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時間戦士は永遠の夢を見るのか・番外編「彼の世界」

作者: 刹那メシ
掲載日:2025/12/12

これは「時間戦士は永遠の夢を見るのか」本編の第19話「エピローグ」の直前で、番外編「ミカの悪夢」の後の出来事になります。

※タイトルを「歴史改変阻止者」から「彼の世界」に変更しました。

挿絵(By みてみん)


<遥か未来>

 アミカナは、彼女以外に何もない、巨大で薄暗い部屋の中央に立っていた。四方の壁には細かいグリッドが切ってあるはずだったが、暗さも手伝って、彼女の位置からはのっぺりした壁にしか見えなかった。

「時空座標調整中」

 女性オペレータの声が響く。

「よろしい。暫く待機してくれ」

「分かりました」

 チーフ・オペレータに言われて、アミカナは息をついた。意味もなく、つま先で床をつつく。

<アミカナ、聞こえる?>

 不意に、スピーカーから自分の声が聞こえて、彼女は一瞬戸惑った。

「ミカ?」

<そう、私>

 どうしたの?――と聞こうとして、アミカナは全てを悟った。ミカの思考は、彼女と同一だったからだ。そう、アミカナは、ミカの脳内のニューロン・ネットワークから、体の各種サイズ、容姿まで完全に模倣した、精巧なアンドロイドだった。アミカナ自身、自分が機械であるという実感はない。感覚は、コピー元であるミカだった時と全く同じだった。

「……悪夢の件ね……」

 アミカナは目を伏せた。

<そう……断片的だけど、あれはきっと、(フォー)が実際に経験した記憶だわ……>

「恐らくそうね……」

<だから……>

 ミカの声を遮って、アミカナは顔を上げた。

「大丈夫! 惑わされたりはしないわ。夢は夢。任務は任務よ」

<でも……また同じ場所なのよ。偶然とは思えない>

 アミカナは苦笑した。

「ミカ。あなた心配性ね」

<アミカナ……>

「……悪夢の件で、私はむしろ安心してる……」

 そう言うと、彼女は人差し指で鼻先を擦った。

<安心?>

「そう。私がどう生きたかを、少なくともあなたには覚えておいてもらえるって分かったから……」

<……アミカナ……>

 長い沈黙があった。

<……ごめんなさい……>

 ミカの声は、心なしか震えていた。ミカの複製であるアミカナを創る目的、それは、生物を生きたまま時間転送できないという理由だけではない。アミカナは、この世界に戻って来れないだけでなく、行った先の世界で消滅することが確定している。彼女は、任務と共に死ぬために創り出されているのだ。

 アミカナは微笑んだ。

「どうしてあなたが謝るの? これはあなたが……いいえ、私達が望んだことじゃない……」

「座標調整完了」

 女性オペレータが告げた。

<あ、アミカナ頑張って! しっかりね!>

「ありがと! ミカ!」

 息をつくと、アミカナは一度目を閉じた。

 ……そう、私は歴史改変阻止者……だから、(フォー)、安心して……

 目を開くと、青く輝く瞳で、彼女は正面に広がる闇を見据えた。

 ……彼の世界は、私が守る……

「よし! では、ミス・デフォルマ、ダイブだ」

 チーフ・オペレータが力強く宣言した。

「はい。アミカナ=デフォルマ=(ファイブ)、行きます!」

お読み頂きましてありがとうございます。番外編も今回で12編目。本編の話数に迫る数となりました。なお、仕事の都合で、ここで少しお休みを頂きたいと思います。新作のアテはないので、戻ってきたらまた番外編に手を付けるかも知れません。アミカナの物語にまだ興味があるようでしたら、また覗いて頂けると幸いです。ここまでお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。

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