Phase 7-04:業務「星を食う工場(自己増殖の美学)」
※この作品は生成AIを使用して作成されたものです
『業務開始という名の「解体許可」』
影の大地に置かれた、
親指ほどの銀色の種。
それは、しばらく何も起きないように見えた。
……カチ
微かな音。
次の瞬間、
シードの表面が花のように割れた。
中から現れたのは、
多脚の小型機械。
節足動物のような脚。
中央には、鈍く光るコア。
「……動いた……」
ミナトは息を呑んだ。
「起動完了だ」
ザルグは満足そうに頷く。
―――――――――――
『岩を食う』
ロボットは、
すぐ近くの岩に脚を伸ばした。
ガリッ
岩が削れる音。
レーザーでもドリルでもない。
物理的に噛み砕いている。
「え……?」
ミナトは目を見開く。
「岩、食べてますよね……?」
「ああ」
ザルグは当然のように言う。
「水星の地殻は、
鉄・ケイ素・マグネシウムが豊富だ」
ロボットの腹部が膨らむ。
「必要な材料は、すべて足元にある」
「……まさか」
「そのまさかだ」
―――――――――――
『複製』
ロボットのコアが明滅する。
パキン
腹部が割れ、
中からもう一体が現れた。
「……増えた」
「自己複製だ」
ザルグは、どこか誇らしげだ。
「1体が2体。
2体が4体。
4体が8体」
ミナトの背筋が、ぞっと冷えた。
「……指数関数」
「よく分かっているな」
ザルグは満足そうに言った。
「指数関数は美しい。
文明は、いつもこれで加速する」
―――――――――――
『星を工場にする発想』
数分後。
影の中に、
数十体のロボットが蠢いていた。
岩が砕かれ、
削られ、
取り込まれていく。
「……これ」
ミナトは、恐る恐る聞いた。
「どこまでやるんですか?」
ザルグは、遠くの地平線を見つめる。
「最終的には、水星全体だ」
「……ぜんたい?」
「水星という惑星を、
丸ごと工場にする」
ミナトは言葉を失った。
「惑星は、
物質が重力で丸まっているだけの塊だ」
ザルグは続ける。
「丸いままでは、
表面積が足りない」
「……」
「分解し、
薄く広げ、
必要な形に再配置する」
「……それって」
「解体だ」
ザルグは、まったくためらわない。
「星を壊すことに、
何の倫理的問題がある?」
―――――――――――
『資源の塊という視点』
ミナトは、震える声で言った。
「でも……星ですよ?」
「誰も住んでいない」
「それでも……」
「地球では、山を削り、
海を埋め立て、
資源を掘るだろう?」
「……規模が違います」
「違わない」
ザルグは即答した。
「スケールが違うだけで、発想は同じだ」
ミナトは、何も言えなくなった。
目の前で、
星が「食べられている」。
それを、
正しい業務として。
―――――――――――
『グレイ・グー問題』
ザルグは、ふと思い出したように言った。
「ちなみに、お前は
グレイ・グー問題を知っているか?」
「……名前だけは」
「自己増殖機械が制御を失い、
惑星を無差別に食い尽くす現象だ」
ロボットの群れが、
規則正しく増え続ける。
「最悪の場合、
生態系も文明も、
すべて灰色の機械になる」
ミナトは青ざめた。
「……今、まさにそれやってません?」
「違う」
ザルグはきっぱり言った。
「制御している」
―――――――――――
『フラグ:停止コードと寿命』
ザルグは、端末を操作する。
空中に、設定画面が浮かぶ。
「停止コードを内蔵している。
指定数に達すれば、増殖は止まる」
「……指定数って」
「10億体だ」
「多すぎません!?」
「惑星規模なら妥当だ」
ミナトは頭を抱えた。
「さらに」
ザルグは続ける。
「寿命も設定してある」
「寿命?」
「100日だ。
それを過ぎると、自壊する」
「……本当に?」
「計算済みだ」
ミナトは、嫌な予感しかしなかった。
(これ、絶対フラグだ……)
―――――――――――
『異変』
そのとき。
ミナトの端末が、
警告音を鳴らした。
「……え?」
画面を見る。
増殖数のカウンターが、
異常な速度で回っている。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
ザルグも画面を見る。
「……ふむ?」
「数が……
想定の10倍です!」
ザルグの眉が、初めてわずかに動いた。
「計算では、
この時間で10万体のはずだが……」
「もう100万体超えてます!!」
ロボットの群れは、
影の外縁にまで広がり始めていた。
―――――――――――
『停止コード不応答』
「……一旦、止めましょう!」
ミナトが叫ぶ。
「停止コード、送れますよね!?」
「ああ」
ザルグは操作する。
……
数秒。
……
反応なし。
「……効かない」
「え?」
「停止コードが、
受信されていない」
ミナトの顔から、血の気が引いた。
「それって……」
「地殻成分の違いで、
回路が変異した可能性がある」
「変異!?」
ロボットたちは、
黙々と岩を食い、
増え続けている。
―――――――――――
『フェーズ終端:絶望の一言』
ミナトは、膝から崩れ落ちた。
「……終わった……」
影の中で、
星は静かに食われ続ける。
それは美しく、
合理的で、
そして——
止まらない。




