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『ユリエッティ英雄譚を紐解く』3
かくして粘竜人ネビリュラを孤独の淵から拾いあげたユリエッティ。
当時の人類種の定義からは外れ、モンスターと同一視されていたネビリュラを救うその行動は、その時代の人々の目には酷く奇異なものに映ったという。あるいは、危険な思想だとも。
まるでそんな周囲の視線から逃れるかのように、その後しばらくのユリエッティは人目を避けてヨルド各所を転々としていたが……未来の視点から見れば、その旅路の本来の目的はヒルマニア王国救済にあったことが読み取れる。“途絶えの森”を経て、彼女はこの時からすでに水面下で動き出していたのである。
そして、そんな救国の英雄の征く先を導いていたのが、遥か古い時代に滅びたと思われていた精霊の一柱であった。ユリエッティは生前、その存在について多くは語らなかった。けれども彼女が後に成す偉業からして、かの者が泰平と繁栄を司る善良なる導き手であったことは想像に難くないだろう。
──ヒルマニア王国指定名著『ユリエッティ英雄譚を紐解く』より
というわけで3章スタートです、よろしくお願いします。
本日夕方ごろにもう一話更新します。




