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私を殺すラスボスは兄の親友  作者: 秋月 忍
高等部編

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卒業パーティ 2

 会場に入ると、すでにたくさんの学生が入場していた。通常の夜会だと登場するたびにコールされたりするのだけれど、特にそういうのはない。コールがあるのは来賓のほうだ。政府の偉いさんが来るので当然と言えば当然かも。ただし、保護者は基本コールされない。その理論だと陛下も! コールされないことになるのだけれど、さすがに陛下のコールはあるらしい。そりゃあそうだ。周囲だって心の準備がいるし。

 立席パーティ方式だけれど、保護者と来賓には座るための場所が用意されている。普通の夜会だとご馳走が用意されたりするのだけれど、卒業パーティは飲みもののみ。開催される時間とか、スペースの問題とかいろいろ理由はあるらしい。一番は予算かな。

 ご馳走がないのは私的には残念なのだけれど、卒業パーティは、その後の人生の人脈づくりにも役立てるという『目的』もあるため、食べてばかりいるようでも困るということもあるようだ。

 とはいえ、卒業パーティだけで人脈なんて簡単に築けるものではないのになあとは思う。今まで面識のなかった人に『卒業後もよろしく』なんて言われたら面食らうし。そもそも卒業生と関係ないパートナーを同行している地点で、同級生でわいわいって形にはなりにくい。日本風の卒業式がベストとは思わないけれど、学生最後のイベントというには、第三者が多すぎる気もしている。

 一応、開始に学院長の挨拶があるのだけれど、まだ来賓が到着していないので、しばらく後になるようだ。

「リオンさま!」

 私たちを見つけて手を挙げ招いているのは、兄だ。

 今日の兄は、深緑色のスーツ。少し色は違うけれどエミリアさま色ということらしい。話によると明るい緑だとちょっと似合わなかったみたい。たぶん、売れない芸人さんみたいになっちゃう感じだったのだろうなあと想像する。傍らにいるエミリアさまは、黒いドレスだ。もちろん、慶事のドレスなので裾に美しいアイリスが刺繍が施されている。ちょっと着物柄っぽいけれど、非常に品があって美しい。

 アイリスはアルマク領の湿地に咲く花ということで、兄が選んだ。ちなみに正確にはアイリスというより、カキツバタという方が正しいとは思う。アイリスはわりと乾燥したところで育つらしいから。ただ、この国では区別していない。当然、胸元のブローチも紫のアイリスだ。

 花を模したアクセサリーをしなければいけないという指定はあるけれど、実際、何の花で作るかとかは特に決まっていないから、みんなかなり悩むところだ。人と被りたくないという心理もあって、見たこともない花で作る人もいるらしい。

「アルキオーネ、お前とリオンさま、すごく目立つな」

 兄は私を見て、苦笑いを浮かべた。

「私もそう思います」

 なにしろ私が赤で、リオンさまが黒。ちょっとした物語の悪役カップルの配色である。

「リオンさまの気合いが伝わってまいりますわ」

 ふふっとエミリアさまが笑う。

「あら。でもそのドレスを着ていても、アルキオーネさんに突撃した勇気あるかたがいらっしゃるのね」

 私の髪にさされたカスミソウに気づいたのだろう。エミリアさまが目を丸くした。

「これはそういうのではないかと。クラーク先輩からいただいたものなので」

「まあ」

 そもそも告白されたわけではなく、私とリオンさまの幸せを祈るみたいな感じだった。

「なるほど。クラーク先輩だから、リオンさまもブロックしなかったというわけですね」

 エミリアさまは納得したらしい。

「さすがに無下には出来ませんものね」

 コホンとリオンさまが咳払いをした。

「メルダナ嬢、それくらいにしておいてくれないかな」

「……そうですね」

 よくわからないけれど、エミリアさまはリオンさまに頷く。

 二人にしかわからない何かがあるのかなとは思ったけれど、あまり触れてはいけないことなのかもしれない。とりあえず黙っておこう。

「どういう意味?」

「何でもありませんわ。ダビー先輩」

 空気を読まずに疑念を口に出した兄に、エミリアさまは首を振る。

「つくづく君たち兄妹は鈍いな。助かるけれど」

 リオンさまが小さな声でそう呟いた。

謹んで新年のお喜びを申し上げます。

本年もよろしくお願いいたします。


昨日は更新できなくて申し訳ございません。

また、申し訳ございませんが、1/7(水)の更新はお休みいたします。

(いろいろバタバタしてます)


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