表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私を殺すラスボスは兄の親友  作者: 秋月 忍
高等部編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/119

赤い月5

 透明なものは地下に埋もれていて、光を当ててみても、かなり深いところまで透明にみえる。明らかに目立つ人工物だけれど、この透明なものの上は沼人たちの廃棄物置き場のようになっていて、ずっと気づかれなかったらしい。赤い月の手記の解読によって、捜索の結果みつかったとか。

「ここって、地上ではどのあたりになるのですか?」

「学院の近くのはずだけれど」

 リオンさまの答えに浮かんだ光景があった。

 『学院の赤い月』での最終シーンである。

 レジナルド殿下との決闘に敗れ、リオンさまは自害した。それは学院が見下ろせる高台で空には赤銅色の月が鈍い光を放っていた記憶がある。

 なぜこんなことを思い出したのだろう。

 もうこの世界は私の知っている『学院の赤い月』とは似ても似つかぬ世界だ。そもそも時間軸的には一年前の出来事のはず。だから気にすることでない。

 それはわかっている。

「どうかした?」

 黙り込んだ私の顔をリオンさまが覗き込んできた。

「いいえ、少し嫌なことを思い出しただけです」

 私は首を振った。

「赤い月の記述によると、ここに立てば行けるそうなのだけれど、我々が試してみたけれど、どうも龍の巫女か、寵児でないとむりみたいで」

 リオンさまが、透明なものの上にあしをのせてみるが、何の反応もない。

 赤い月ことンシャナは、おそらく龍の力が使えたし、人工の龍石を作ったりもしていたから私たちが考えるよりずっと手軽に、『鍵』の感覚で龍の力を使っていたのだろう。彼はことごとく自分の大切な場所への道は、龍の力がないと通れないのは、ここも同じことらしい。

「わかりました。やってみます」

「気を付けて」

 私は透明な部分に足をそっと延ばす。

 すると、そこが光り輝いて、無数の光の線が周囲に魔法陣を描き始めた。範囲がかなり広い。

 この文様には記憶があった。

「移動の陣です!」

 どうしようと思った時にはもう遅くて、私たちはそのまま光の中に包まれた。



 そこは、木が生い茂った場所だった。

 見晴らしはあまりよくないが、それなりに高い場所のようで、木々の隙間から帝都の街が小さく見える。

「ラザルの丘のようですなあ」

 ザナン伯爵が辺りを見回しながら呟く。

 ラザルの丘は、学院の近くにあるため、未踏の場所ということもない。丘というには少し高く、山というには低い。野生動物はいるけれど、魔獣はほぼ生息していない。学院の授業で薬草の採取で学生が入っても大丈夫なほどの比較的安全な山だ。

 ここは頂上付近のようだが、道から外れている場所なのだろう。

 それにしたって、まさかこんなところに移動の陣が現れるとは思わなかった。今までの移動の陣と違って、龍の力がないと陣の形が全くわからないものだったため、ナスランにも気づかれなかったのだろう。

 ひょっとしたら、ここに沼人を多く住まわせたのも、この陣を隠すためだったのかもしれない。

「あそこに何かある」

 リオンさまが、大きな木の根元を指す。

 うず高く積もった木の葉の下に、龍の絵の描かれた石板のようなものがあった。

 湖底の研究室に向かうところにあったものに似ている。石板の上に張った木の根が邪魔をしているけれど、古代文字が書かれていた。

「蝕の結界……月影の陣を……」

 ザナン伯爵が根の隙間から字を読み取ろうとする。大きく張った木の根を焼いてしまえば多少読みやすくなるかもしれないけれど、下手に触ると石板を壊してしまいそうだ。

「触ってみます」

「お願いします」

 椿宮の時のように、突然穴が開いたりしないことを祈りつつ、石板に触れる。

 すると、ぎぎっと音がして、大きな木に洞が現れた。

「何?」

 洞の中央には台座のようなものがみえる。洞ではなく、人工物のようで、どういう仕組みなのか、内側から外を見るとまるで壁がないかのように透けてみえた。

「入ってみましょう」

「アルマク嬢、くれぐれもお気をつけて」

「わかっています」

 ロイスナートさんに念を押されるけれど、たぶん私が入らないと入れない可能性が高いのだから、行くしかない。

 私はゆっくりと中に足を踏み入れる。ぐにゃりという空間が歪むような感覚がした。

 中は思ったより広い。というか、外から見えていたよりはるかにスペースが大きい。

「空間に魔術が使われていますな。外と中で広さが違う。いったいどんな魔術を使っているのか、不思議ですなあ」

「外より、空が広いな」

 リオンさまに言われて上を扇ぐと、全天が開けていた。木が生い茂っていて、空なんてあまり見えなかったはずだ。一応は、外の景色は変わっている様子はないのに空に関しては、実際のものとは異なっている。

 中央の台座には金色の透明な石が埋まっていた。先程とは違い、魔力線が大きく四方に伸びているのが見て取れる。

「これが……結界の石でしょうか?」

「そうだと思う。書いてあった通りだから」

 リオンさまが頷き、そっと石の上に手を置いて、古代語を唱えると、石の上に一人の男性の姿が現れた。


 


 

 


メリークリスマス♪


いつもお読みいただきありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ