Phase 2-04 パチンコ屋の輝き
※この作品は生成AIを使用して作成されたものです
夜の街。
――いや、正確には夜なのに昼より明るい街だった。
道路沿いのネオン。
看板のLED。
意味もなく照らされる歩道。
ミナトは目を細める。
「……こんなに明るかったっけ、ここ」
「明るいな」
ザルグが呟いた。
「不自然なほどに」
二人の足が、自然と止まる。
そこにあったのは――
巨大なパチンコ店。
正面看板は、光の暴力だった。
新装開店!
電気代大幅値下げ記念!!
全台LED演出 3倍!!
目が潰れるほど出ます!!
看板が、点滅する。
虹色に。
無意味に。
音楽が鳴り響く。
玉が弾ける電子音。
歓声。
警告音。
まるで、小型の恒星が地上に降りてきたみたいだった。
「いらっしゃいませー!!」
店の前で、店員が元気よく声を張り上げる。
「いやぁ〜、すごいでしょ! この明るさ!」
店員は誇らしげに、看板を指さした。
「3ヶ月前から電気代がほぼタダ同然になりましてね!
電力会社が値下げ合戦始めちゃって!」
ミナトの喉が、ひくりと鳴る。
「……3ヶ月前」
「そうそう!
月から電池が降ってきたってニュース、知ってます?」
ザルグの身体が、ぴたりと固まった。
「……降ってきた?」
「はい!
あれのおかげで、電力事情が激変ですよ!」
店員は楽しそうに続ける。
「今まで我慢してた演出、全部解禁しました!
ほら、この台!」
店内を指差す。
無数のパチンコ台。
同時に光る。
同時に鳴る。
光。
音。
意味のない演出。
「見てくださいよ!
玉の動きに合わせて、全身で光るんですよ!
最高でしょ!?」
ザルグは、何も言わなかった。
ただ、
その光景を見つめていた。
数秒。
十数秒。
そして――
膝から、崩れ落ちた。
「……」
ミナトが、慌てて駆け寄る。
「ザ、ザルグさん!?」
ザルグの口が、震える。
「俺が……」
声が、かすれる。
「月で……
岩を削り……」
視線は、パチンコ台を見ている。
「数千Gに耐える結晶構造を設計し……
全固体化して……」
光が、顔を照らす。
「弾道を計算し……
迎撃されないよう説得し……」
ザルグは、拳を握りしめた。
「……命がけで、届けたエネルギーが……」
店内の台が、一斉にフラッシュする。
ピカァァァァァ!!
「……ただ……」
声が、割れる。
「玉の動きに合わせて……
光るためだけに……
使われている……!!」
店員は、首をかしげる。
「え?
でも、楽しいですよ?」
悪意はない。
心底、楽しそうだ。
「エンタメって、そういうもんでしょ?
人生、楽しまなきゃ損ですって!」
ザルグの目が、虚ろになる。
「……楽しい……?」
「はい!」
店員は笑顔だ。
「みんな笑ってますし!
経済も回ってるし!
平和そのものじゃないですか!」
ザルグは、ゆっくりと天を仰いだ。
「……平和……」
そして、絞り出すように言った。
「これは……
平和じゃない……」
声が、低く震える。
「これは……
エントロピーの無秩序な増大だ……」
「……え?」
「宇宙の熱的死を……
全力で早める行為だ……」
店員は、困ったように笑う。
「あはは……難しいことはよくわかりませんけど……
まあ、楽しければいいじゃないですか!」
ミナトは、ザルグの肩にそっと手を置いた。
「……ザルグさん」
少し、間を置いて。
「でも……
人類って、そういう生き物なんです」
「……」
「無駄遣いもするし、
意味のないことにも全力出すし……」
ネオンを見上げる。
「でも……
それで笑ってるなら……」
声が、弱くなる。
「……たぶん、平和なんですよ」
ザルグは、何も言わなかった。
しばらくして、ザルグはゆっくり立ち上がった。
目は、もう光を映していない。
「……次は」
低く、静かに。
「無駄にできない仕組みを作る」
ミナトが、嫌な予感に背筋を凍らせる。
「……それ、
また何か危ないことするフラグですよね?」
ザルグは、微かに笑った。
「安心しろ」
夜空を見上げる。
「次は……
重力より、磁力を信じる」
「……え?」
その言葉の意味を、
ミナトはまだ理解していなかった。




