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第64話 【攻略対象 火龍の変化体】最もお手軽なルート⁉ 火龍の変化体ファルーク


 乙女ゲーム『虹の彼方のダンテフォール ~堕ちる神と滅びる世界で、真実の愛が繋げる奇跡~』の作中、最も攻略の容易なルートが、火龍の変化体「ファルーク」を攻略対象とするシナリオだ。


 ファルークは、ある日突然姿を消した(つがい)を探し疲れ、溶岩洞の奥深くに身を潜めて、失意に沈んだ永い年月を送っていた。


 その彼を見付け出すだけの簡単なルートだ。


 迷路の様な溶岩洞は、コツコツとマッピングして行きさえすれば早晩クリア出来るし、執拗に追い掛けて来て迷宮攻略の邪魔をして来る魔族は、レベルさえ上げれば斃すことが出来る。


 そして引き籠もる彼の元に辿り着いたヒロイン聖女に、何故か(・・・)都合よく(つがい)の気配を感じたファルークは、一目で恋に落ちるのだ。台詞の選択肢だって、拒否するか、受け入れるかの分かりやすい2択だから、彼自身の攻略は何ら悩むところもない。


(そう言えば、あのシナリオで見た魔族って、プペ村で襲って来たあいつによく似てたっけ)


 河原で戦った記憶を手繰り寄せる。思い起こせば、あの魔族は人と同じく2本づつの手足で――けれど頭部の左右に大きく突き出た捻じれたツノと、背中に生える蝙蝠に似た1対の翼、鈍色の鱗に覆われた身体に、頭部から背中にかけて白い(たてがみ)が付いていて――どことなく、龍の面影を残す形状をしていた。


(まぁ、気のせいよね。ファンタジー乙女ゲームに出て来る人外なんて、本気でグロテスクなものじゃなくって、動物とか竜に似てるものがほとんどだもんね)


 今となっては懐かしくさえ感じる、アルルクを勇者に覚醒させ、レーナに秘められていた修繕(リペア)の力を引き出してくれた、忘れられない存在だ。




 火の宝珠(オーブ)ルート。


 それは、手間さえ掛ければ、必ず堕とし、解決できる最もお手軽なシナリオ――のはずだった。

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