表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/239

第166話 【攻略対象 最高神リュザス】モブ・オブ・モブ の生き方


 ―― あはははは……、貧弱すぎるよ何この魔法! これじゃあ、僕を少しの間足止めできた、緑の彼の魔法の方が余程すごかったねぇ ――


 腹を抱えて無邪気に笑う青年に、クラウディオ王子が2度3度と攻撃の魔法を放つが、やはり手どころか吐息で無力化される。


「クラウディオ王子は、下がってください!! 私がっ!!!」


 王子らの背後から新たに姿を見せたシルヴィアに、クラウディオ王子は悔し気に唇を噛み、バルザックはホッとしたように頬を緩める。

 その様子を目敏く見て取ったレーナは、普段の温厚な彼からは結び付かない只ならぬ様子に首を傾げる。


(王子、なんだか妙にムキになってるわよね。何か理由が……ある?)


 シルヴィアとクラウディオ王子が並ぶ光景に、玲於奈の記憶が蘇る。


 「陽の宝珠のエピソード」。最高神リュザスから与えられた陽の宝珠を魔族に奪われ、陽の力が衰えた世界は瘴気の発生を抑えられない危機に陥る。だが、クラウディオ王子が、真の聖女であるヒロインと力を合わせて魔族を討ち果たし、宝珠を取り戻すのだ。


 ゲームのスチルでは、互いを助け合い思いを通わせて行くスチルが何枚も登場した。2人が並んだ絵はどれもが正統派ルートを納得させられる、華々しくも甘いものばかりだったはず……なのだが。実際、目の前に立つ2人は何処か様子が違っているのだ。


 カッ


 王子とは比べ物にならない程強い閃光が迸り、黒い青年へ真っ直ぐに向かう。だがそれも、青年の作り出した靄が盾となってあっさりと無効化されてしまう。


「もういっかい!」

「シルヴィア嬢、どくんだ!! これは私の役目だ!」

「いいえ、私の力の方が効率的です! クラウディオ王子は、どうか、お下がりください!!」

「私が為さねばならぬのだ!!!」


 甘々なツーショットどころか、揉めている。


 真面目に言い合い、すれ違うメインルートの2人に呆気にとられるレーナだが、黒い青年は大笑いしながらその場に留まり続けて、方々からの攻撃を事も無げにいなし続けている。


 ―― 無理無理っ! おーじ様の力じゃあ僕に何かする事なんて出来ないよ。隣のお嬢ちゃんの方がまだ見込みがあるんじゃない? 魔法の初歩中の初歩の、魔力を見て取ることも出来ず、希少な光の力を持つと言っても魔力量も威力も弱いものしか使えない、身分だけおーじ様? ――


 青年の笑い交じりの言葉に、クラウディオ王子がさっと顔色を失う。彼がムキになっていた原因を突き付けられたのだ。

 その言葉を受けて、シルヴィアとバルザックが一瞬、王子に向けた視線には憐憫が宿っていたのだろう。悲痛に表情を強張らせるクラウディオに、シルヴィアが何か言おうと口を開きかけたところで、割り込む声が上がった。


「んもぉ! わっかんないものは仕方ないでしょ!! 見えないからなんだって言うの!」


 癇癪を起したように声を上げたのはレーナだ。直前の出来事、つまり髪飾りに「憑いてる」ものがプチドラ、アルルク、エドヴィンには見えている()()()事実に、当人だけは気付いておらず歯噛みさせられた、そのときの自分に重ね合わせたのだ。


「わたしは自分の眼に見えるものを信じるし、自分の信念を通すし! 使えるゲーム知識(もの)はなんだって有効利用する! モブ(平凡)にはモブ(平凡)の生き方があるの!! それでもって、そんなしたたかさこそ重要なんだからーーー!!」


 レーナの渾身の叫びに、クラウディオはハッと顔を起こし、目を輝かせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ