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私を殺すラスボスは兄の親友  作者: 秋月 忍
高等部編

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深夜のお茶会 2

昨日は更新お休みしてすみませんでした。


「それを聞くのは野暮だと思うよ、アルキオーネ嬢」

 リオンさまは私をたしなめる。

「ダビーは、たとえどんな約束をしていたとしても、本当に嫌だと思ったら流されるように押し切られたりはしない。他人にも自分にも正直な男だから」

「それはそうですね……」

 リオンさまの言う通りエミリアさまとの婚約が嫌だとしたら、そもそも婚約者候補なんてものに名乗りをあげることもないだろう。同情だと本人は思っていたかもしれないけれど、根底には好意があったはず。

 こほん。

 リオンさまは黙り込んだ私たち兄妹に苦笑しつつ、咳払いをひとつした。

「ダビーはメルダナ嬢の気持ちが自分に向いているのも気づいていなかったし、メルダナ公爵があまりにもあっさりと縁談を受け入れたのがかなり意外だったということかな」

「ああ」

 兄は頷く。

「少し前のアルマク家なら、皇族との縁談をあれほどまでに避けていた公爵の希望に添うものだった。だけど、今は違う。リオンさまは皇族を抜けるということにはなっているけれど、アルマク家は、皇族と繋がりができてしまった。この先、政争に巻き込まれないという保証はない」

「つまり、ダビー的には、メルダナ公爵の意図がよくわからないというわけだ」

 なるほど。兄はメルダナ公爵は絶対に反対すると思ったからこそ、『候補』なんてあやふやな立場でエミリアさまの盾になれると考えていたということらしい。

「これは想像なのだけれど、万が一にでもフィーナがダビーと結婚するようなことになったら、さすがにアルマク家の力が大きくなりすぎるという危機感もあったかもしれない」

「殿下、そもそも、それはないですよ……」

 兄はうんざりというように首を振る。

「年も離れているし、うちは侯爵家です」

「あれ? マルドーネ公子の話が立ち消えた地点で、ダビーはかなり有力候補に入っているって気づいてなかった?」

 リオンさまは笑みを浮かべている。

「それを言うなら、フィリップだって……」

「フィリップは、優秀だけれど侯爵家を継ぐ立場じゃない。王配にというならともかく降嫁となるとなかなか難しい。家門を継ぐ立場で、しかも年齢がフィーナと近いとなると、伯爵家まですそ野を広げる必要がある。まあ、それもありだと思うけれど」

 もちろん、異国に嫁ぐという選択肢がないわけでもない。ただ陛下はフィーナ皇女を大変かわいがっており、他国に嫁がせたくはないという話は聞いたことがある。それに既に皇太子がレジナルド殿下と決まったのだから、フィーナ皇女殿下はある程度、自由に相手を選ぶことができるようになった。

 政治的なお話より、まずはフィーナ殿下のお気持ち優先してあげて欲しいとは思う。リオンさまもそのように考えているみたい。

「もっとも、メルダナ公爵が反対しなかったのは、そんな理由ではなくて単純にダビーが気に入ったからだよ」

「俺、何かしましたっけ?」

 兄は首を傾げた。

「アルキオーネ嬢がさらわれたときのダビーの態度を公爵はとても感心していたよ。決してメルダナ嬢を責めるようなことはせず、体を気遣い、励ましてくれたと」

「普通のことですよね?」

 兄は困惑したようだった。それもそのはず。

 エミリアさまは完全に被害者なのだ。私のせいで巻き込まれたわけで、兄がエミリアさまを責めたりする理由は一つもない。むしろこちらの方が責められてもおかしくないくらいだ。

「普通ではあるけれど、公爵は非常に気に入ったらしい。またガデリ司祭とダビーは仲がいいだろう? そのあたりも信頼されているのではないかな」

「おっちゃんと仲がよくても、俺は別に信心深いわけでもなんでもないのだけれどなあ」

「そもそも司祭をおっちゃん呼びするのは、ダビーくらいだよ」

 リオンさまは呆れ顔だ。

「ガデリ司祭だけじゃない。ロイスナートもダビーのこと、とても気に入っているみたいだ。ダビーは人たらしだからな」

「俺は別に……」

「私はダビーのおかげで今がある。フィリップやクラークに出会えたのもダビーが間に入ってくれたこそだ。ダビーの顔の広さは、正直、羨ましいよ」

「俺は単純に知り合った人間と仲良くなっているだけですよ」

 フィリップ兄さまは両親どうしのつながり。クラーク先輩とガデリ司祭は部活関係。ロイスナートさんは、リオンさまの護衛だから。兄にしてみたら、特別な何かをしたという感覚はないのだろう。

「どうしても不思議だと思うなら、公爵に直接聞いてみればいい。悩むより、その方がダビーらしいと思うけれど?」

「それは」

 兄としては、それ以前にエミリアさまの気持ちについても、ひょっとしたら自分自身のきもちについてだってよくわかっていない状態だったから、困惑しているのだろう。

「まずはメルダナ嬢と話し合ってみたほうがいい」

 少し不安気な表情を見せる兄に、リオンさまは念を押す。

「できれば、二人でね。そこで日和るのは、()()()ないぞ」

「……わかっているよ」

 しぶしぶ兄は頷く。

「上手くいきすぎて不安なのはわかるけれど、幸運は取り逃すと二度と手に入らない。後悔するようなことがないように、きちんと向き合うといいよ」

 リオンさまはにこりと微笑した。

明日も更新します。

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