第99話 【攻略対象 水の精霊王と水龍】ノネの秘密
レーナは、この機会を逃すまいと、思い切って口を開いた。
「ゾイヤって、実はヴォディム様と同じ男性体よね?」
『はぁ!? お前何を言っているノネ? 確かに我は敬愛する主と性質を同じくする形態は取っているノネ』
「けど、女の子よね? 気持ちは」
『誰にも引けは取らんノネ! 何者よりも、双子龍のあの者よりも力強く、美しく、嫋やかなるノネ言葉を操るのが我だノネ!!』
「ノネ? んんん? ……ノネってまさか」
『何より言葉が、我の嫋やかさを表わすであろうノネ! ノネ、だノネ!』
(その「ノネ」だったーーー!?)
まさかの奇妙な話し言葉のこだわりが明らかになった。
どうやら、海底神殿を占拠する闇龍はゾイヤの片割れらしい。ヒロインと水の精霊王ヴォディムとのハッピーエンド後も、主から離れようとしなかった彼の粘り強さなら、この水の宝珠の試練もなんとかするだろう――そう思うレーナだ。
それに、精霊王らは力を分けて作った眷属が、自分を想って当然と捉えているし、ゾイヤはヴォディムを強く想っている。ヒロインが現れなくとも、相思相愛の相手がいるのなら不足はないだろう。小姑付きの水の精霊王ヴォディムルートで描かれる、ハッピーエンド・スチルは、嫁・小姑の長きに亘る抗争幕開けの図にしか過ぎなかった。ならば、相思相愛の1柱と1頭で収まってもらうのが一番いい。
「ハッピーエンドよね?」
『どこが? あたしには色々こんがらがった風にしか見えないけどぉ!?』
プチドラが首を巡らせるのにつられて、レーナも周囲を見回す。目に入るのは、ぽっぽと蒸気を吹き出すファルーク、迷惑そうにしながらも手を振りほどけていないアルルク、暗い表情ながらも拳を握りしめて何かを決意した強い光を瞳に宿したエドヴィンの姿だ。
「みんな前向きになれてるところが、ハッピーエンド?」
言ってみたレーナだが、確かにどこかスッキリしない感覚は残っている。けれど、今回の旅の目的である異常気象問題は解決できたし、ついでに水に関わる問題も防げそうなのだ。
(この調子で、どんどん解決すれば平凡村娘の、リュザス様探しの旅は思いのほか早く実現できるかも!)
わくわくと瞳を輝かせるレーナに、プチドラは『ホントにレーナってば、楽しませてくれるわぁー』と、ため息交じりに呟くのだった。




