Phase 1-04 宇宙人、詰める
※この作品は生成AIを使用して作成されたものです
ザルグは、床に座り込んだまま、しばらく動かなかった。
怒っている様子はない。
だが、許しているわけでもない。
「……続きを話せ」
静かな声だった。
ミナトは、背筋を伸ばした。
「清書したと言ったな」
「……はい」
「どうやって」
「元の……
メモみたいなものを見ながら……
画用紙に、写しました」
「写しただけか」
「……はい」
ザルグは、短く頷いた。
「判断はしていない。
形を保存しただけだな」
それは、責める言い方ではなかった。
「その画用紙は」
「学校に、提出しました」
「掲示されたか」
「……一週間くらい」
「その後は」
ミナトは、少し視線を落とした。
「……引き出しに入れてました」
「“入れていた”」
ザルグは、その言葉を拾う。
「今は、ないのだな」
「……はい」
沈黙。
サーバールームのファンが、
低く唸る。
「捨てた記憶は」
「……ないです」
「だが、存在しない」
事実だけが、並べられる。
「……はい」
ザルグは、天井を見上げた。
「典型的だ」
「……え?」
「価値が分からないものは、
保存されない」
淡々とした声。
「文明とは、そういうものだ」
少し間を置いて、次の質問。
「その図を見て、
何か言った者はいたか」
「……少しだけ」
「誰だ」
「先生とか……
クラスの子とか……」
「評価は」
短い問い。
「……『きれい』とか……
『よく分からない』とか……」
ザルグは、目を閉じた。
「……だが」
ゆっくりと、続ける。
「完全に無視されたわけではない」
ミナトは、戸惑った。
「え……?」
「質問を変える」
ザルグは、こちらを見る。
「公式な評価はあったか」
逃げ場は、なかった。
「……はい」
「内容」
「……地元の……
小さなコンクールで……」
「結果」
一拍。
「……佳作、です」
ザルグの肩が、わずかに下がった。
「……最優秀ではない」
「……はい」
「副賞は」
ミナトは、息を吸った。
「……図書カード、
五百円分です」
今度は、
ザルグは何も言わなかった。
しばらくして、低い声。
「……通貨価値としては」
「……文庫本、一冊分くらいです」
「……なるほど」
ザルグは、ゆっくりと息を吐いた。
「何を買った」
問いは、
もう確認のためだけのものだった。
「……本です」
「題名」
ミナトは、目を閉じて答えた。
「……『ハリー・ポッター』」
その瞬間。
ザルグは、
床に突っ伏した。
勢いはない。
ただ、力が抜けただけだ。
「……」
しばらくして、
床に顔をつけたまま、声が漏れる。
「……銀河の未来が……」
かすれた声。
「……魔法学校に……
変換されたのか……」
ミナトは、何も言えなかった。
やがて、ザルグは顔を上げた。
その目に、怒りはなかった。
「誤解するな」
静かな声。
「お前は、悪くない」
「……」
「価値を判断できなかったのは、
個人ではなく、構造だ」
それが何を意味するのか、
ミナトにはまだ分からない。
「……次だ」
ザルグは、立ち上がった。
「まだ、確認は終わっていない」
ミナトは、
嫌な予感だけを抱いた。
――そしてそれは、
正しかった。




