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クリスマス

作者: 芋姫

朝起きると、枕元にプレゼントの箱が置いてあった。


今日はクリスマスだ。昨日はイブだった。


****************************************************


もうすぐクリスマス・イブ。


私は同じ部署の後輩と話をしていた。今年で入社2年目の後輩は、真面目で仕事熱心で、これといったミスもない。早くも社内ではエースになりつつある人物だった。


今は休憩時間。


時期が時期なのでクリスマスの話になっていた。「僕、子供の頃にクリスマスプレゼントをもらえなかった事があるんですよ。」「え?」「11年前だったかな。あんなことは初めてだったんで・・・ちょっとショックでした。」「・・・11年前。」「ええ、飛行機のおもちゃが欲しかったんですけど、それまでは毎年、クリスマスにはプレゼントをもらえてたのに、なぜかその年だけ、朝起きたらプレゼントがなかったんです。」「・・・・。」「子供心にがっかりでした。その年は両親が離婚した年でもあるんでよけいに。」「・・・・そうなのか」「ええ」「だから、僕は子供たちに決して、そんな思いをさせたくない!そういう思いでこの仕事に就きました。」「・・・・・・・」「ちょっと、熱く語りすぎましたね(照)」「・・・・・・」「・・・・先輩?」「・・・・・俺、先に戻るわ。」「え」「急ぎの仕事残ってた。」


私はぽかんとした表情の後輩を残し、その場をあとにした。

この業界は激務で常に人手不足だ。

・・・とはいえ、自分が情けなくなった。


**********************************************************************************************************


朝、目が覚めると、枕元にプレゼントの箱が置いてあった。


今日はクリスマスだ。昨日はイブだった。


他の皆はまだ寝ている。昨日は忙しかったもんな。 もちろんこの僕もだったが。


ここは社員寮だがこういう事はよくある。


みんな人に何かを贈るのが大好きだからだ。


他の皆を起こさないようにそっと起き上がり、どれどれ、とリボンをほどき静かに包装を解いていく・・・・。


中の箱を開けてみると・・・「え?これは・・・」僕は目を丸くした。中から現れたのは、”飛行機”のおもちゃだった。忘れもしない、子供の頃にずっと欲しかった、あの。


すぐそばにメッセージカードがある事に気が付き、手に取る。


そこには『”11年前は、ごめん”』と短く書かれていた。


















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