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私を殺すラスボスは兄の親友  作者: 秋月 忍
高等部編

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52/119

遺跡 1

 結局、婚約式についての時期は両親しだいではあるが、ガデリ司祭が帝都に戻り次第執り行いたいということになった。

 ガデリ司祭とは聖膜の件で、今もお世話になっているし、なによりも人物的に信頼できるし、皇族の婚約式を執り行えるだけの地位にもある。

 間違ってもダリン司祭には頼みたくない。

 陛下は光輪派が勢いづくのはさけたいところだろうし、なによりリオンさまは光輪派に対して不信感を持っている。私自身も、ダリン司祭とはあまり面識もないけれど、光輪派の教えがルシアーナさまを危険にさらしたと思っているから、良い感情は持っていない。

 遺跡に関しては、ちょうど陛下のお誕生日に合わせて、学院が五日ほど休みになるため、そこで行くことになった。もっとも陛下のお誕生日のある最終日は、皇室主催の舞踏会まであって、当然リオンさまには公務がある。

 ちなみに学院が五日も休む理由は、遺跡である。

 全く知られてはいないとはいえ遺跡は帝都の地下に広がっていて、この三年でほぼ地理的な調査は終わったものの、まだ完全ではない。しかも出入口を封鎖できていない場所もある。

 学院の入り口は長期休暇時に封鎖することになっていて、今は魔術的に簡易封鎖してある状態だ。

 翌日の昼食時。

 私はリオンさまに呼ばれロイヤルルームで食事をすることになった。もちろん、兄とエミリアさまも一緒だ。

「簡易封鎖している箇所はこの時期、強固な魔術を仕掛けているからね」

 リオンさまの説明によれば、『間違って』入る可能性を少しでも減らす必要があるらしい。

「それにしても、遺跡探索なんて、危なくないのですか?」

 エミリアさまは心配らしい。

「既に探索は済んでいるのでよほどのことがない限り大丈夫かな?」

 リオンさまはなぜか疑問形だ。

「まあ、アルキオーネが何かしでかさなければってことだろうな」

 兄が苦笑する。

「お兄さまはともかく、リオンさまもそのようにお考えとは心外です」

 兄なら反撃するけど、リオンさまにはそういうわけにはいかない。ちょっと悔しい。

「私は、何も言っていないよ」

「そうですか」

 私はただ頷いて黙り込み、そのまま食事を続ける。

 沈黙が続いた。

「ごめん」

 リオンさまが頭を下げる。

「アルキオーネ嬢がわざと問題を起こすようなことをすると思っているわけではないから」

 ふふふっと、突然エミリアさまが笑い出した。

「リオンさまの負けですわね」

「え?」

 エミリアさまの言葉に、リオンさまはきょとんとした顔になる。

「あの程度で本気で怒るアルキオーネさんではありませんわ。妹想いのダビー先輩が平気な顔をしていらっしゃるのですから大丈夫ですよ」

「……怒っていない訳でもないのですけれどね」

 エミリアさまのフォローに異を唱えるつもりはないけれど、思わずふうっとため息をつく。

「自分では良識のあるほうだと思っているのですけれど、皆さんはそう思っていないようで残念です」

 淑女らしくはないけれど、私は常識人である。だが、周囲は私をトラブルメーカーだと思っているようだ。兄の方がよほど好き勝手にやっているのに。

「アルキオーネ嬢は非常に冷静で良識ある人だ。それは間違いない」

 リオンさまは頷く。

「ただ、その。謎の発想力と行動力があって、それは結果的にはいつも間違ってはいないのだけれど、予想できないところがある」

「……そうでしょうか?」

 私としては首をひねってしまうけれど、兄もエミリアさまもリオンさまと同じ意見のようだ。

「ただ、それはアルキオーネ嬢の魅力だ。非難するつもりは毛頭ない。アルキオーネ嬢はアルキオーネ嬢らしく、思うがままでいいと思っている。その一挙一動を見逃せないと感じているのは、私の勝手だ」

 リオンさまは柔らかに微笑む。その目がとても優しくて、胸がどきりとした。

「ただ、遺跡は未だ謎なところが多い。安全だと思っていても、保証はできないから何か行動を起こす前に、必ず報告してほしいとは思っている」

「それは……そうですね」

 私は頷きながら、少々気まずくなる。転移装置らしきものを見つけたら、とりあえず実験しようと思っていたことを見透かされたような気分だ。

 なるほど。

 確かにリオンさまや兄の言う通りだ。

 問題を起こすのは私なのかもしれない──けれど。やってみなければわからないことだってあると思う自分もいる。

「アルキオーネ嬢?」

 リオンさまは私に確認するように、私の名を呼んだ。

「……思い付きで行動しないように気を付けます」

 とりあえず、あまり短慮なことはしないようにしようと思いながら、私は頷いた。


 

 

文章に重複がありました。

訂正しております。すみませんでした。

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