を吸った。
「……じゃあ」
「そろそろ、いいですよね?」
ザルグが眉をひそめる。
「何がだ」
ミナトは、立ち上がる。
「決まってるじゃないですか」
「ゲームです」
―――――――――――
『期待の起動』
ミナトは端末を操作する。
ログイン画面。
同期チェック。
サーバー接続。
(問題なし)
ミナトの顔が、だんだん明るくなっていく。
「処理遅延ゼロ……」
「発熱ゼロ……」
「通信装置も全部光……」
「これ、もう勝ったんじゃないですか?」
ザルグは、何も言わない。
ミナトは、ゲームを開始した。
―――――――――――
『現実』
画面に、数値が表示される。
Ping:599,999 ms
ミナトは、固まった。
「…………」
もう一度見る。
Ping:599,998 ms
「……」
敵が出現する。
ミナトは、撃つ。
(10分後)
ミナトは死んだ。
―――――――――――
『崩壊』
「……は?」
ミナトは、ゆっくり振り返った。
「……変わってないんですけど」
「1ミリも」
ザルグは、淡々と答える。
「当たり前だ」
ミナトは、声を荒げる。
「当たり前って!!」
「地球のインフラ、
全部ひっくり返したじゃないですか!!」
「光で! 光で!!
全部やったじゃないですか!!!」
ザルグは、静かに言った。
「処理は速くなった」
「だが――」
「距離は縮まらない」
―――――――――――
『逃げ場のない物理定数』
ザルグは、指で式を書く。
「水星―地球間距離」
「光速 $c$」
「必要時間:数分〜十数分」
「これは――」
一拍置く。
「技術でどうにもならない」
ミナトは、呆然とする。
「……じゃあ」
「IOWNも」
「オール・フォトニクスも」
「私のラグには……」
ザルグは、即答する。
「無関係だ」
「処理遅延はゼロにできる」
「変換ロスも消せる」
「だが、
宇宙の広さだけは削れない」
―――――――――――
『光速は裏切らない』
ミナトは、椅子に崩れ落ちた。
「……技術は勝ったのに」
「私は、負けた……」
ザルグは、少し考えてから言った。
「技術は勝っていない」
「正しく働いただけだ」
「光速は裏切らない」
「裏切ったのは――」
「お前の期待だ」
ミナトは、苦笑する。
「ひどい話ですね……」
「宇宙、広すぎですよ……」
―――――――――――
『静かな余韻』
しばらく、二人とも黙る。
完璧に冷えた地球。
完璧に速い処理。
完璧に変わらないPing。
ミナトが、ぽつりと言った。
「……技術の勝利って」
「人間を幸せにするとは、限らないんですね」
ザルグは、初めて少しだけ笑った。
「だから文明は、
いつも“次”を欲しがる」




