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銀河の納期は待ってくれない 〜担当エリア「太陽系」が20年遅延してるんですが〜  作者: 暗渠
第5話:『海を持ち上げるという発想~タワマンは巨大な電池である~』
24/30

Phase 5-02:海を持ち上げる計画

※この作品は生成AIを使用して作成されたものです

― 重力は、裏切らない ―


翌朝。

ムゲン・システムズ本社・大会議室。


私は眠気と不安を引きずりながら、長机の一番端に座っていた。

正面のホワイトボードには、でかでかと日本地図。


そして、その前に立つ――

当然のように、ザルグ。


(……嫌な予感しかしない)


「いいか、ミナト」


ザルグは、チョークを持つと、ためらいもなく日本列島に丸を描いた。


「電気を貯める方法は二つしかない」


チョークが走る。


化学エネルギー(電池)

位置エネルギー(重力)


「電池は便利だ。だが劣化する。希少資源も必要だ。

 つまり――文明が不安定になる」


私は小さく頷いた。

ここまでは、正論だ。


「だが重力はどうだ?」


ザルグは、チョークを床に落とした。


カツン。


「裏切らない。

 重力は、宇宙が終わるまで一定だ」


(言い方が怖い……)


「つまりだ」


ザルグは、日本地図を指差す。


「お前らが夜に困るのは、

 電気が足りないからではない」


「昼間に余ったエネルギーを、

 “高いところ”に逃がしていないからだ」


「……揚水発電、ですか?」


恐る恐る口を挟む。


「ほう、知っているじゃないか」


ザルグは満足げに頷いた。


「そうだ。水を高い場所に汲み上げ、

 落とすときに発電する。

 原始的だが、極めて優秀な方法だ」


「でも、日本の揚水発電所って、

 もう結構使われてますよね?」


「あんなものでは足りん」


ザルグは、にやりと笑った。


そして――

日本海を指差した。


「俺が使うのは、これだ」


「……海?」


「そうだ」


ザルグは、北アルプス方面にチョークを走らせる。


「下の池:日本海

 上の池:北アルプスの谷」


一瞬、思考が止まった。


「……え?」


「海水を汲み上げ、山に貯める」


「夜になったら、落とす」


「終わりだ」


(終わりじゃない!!!!)


私は、思わず立ち上がった。


「無理です!!

 スケールがおかしいです!!

 海水を山に!? どうやって!?

 ていうか、塩害とか、生態系とか!!」


ザルグは、面倒くさそうにこちらを見る。


「パイプラインだ。完全密閉。漏れない」


「貯水池も完全防水」


「塩害? 起きない」


「……じゃあ、海面は!?」


「数センチ下がるだけだ」


「それ、誤差じゃないです!!

 港湾関係者が怒ります!!」


「夜に戻す」


「昼は下がり、夜は戻る」


「潮汐と同じだ」


(漁師さんに殴られる……)


私は額を押さえた。


「そもそも……

 なんで、そんな無茶を……」


ザルグは、少しだけ真面目な顔になった。


「都市は夜に電気を食う」


「照明、空調、交通、娯楽」


「人類は、暗くなると活動したがる」


「それを支えるには、

 夜に“落とせる何か”が必要だ」


ザルグは、チョークで

$U = mgh$

と書いた。


「質量 × 重力 × 高さ」


「この式は、文明を裏切らない」


「だから――」


ザルグは、静かに言った。


「海を持ち上げる」


会議室が、静まり返った。


誰もが理解している。

理屈は、正しい。


ただし。


(社会が……死ぬ……)


「……止められますよね?」


私は、最後の希望を込めて聞いた。


ザルグは、即答した。


「いいや」


「昼の余剰電力が、もう行き場を失っている」


「使うか、捨てるかだ」


「物理的に正しい方を選ぶ」


(ああ……始まる……)


私は椅子に座り直し、

心の中でそっと呟いた。


(次のクレーム、

 “海が減った”とかじゃ済まないな……)

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