第97話 【攻略対象 水の精霊王と水龍】女性陣のみぞ知るファルークの内心
一方、ファルークとアルルクの間では、なにやら話が纏まりそうな気配が伝わって来る。
『そうか、ワレを襲う触手を防ごうと飛び出したのだな。それでもワレを護ろうとしたことには変わらねぇ。――まずは友達からか、なぁ』
ファルークが、握手を求める様に、巨大な手をそっとアルルクの前に突き出す。咄嗟に剣の柄に手を掛けて身構えようとしたアルルクだったが、ファルークは、彼を見詰めたまま動かない。その姿は、懇願しているようにも見えて、アルルクは構えを解きつつ首を傾げる。
「よく分かんねーけど レーナにおかしな真似しないんなら友達にはなってやるぞ。お前、引き籠もりみたいだから いっぱい遊んでやるよっ!」
害意は無いと見て取ったアルルクが、大きな火龍ファルークの爪先をぎゅっと握る。すると、ファルークの胸の辺りに再び朱の光が集まり、ぽっぽと細かな蒸気が関節の至る所から噴き出してきた。
「あつっ!! なんだこれ、っぶねーだろ!?」
『うぉっ!? つい、感情の高ぶりが現れちまった。わりぃ、悪気はねぇんだよぉぅ』
「仕方ねぇヤツだなぁ。オレも龍なんてよく知らねぇから、こっから知っていけんのかな」
爽やかに笑って、それまで敵対していた相手の手を取るアルルクは、青春映画の一幕を見る様だ。
『そうだな。共にすごそう。時間は永いからなぁ』
――だが、受けるファルークの表情……は龍体だから良くは分からないが、纏う雰囲気がどこかおかしい。
「プっ……プチドラちゃん、あれって」
『しぃっ、今は黙ってんのよレーナ! とにかく今はこれで収めるのよ。ヒロインが現れたら頑張ってもらえばいいわ』
ファルークの内心が筒抜けな女性陣はひそひそ囁き合い、まだ見ぬヒロインの奮闘を切望するのだった。




