孤児院育ちの令嬢、レンタル彼女を始める。
「お前のような無礼者を未来の王妃として迎え入れるわけにはいかない!ルカよ!君との婚約を私、クルーズが破棄させていただく!」
国の中でも位が高い貴族のみしか通うことの出来ない国立貴族高等学院。
その華やかな卒業式のエンディングを飾るパーティーの真っ只中、プラチナブロンドの髪に澄んだ空色の瞳をした王族らしい美形の皇太子であるクルーズは声高らかに婚約破棄を言い放った。
ルカは疑問を抱いた。
「なぜ私が婚約破棄されないといけないの...?」
ルカは男爵令嬢の次女として命を授かった。
しかし、ルカの家は男爵の中でも貧乏であり、あまり強い権力を保持できてはいなかった。
そのせいで、国立貴族高等学院では家の大きさで学校における立ち位置が定まるが、彼女の家は最低レベルであるため、ルカは友達も出来ず、いつも一人教室の隅で本を読むことしか出来ない生活をおくっていた。
そんな貧乏令嬢ルカの姉は昔、婚約者探しに必死になり、毎晩のように夜会に出席していたのだ。今となっては婚約者と結ばれ、幸せそうに暮らしているが、相当苦労しているのを間近で見てきた。
そんな姉の様子を見たルカは、姉のようにならず、位が高い男と婚約するべきだと考えたのだ。その後の計画は早かった。
今まで読み込んでいた本で学んだ知識を活かしつつ、順調に皇太子と親睦を深め、ある日の夜会で「婚約をさせていただきたい」とクルーズ皇太子に告白され、婚約する手続きが進んでいた。
「デシー。来なさい」
そう言われると、勝ち誇ったかのような表情を顔に浮かべたデシーが姿を表したのだ。
彼女はルカがいることに気付いた瞬間、微笑ましい表情を浮かべる。
濡れ羽色に輝く黒髪にエメラルドグリーンの瞳をした美形で、クールビューティな人物に見える。デシーの微笑む姿は、まるで悪魔のようだった。
「この度、ヴァネッサ・デシーと婚約する話が進んでいる。デシーは貴族の家に生まれ、少しばかり貧しい環境で育った。そんなことは微塵も感じさせない美しい姿に私は惚れた。ルカは私の紳士的な行動を魅力的に感じ、ある夜会から積極的にアピールしてきたんだ。そうだろ?」
「はい、クルーズ様は他の方とは違う魅力をお持ちになっており、貴族の中でも際立つ程の優しさに心奪われました」
すると得意げにクルーズは熱弁する。
「デシーと私は永遠の愛を誓っているから、そろそろ正式な婚約をしようと考えている。この卒業式が終わり次第、デシーの家族にも話をつけてくるつもりだ。こんな所で暇つぶしをしている暇はない。婚約は破棄されたのだ!帰れ!」
そう叫ぶと同時に、王国軍の防衛たちがルカを取り押さえに来る。その景色を横目に、デシー公爵令嬢はクルーズ皇太子に腕を引っ張られるようにして、会場を後にした。
「デシーよ。あんな惨めな女を見せてしまい申し訳ない。ただ、婚約破棄をしたことで、デシーと正式に婚約することが出来るようになった」
無事に婚約破棄が成功し安心したしたことで、吐息をつくクルーズ皇太子を横目に、私は表情一つ変えずに椅子に座っている。
《さてと、ここからが私の仕事よ》
婚約破棄を暴動もなく終わらせ、安心している彼に、私から話しかける。
「クルーズ様、婚約破棄をした後で申し訳ないのですが…」
「どうした?何かあの女に言いたいことでもあったのか?」
私は少し躊躇ったような表情を浮かべる。
「実は・・・生みの親が見つかって家に戻らないといけないんです」
「え?詳しく事情を説明しろ」
先程まで婚約破棄をして、今度は婚約破棄される側になるなんて可哀想だなと思いつつも、私は冷静に、ただ淡々と言葉を発していく。
「実は私は落ちぶれ貴族ということで、クルーズ様に出会いましたが、実は私、隣国の貴族だったんです。」
するとクルーズは目を大きく見開き、
「今戦争をしている隣国の貴族だと...。どうしてその話をしなかったんだ」
悲しみと怒りが混在しているような声で、問い詰めてくるクルーズ。
「クルーズ様の行っていることは敵国である私の祖国でも、裏では高く評価されています。そんなクルーズ様に惚れてしまった私は、貴族の位を捨て、この国に来たんです。クルーズ様に逢うという理由だけのために」
私はこの仕事をしていて学んだことがある。人間は究極の選択を迫られたとき、五感を頼りにするということ。
つまり、五感にさえ気をつけてしまえば、人間の心理など簡単なものだ。
私は、目に僅かな涙を浮かべ、瞳がとろんと濡れて揺らいでいる姿を演じる。彼が私を抱きしめられるように体を縮めた。
案の定、彼は私を抱きしめて、
「…わかった。関係者には私から別れを告げたよう、話を付けておく。隣国の両親と再会しても、私のところに会いに来てくれるか?」
と心もとない声で嘆いた。
「当たり前ですよ!こんな我儘を聞いてくださるクルーズ様が大好きです。離れていても永遠に愛し続けます」
そう言って、私はターゲットと甘い口づけをする。
そこには恋愛感情なんて物はなく、ただ一つの仕事をこなすかのように舌を絡め合わせる。
ターゲットに至福の一時を与えた私は「王国の前まで馬車が来ているので」とだけ残し、その場を去る。名残惜しそうな目でこちらを見つめてくるターゲットに満面の笑みで手を振り、私の任務は完了した。
「約束通り、前金と合わせて金貨200枚だ」
「ありがとうございます」
微笑みながら金貨が大量に入った袋をカバンにしまう、デシー。
その様子を見た依頼主は
「はぁ...。本当にお前は何の為に働いているんだ?」
今回の依頼はクルーズ皇太子の側近からの依頼だった。クルーズ皇太子は根はとても良い人で、ルカとも婚約に向けて愛を育んでいたが、悪い噂が側近の耳に入ったようだ。
それは「ルカの浮気癖」だ。
彼女は学園にいる頃から影が薄い存在ではありながらも、言葉巧みに多くの貴族を垂らしては、振ることを繰り返してきたらしい。今回の婚約は明らかな玉の輿を狙っているものだと感じた側近は、クルーズ皇太子自身に別の婚約者を探す決断をしてほしいという思いから、今回の仕事を依頼してきた。
「まあ、自分の趣味のためですよ。こうしてレンタル令嬢として働いているのは、くれぐれも内密にしていただけたらと思います」
「分かってる。それも契約内容だからな」
私の名は、ヴァネッサ・デシー。
職業は「レンタル令嬢」
この業界で働いている人は今まであまり見たことがない珍しい仕事だ。
今まで体験してきた仕事内容は沢山ある。今回のような婚約破棄を意図的に行い、別れさせるような別れさせ屋の仕事や、令嬢同士の夜会の埋め合わせとして出ることもある。そして時には、年老いた貴族相手に婚約者のように接してあげる仕事だってある。流石に夜の営みは禁止だが。
何でも屋というより、貴族同士の恋愛などに携わり、時には国の命運を左右するような仕事だって任される。責任は伴うが、多くの金貨を貰える。
「デシー。君はどうしてレンタル令嬢なんてやっているんだい?」
令嬢をレンタルすることで、とある婚約を破棄させたり、隣国に追放したりと、国を影で操る令嬢。
そんな仕事を行うことなんて難しい。それなのにどうして...って考える人も多いはず。だが私は違う。
「世の中裏切られるのが1番怖いの。だから裏切ることのない金貨だけが、信用できる...と言っておけば納得してくれるかしら?」
そう言い放つとデシー令嬢は背を向けて去って行った。
◆◆◆◆◆
今日の仕事はハードだ。
午前中に卒業式での婚約破棄を行い、午後からは貴族同士の夜会に出席する予定がある。今回の仕事内容は至って平凡な内容だった。
依頼主の貴族の令嬢には落としたい男性貴族がいた。私は依頼主の株をあげ、その貴族に好感を持たせてほしいという内容である。
「今回は金貨10枚+出来高...ね」
どんな小さな依頼でもレンタル令嬢のレベルによっては、金貨を何枚詰んでも中々借りれない令嬢がいるほど、シビアな世界だ。
自分の昔は金貨1枚貰って喜んでいた時期もあった。そこで諦めずに体を売る職業に走らなかった自分を褒め称えてあげたい。
今回の仕事は容易な仕事ではない。
依頼主と話を合わせて、嘘がバレないようにしないといけない。事前に彼女の代理人を通じて、様々な彼女の情報を聞き込んで、暗記している。
移動途中にも関わらず、鏡を見ながら化粧直しをする。
午前中は卒業式とあって、濃いめの化粧で出席していた。しかしレンタル令嬢は、レンタル令嬢であることがバレてしまっては失格である。
化粧の印象を変え、まるで別人のように振る舞うことが重要なのだ。
依頼主は男爵令嬢の次女であるお嬢様。
趣味は本を読むことで、住居にある本棚の写真を依頼主の代理人さんに見せてもらったのだが、学校の図書室くらいの大きさがある程の本好きだった。
だが、内容は恋愛系の物語ばかりで、それも身分差が主題の小説。
男爵令嬢だから、どうしても身分差婚約に夢を抱いているのだろう。
そしてこの依頼主の1番大きなポイントは、他に婚約が決まっている夫がいるということだ。
依頼主は、婚約破棄されてしまい、独り身になることを危惧して、早めに別の男を確保しておきたいという願望があるらしい。
世間的に見たら、浮気相手を作るという最悪な行為だが、私も仕事としてやっている以上、相手側の事情など知る由もない。
そんなことを考えていると、依頼主と事前に面会する場所に到着した。
意外とクルーズ皇太子との婚約破棄が長引いてしまったため、夜会の開始時刻の1時間前の到着となってしまった。
「遅れて申し訳有りません。この度レンタル令嬢として来たデシーです。どうぞよろしくお願い致します」
依頼主の代理人と挨拶を交わすと、「時間が無駄です。一刻も早く準備をしてください」と急かされ、奥の部屋に入るよう指示される。
今回の依頼主はどんな人なのだろうか。
木で出来た重い扉を開く。
するとそこにいたのは、
《嘘...でしょ?》
「ごきげんよう。ルカと申します」
扉の向こうにいたのは、先ほどクルーズ皇太子に婚約破棄されたルカだった。
《確かに婚約が決まっている夫に振られるかもしれないって言ってたけど...》
絶対に先ほどのデシーと同一人物だとバレてはいけない。
そう考えた私は、顔を俯き気味にし、声は少し小さめの大きさで話し出す。
「本日、レンタル令嬢として来ました、デシーと申します」
レンタル令嬢として貸し出されているものの、別件で仕事をしていたことは絶対に隠さなければならない。
この状況をルカに知られ騒ぎになると、いつも通りの仕事ができなくなってしまう。ましてや今回の夜会に出席している人に公になってしまえば、依頼主の株が下がり、私の積み上げてきた評価も水の泡。
《先ほどのクルーズ皇太子の新たな婚約者と同一人物だと気づかれてはいけない》
このことを肝に銘じて仕事に取り掛かる。
「デシーという名は先ほど私が出席していた卒業式に現れた女と同じ名前だわ。ただ…貴女とは化粧も服装も全く違うから疑っている時間が無駄ですわ」
「デシーというのは私の源氏名で、レンタル令嬢をやっている時の名前です。このような偶然があるなんて驚きです」
「とにかく今日は期待しているわよ」
デシ-はルカの言葉に対し、スカートを持ち上げ静かに頭を下げた。
小さな部屋に通され「ここでお待ちください」と指示され、少し古びた椅子に腰を下ろす。
《本当に動揺せずに仕事をこなさないと》
この仕事は誰かを欺いたりすることも多くなってしまうが、それも承知の上である。ただ仕事として失敗は許されない。先程の婚約破棄についても失敗は国家の継承者争いに大きな影響を与えるものだった。少額のお給料だったとしても誰かを全力で演じることが重要である。
そんなことを考えていると、もう夜会が開催される時間になった。
置かれた鏡に映る自分を見つめた後、夜会の会場に向かい、私の仕事が始まる。
《ただいつもの作業を繰り返すだけ》
お相手に軽く挨拶をし、話に興味を持っているかのように返事をし、相手に好印象を持たせる。依頼主のことを褒める時に信じてもらえるようにするためだ。
依頼主が落とそうとしている令息は気品がある有名な伯爵令息だった。
大国の太陽と呼称されている豪華な金の髪で、瞳には海のように深いサファイアブルーを持つ。
正直に言おう。依頼主とこの方は釣り合わない。身分差婚があるとしても全てにおいて無理がある。
《まあ、そんなこと私には関係ないけどね》
男性貴族を含め、3人で談笑しつつ、さりげなくルカの株を上げていく。
「ルカは私の古くからの親友なんですけど、本当に教養があって良い人です。初対面では少し素っ気ない態度をとってしまうかもしれないのですが、仲良くなったら何でも楽しそうに語ってくれるギャップが魅力的です」
「デシー、そんなに褒めなくてもいいよ~」
すると彼が興味深そうな顔をして、
「ルカ様はそんなに良い方なんですね、そのように親友の良い部分に目が届くデシ-様も素晴らしいと思います」
《まだ名前聞けてないけど、勤務時間外だったら連絡先欲しいレベルでかっこいい》
これは依頼主が惚れてしまう理由がわかるなと思いつつ、愛想笑いで誤魔化す。
自分の株が上がりすぎても依頼主の反感を買ってしまうので、一度席を離れ、誰もいない会場の端の方に向かう。
向こうで2人で談笑しているのを見ていると
「あっ」
依頼主が狙っている彼と不意にも目が合ってしまったのだ。
彼は手に持っていたグラスを置き、こちらへ向かってくる。
彼がこちらへ歩いている背中を依頼主は睨んでいるが、背後の視線に気づく様子もなく、私へと向かってくる。
「どうして...」
私が小さな声で呟くと「少しこちらへ」と彼に言われ、入り組んだ部屋の奥へ来るように袖を引っ張られる。
彼は周りを確認し、誰にも見られていないことを確認すると間髪入れずに手を私の首元に当て整った顔を近づけてくる。
「流石にそれは...!」と言いかけた時に、私は声を飲み込んだ。
彼は「んっ」と声を漏らすと、息をすることすら許さないように私の唇を覆った。
至近距離で見るとやはり彼は威風堂堂と、そして凛と美しい。くっきりとした一重の瞳の睫毛は少し伏し目がちで、整った顔立ちは魅力的で惹きつけられ見ていて飽きそうにない。
何かを確かめるように交わされた口づけは、舌先を絡め合い、触れ合ったまま離れられなくなる。唾液が混じり合い、熱を分け合い、吐息まで飲み込むように、長い間堪能していた。
我に返った時、もう手遅れだった。
「デシー様、急で申し訳ないが貴女の性格、身体、笑い方も全てが魅力的だった。普段は即決するような人間ではないが、惹かれてしまったんだ。婚約を前提にお付き合いしていただけないか」
唐突な口づけに困惑している私は混乱していた。
《好意を向けられるようなことは一切していない...。依頼主にこれを知られてしまえば、今日の金貨はいただけなくなるだけでなく、長い間保ってきたレンタル令嬢の評価が落ちてしまう》
このような仕事中ではない時に出逢ったとしたら、本気で婚約を考えるくらいの優しく品のある方だ。いきなり接吻をするような部分は少し変わっているとは思うが、根は真面目だろう。
だが、今は...
「ごめんなさい、貴方のことをまだ知れていなくて。もう少し仲良くなってからにしましょう」
すると彼は残念そうに俯くと、
「わかった、今度の夜会でまた逢おう」と告げ、ルカのいる所へと戻っていき、何も無かったかのように談笑し始めた。
「本当に今日の仕事には感謝よ、おかげで仲を深められたわ、はいこれ。」
夜会が終わった後、静かな夜によく響く甲高い声で満足げに話すルカの様子を見ると、彼と私の行動は気づかれていなかったみたいだ。
《まさか彼に好意を寄せられるとは思ってもいなかったけど、無事正体が明らかになることもなく終わって良かった》
渡された袋に入っている金貨の枚数を確かめると、20枚。
「え、失礼ですが、こんなに貰ってしまって大丈夫なのですか」
今回の契約は金貨10枚+出来高だったはずだ。基本的に出来高は2枚ほどつけば良い方なのにも関わらず、これだけ羽振り良くいただけるのは珍しい。
「貴女の行動が素晴らしかったからだわ、それに...」
ルカは少し言葉が詰まったものの「言うか迷ったんだけど」という前置きで告げた。
「貴女に依頼する時、過去の利用者の感想を読んでいたの。そしたら...孤児院で育った過去があるのよね」
デシーは黙り込む。整えられた眉の間に深い眉間のしわが見える。
しかし、ルカは発言をやめない。
「身なりが良くて作法も守れているからいい家の育ちだとは思うけど。だから生活が苦しいと思ったから少し報酬は弾ませたわ。きっとこれで生活も少しは...」
すると、デシーはなぜか苛立ちが隠せない様子を見せ、ルカが話し終わる前に険しい表情で「関係ありません、さようなら」と言って、その場から立ち去った。
◆◆◆◆◆
「お姉ちゃん!今日も来てくれた!」
多くの子供たちが笑顔で私の元へ駆け寄ってくる。
そう、ここは孤児院と呼ばれる場所だ。親や世話してくれる人を亡くしたり捨てられた孤児が集まり、同じ屋根の下で暮らしている。
この子達を見ていると、私の小さい頃を思い出す。
私が生まれたのは伯爵家の三女だった。
生まれつき優秀だった二人の姉と比べられ、家庭内での差別は勿論のこと、出される食事も姉達とは異なり、質素なものだった。
そんな幼少期を過ごしていたある日、私のことを唯一愛してくれていたお母さんが行方不明になる。それをきっかけに私は貴族の家にいられる居場所を失い、孤児院に入れられた。
そこで育っていくが、母と仲が良かった男性の貴族の家が引き取ってくれたのだ。
「嬉しい」
そんな純粋無垢な気持ちだけだった。養子として手伝いをし、自分なりに努力をすることで家族の一員になれているような気がした。
でも...実際は違った。家に居させてくれる理由は可哀想という哀れみの気持ちだけだったのだ。自分自身は誰にも必要とされずにいる気持ちで胸がいっぱいになった。
そしてこれ以上引き取ってくれた貴族の人に迷惑をかけられないと思い、家を飛び出したのだ。それからというもの、レンタル令嬢として生計を立てている。
「お姉ちゃん、一緒に遊ぼう!」
そんな無邪気な子供たちを見て思うことがある。
普通の人と同じように食べ物を食べて、友達と遊んで、時には恋をして。そんな普通の生活をしている子供たちを「可哀想な子供」と一概にまとめてほしくないのだ。
ただ家庭環境の運が悪かっただけなのに、一生差別的な目を向けられ「普通に生きれなかったな」と感じながら死んでいく。
こんな人が社会に取り残されていることに嫌気が差した。
だから私はレンタル令嬢としてお金を稼いで、孤児院の運営を行っている。
時には人の恋心を利用し、騙すこともあるこの仕事だ。それでも孤児院で育つ子供たちが差別的に見られ、貧乏でかわいそうというイメージをなくすためにお金は不可欠だ。
誰にも打ち明けられないこの思いを胸に秘めたまま、今日も違う人間を演じることで生きていく。
読んでいただき、ありがとうございました!
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