Phase 4-01:エコという名の授賞式
※この作品は生成AIを使用して作成されたものです
私の名前はミナト。
地球人で、ムゲン・システムズという会社のクレーム処理係だ。
……といっても、普通のクレーム処理係じゃない。
相手にするのは、
「物理的には正しいが、社会的には絶対にアウト」
そんなことばかりをやらかす宇宙人――ザルグである。
今日も私は、場違いにもほどがある場所にいた。
会場は、都内一等地の五つ星ホテル。
天井には巨大なシャンデリア。
壁際には、磨き上げられた木目のパネル。
その中央に、金色の文字でこう書かれた横断幕が掲げられている。
「第12回 カーボンニュートラル大賞 授賞式」
(……なんでクレーム処理係が、こんな場所にいるんだろう)
理由は単純だった。
ザルグの暴走を止めるためだ。
――テザー推進の成功から数ヶ月。
ムゲン・システムズは、
「環境に優しい」「持続可能」「人類の未来」
そんな言葉を一身に背負い、環境系ニュースの常連になっていた。
壇上には、環境大臣。
隣にはJAXAの幹部。
その横には、大企業のCSR担当者がずらり。
全員、笑顔。
それはもう、びっくりするほどの笑顔だ。
「ムゲン・システムズの革新的技術により――」
環境大臣が、力強く宣言する。
「ロケット燃料由来のCO₂排出量はゼロになりました!」
パチパチパチパチ!
会場が拍手に包まれる。
「これで地球温暖化は止まります!
まさに、クリーンエネルギー社会の到来です!」
パチパチパチパチパチ!!
(よし……)
私は、胸の奥でそっと拳を握った。
(今のところ、何も起きてない……!
このまま、何事もなく終わってくれ……!)
……が。
壇上の端。
スポットライトの外れた影の位置で、
ザルグが空調の吹き出し口を睨んでいた。
(……あ)
嫌な予感が、背骨を伝って駆け上がる。
あの顔だ。
**「世界の間違いに気づいてしまった宇宙人の顔」**だ。
「ザ、ザルグさん……?」
私は、できるだけ自然な笑顔で小声をかけた。
「今は授賞式ですから。
ほら、拍手とか……笑顔とか……」
「……エコ?」
ザルグが、低く呟く。
「はい?」
「温暖化が、止まる?」
「そ、そうです!
今まさに、そのお祝いを――」
「……」
ザルグは、会場全体をゆっくり見回した。
シャンデリア。
照明。
巨大スクリーン。
フル稼働の空調。
そして、蒸し暑さをごまかすように強く吹き出す冷気。
「おい、ミナト」
「は、はい!」
「外の天気はどうだ?」
「え?」
唐突な質問だった。
「えっと……
最近ずっと曇りですね。
湿気もすごくて、ゲリラ豪雨も多いですし……」
私は苦笑いする。
「なんか、亜熱帯っぽくなりましたよね」
「……当たり前だ」
ザルグが、吐き捨てるように言った。
「お前らは“冷やす”ことをやめたからな」
「……え?」
意味が分からず、聞き返そうとした瞬間。
「話がある」
ザルグが、私の腕を掴んだ。
「ついて来い」
(うわあああああああ!!)
私は心の中で絶叫した。
(やっぱり始まった!!
何も起きないはずがなかった!!)
壇上では、まだ拍手が鳴り止まない。
「エコ! エコ! エコ!」
その歓声を背に、
私はザルグに引きずられるように会場を後にした。
シャンデリアの光が遠ざかる。
自動ドアが閉まる。
その瞬間、私は悟った。
この授賞式は、
“問題が解決した祝い”ではない。
“問題に気づいていないことを祝う式”なのだと。
そして――
次に始まるのは、
とても面倒で、誰も聞きたくない話だということを。
(……またクレーム処理、増えるんだろうな)
私は、深いため息をついた。




