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独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!  作者: 弥生ちえ(弥生 知枝)
第4章 最高神 編

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第154話 【攻略対象 最高神リュザス】聖女レーナ誕生


 王城、謁見の間。


 そこは訪れる者に権威を誇示し、畏怖を植え付けるために造られた場所だ。


 城の中で一際豪奢な扉を開け放てば左右に巨大な柱が立ち並び、その背後の大きな窓から陽の光が差し込んで空間を荘厳に演出する。ホールの中央を色鮮やかな緋色の絨毯が真っすぐに貫き、玉座の据えられた最奥の壇上にまで一直線に伸びる。


 中央を貫いた緋色は、踏み入れた者を否応なく奥へと誘う圧を持って迫り、その両脇には王侯貴族がずらりと居並んで、流れ行く異物に値踏みする視線を集中させる。


 目的地である玉座の前まで、実際の距離よりも随分疲労を感じる道のりだ。


 だが既に国王が座している以上、諦め悪く牛の歩みを決め込んでのったりと進むのは更なる(・・・)心証の悪化に結び付きかねない。覚悟を決めて平凡(モブ)村娘なりに美しい所作を心掛けて足を運ぶ。


「視線が痛すぎるわ……」


『蔓草で良ければ覆い隠してあげるけど?』


 プチドラの言葉が終わらぬうちに、(くるぶし)までの長いスカートの裾から蔓薔薇の茎が這い上り始め、両脇の貴族らからざわめきが起きる。


「ご先祖様、更に騒ぎを起こすのはお控えください」


 レーナの左隣に立つエドヴィンが苦々し気な視線を向ければ、プチドラは『分かったわよぅ』としぶしぶ呟いて蔓の成長を止めてくれた。だが、何の変哲もない白色の簡素なドレスに天然の薔薇の蔓が這って葉を伸ばし、腰から下がクリノリンを付けた様に広がっているのはそのままだ。


 ただ国王の前まで静かに歩くだけなのに、それすらスマートに出来ないのはヒロインではないからなのだろう。そうげんなりしているレーナに、右隣のアルルクが輝かんばかりの力強い笑顔を向けて来る。


「レーナが主役なんだから、どーどーとしてれば良いんだよ。その服だって凄く綺麗だし、レーナはカッコ良いからな!」


 女性に向けての言葉としては落第点な発言だったのだが、蔓薔薇での装飾を褒められたプチドラは嬉しかったらしい。白地に緑の模様だったはずのスカート部分に、今度は大振りな薔薇の花が次々に咲き始めてしまった。しかもプリンセスピンクの花が一斉に満開となって、楚々とした素朴なドレスは、ガラリと印象を変えてこの世に二つとない華やかなものとなっている。


 今回の訪城は、王城の宝珠に強引に近寄ったことへの謝罪の意味もある。だから真摯な反省の意を示して純白を纏ったのに、寸前で華美に路線変更することになってしまった。


(厳粛な場を乱す、ふざけた行いだって怒られるわよね。もぉ……)


 頭を抱え込みたい衝動に駆られつつも歩を進めるレーナら一行は、程なく謁見の間の最奥へ辿り着いた。


 玉座は僅か5段の階段を上がった高さ。けれど、謁見の間全体を睥睨するよう計算され尽くした場は、前に立つ者に現実以上の距離と緊張感を感じさせる。どんなお叱りの言葉を掛けられるかと、レーナの身は自然強張る。


「聖女レーナ。噂通りの稀有なる能力、しかと目にしたぞ」


 満を持して発せられた国王の声は、どこか楽し気だ。そして何気なく国王が口にした「聖女」の冠詞に、何も聞かされていなかった貴族らがざわめく。それ以上に、呼び掛けられたレーナ自身が肝を冷やしていた。

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