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Phase 7-02:移動「太陽へダイブ+物理講義(逃げ場なし)」

※この作品は生成AIを使用して作成されたものです

ザルグの社用車——

正確には「銀河開発公社・辺境配備用多目的航行体」——は、

見た目だけなら割と地味だった。


白くて、丸くて、

どこか営業車っぽい。


「これ……本当に宇宙船ですか?」


ミナトは、シートベルトを締めながら疑わしそうに天井を見上げた。


「社用だ。高級ではない」


ザルグはあっさり言う。


「高級じゃない以前に、

 これ……窓、大きすぎません?」


前方全面が、ほぼガラスだった。

いや、ガラスというより——


宇宙がそのまま貼り付いている。


ザルグが何かを操作すると、船体が静かに振動し、

次の瞬間、星々が後方へ引き伸ばされた。


ワープの感覚は、ない。


ただ、速い。


速すぎて、怖い。


「……あの、ザルグさん」


「何だ」


「これ、地球に戻るボタン……ありますよね?」


ザルグは、ちらりとミナトを見た。


「ない」


「ない!?」


「今回の移動は最短軌道だ。

 燃料効率と時間効率を最大化する」


「最短って……どれくらい?」


「ほぼ太陽に向かって落ちる」


ミナトは、言葉を失った。


―――――――――――


『太陽が「大きい」という現実』


数分後。


窓の向こうに見える太陽は、

もはや「遠くで輝く天体」ではなかった。


圧がある。


目で見ているだけなのに、

皮膚が焼ける気がする。


「……太陽、大きくなってません?」


「なっている」


ザルグは淡々と答えた。


「地球から見える太陽の大きさは、視直径で約0.5度。

 だが水星軌道では——」


指先で、空中に式が浮かぶ。


距離比 = 1/0.39


⇒ エネルギー密度=(1/0.39)^2≈6.6


「太陽定数は約6.6倍になる」


ミナトはゴクリと喉を鳴らした。


「……つまり?」


「地球では1平方メートルあたり約1.4kW。

 水星では——」


ザルグは窓の外を指差す。


「9kWだ」


「9kW!?」


「家庭用エアコン9台分のエネルギーが、

 何もしていなくても、

 1平方メートルに降り注ぐ」


ミナトは、思わず自分の腕を見た。


「……それ、人間が立ってたらどうなるんですか?」


「数秒で表面が炭化する」


「即死じゃないですか!!」


「だから日向に立たなければいい」


「そういう問題じゃないです!!」


―――――――――――


『ダイソン・スウォームという狂気』


ミナトは、話題を変えようとした。


「……あの、ザルグさん」


「何だ」


「ダイソン・スウォームって、

 太陽を覆うって言ってましたよね?」


「ああ」


「そんなことしたら、

 太陽光が遮られて、

 地球が寒くなったりしません?」


ザルグは一瞬、考えるような間を置いた。


「覆わない」


「……え?」


「囲むだけだ」


ホログラムが立ち上がる。


太陽の周りを、

無数の小さな点が取り囲む映像。


「ダイソン球は球殻だ。

 だが、それは力学的に不安定で、

 一枚壊れれば全崩壊する」


ミナトは、どこかで聞いたことのある言葉を思い出した。


「……卵の殻みたいな?」


「いい例えだ」


ザルグは頷く。


「だからスウォーム。

 蜂の群れだ。

 数兆枚の独立した発電衛星が、

 それぞれ勝手に軌道を回る」


「勝手に……?」


「ただし、ミリ単位で計算された勝手だ」


ホログラムがズームされ、

軌道が無数に交差する。


「一枚でも計算を誤れば、

 衝突→破片→連鎖衝突。

 ケッスラー・シンドロームで全滅する」


ミナトは、青ざめた。


「……それ、

 失敗したら銀河規模の事故ですよね?」


「だから最初の1基が重要だ」


ザルグは静かに言った。


「水星は、その試験場だ」


―――――――――――


『逃げ場はないという事実』


船はさらに加速する。


太陽は、

もはや「光源」ではなく、

迫ってくる壁だった。


「……ザルグさん」


「何だ」


「今さらですけど」


ミナトは、震える声で言った。


「これ、本当に片道切符なんですよね?」


ザルグは、はっきりと答えた。


「そうだ」


「失敗したら?」


「帰れない」


「成功したら?」


「帰れる」


「……その差、

 あまりにも大きすぎません?」


ザルグは、初めて少しだけ口元を緩めた。


「文明の飛躍とは、

 いつもそういうものだ」


ミナトは、窓の外を見つめた。


太陽は、逃げ場を与えない。


そして、

自分ももう、逃げられない。


(ああ……)


(完全に、宇宙の話になったな……)


社用車は、減速しない。


水星へ向けて、

一直線に落ちていく。


―――――――――――


『次フェーズへの予感』


ザルグが、ぽつりと呟いた。


「安心しろ、ミナト」


「……何がですか」


「最も危険なのは移動ではない」


ミナトは嫌な予感しかしなかった。


「……じゃあ、何が一番危険なんですか?」


ザルグは、太陽を見つめたまま答えた。


「現場だ」


ミナトは、深くため息をついた。


(やっぱりそうか……)

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