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銀河の納期は待ってくれない 〜担当エリア「太陽系」が20年遅延してるんですが〜  作者: 暗渠
第5話:『海を持ち上げるという発想~タワマンは巨大な電池である~』
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Phase 5-04:分散型という名の戦術変更

※この作品は生成AIを使用して作成されたものです

― 巨大は失敗し、小さな狂気が量産される ―


温泉街の騒動から、二日後。


ムゲン・システムズの会議室は、

異様なほど静かだった。


怒号もない。

クレーム電話も鳴っていない。


それが、逆に怖い。


私は、会議室の隅で、

紙コップのコーヒーをすすっていた。


(嵐の前の……静けさ……)


ザルグ、黙る


ホワイトボードの前に、ザルグが立っている。


腕を組み、

何も書かず、

ただ、考えている。


(……珍しい)


「……」


「……」


沈黙が、三分。


五分。


(これ、話しかけていいやつ?

 それとも、触ると死ぬやつ?)


耐えきれず、私が口を開いた。


「……あの……

 温泉街の被害報告、まとまりました」


「……」


「老舗旅館の床板は張り替え、

 女将さんは“もう何も驚かない”そうです」


「……」


「あと、カニは全員、

 無事に海へ……」


「……よし」


ザルグが、ようやく口を開いた。


「結論が出た」


(来た……)


巨大は愚か


ザルグは、ゆっくりとホワイトボードに書いた。


× 集中型


その下に、大きな丸を書いて、


◎ 分散型


「一つの巨大な装置で、

 全てを解決しようとしたのが間違いだった」


(今さら!?)


「地球は、複雑すぎる。

 地下水脈、地盤、文化、感情……

 想定外が多すぎる」


私は思わず頷いた。


「そうなんです!

 だから、もうちょっと小さく……」


「違う」


(違うの!?)


「もっと細かくだ」


戦術変更の定義


ザルグは、淡々と続ける。


「巨大ダム一つは、壊れると大惨事だ。

 だが、小さな装置を一万個置けば?」


「……一万個分の苦情が来ます」


「一件あたりは軽い」


(合算すると地獄です)


「被害は局所化する。

 文明の耐障害性は、

 分散でしか上がらない」


ホワイトボードに、

小さな四角が無数に描かれていく。


ビル。

工場。

マンション。


……マンション?


私は嫌な予感がした。


高さは無駄にするな


「ミナト」


「はい……」


「都市で、最も無駄にされているものは何だ?」


「……えっと……

 会議とか……?」


「高さだ」


(会議じゃなかった)


「人類は、

 高い建物を“見栄”で作り、

 “住む”ためだけに使っている」


「……はい」


「だが、高さとは

 位置エネルギーそのものだ」


ザルグは、ビルの断面図を描いた。


地下。

中層。

屋上。


「高さがあれば、

 水を落とせる」


(来た……)


小さな揚水発電


「巨大な山を使うから、

 地下が悲鳴を上げた」


ザルグは、ペンを置いた。


「ならば、

 すでにある高さを使えばいい」


「……まさか……」


「都市だ」


ホワイトボードに、大きく書かれる。


タワーマンション


(やっぱり!!)


理屈は完璧


「考えろ」


ザルグは楽しそうだ。


「タワマンは、

 高さ100〜200メートルの

 “人工の崖”だ」


「……言い方が不穏です」


「昼、余った電力で水を上へ。

 夜、必要になったら下へ」


「……揚水発電……」


「そうだ。

 一棟一発電所」


私は頭を抱えた。


「でも……

 発電量、微々たるものじゃ……」


「一本一本はな」


ザルグは、東京の地図を広げた。


「だが、

 数千棟あれば?」


(来た……“数で殴る”理論……)


「中規模火力一基分にはなる」


「……」


「しかも、

 壊れても一棟。

 クレームも一棟」


(地獄のスケーリング……)


住民という要素


私は、最後の抵抗を試みた。


「……住民の同意は?」


「取る」


「どうやって?」


「“省エネです”と言う」


「……」


「“災害に強くなります”と言う」


「……」


「“あなたのトイレが

 街を守ります”と言う」


「……それ、

 人権的にどうなんですか?」


ザルグは、首を傾げた。


「水を流すのは、

 元々やっている行為だ」


「発電してないだけだ」


(理屈は……通ってる……)


決定


ザルグは、ペンを置いた。


「決まりだ」


「巨大はやめる」


「小さな狂気を、

 都市全体にばら撒く」


私は、椅子にもたれた。


「……次は……

 どんなクレームが来るんでしょうね……」


ザルグは、静かに言った。


「夜だ」


「?」


「水が落ちる音が、

 街に満ちる」


(ああ……)


「……眠れなくなりますね……」


ザルグは、少しだけ笑った。


「重力が仕事をしている音だ。

 子守唄だろう?」


(悪夢だよ)


窓の外では、

東京のタワマン群が、

何も知らずにそびえ立っている。


私は悟った。


次のクレームは、

数ではなく、密度で来る。

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