第147話 【攻略対象 隠しキャラ?】断罪される悪女の罪状は?
「ようやく出てきたか、1年C組、レーナ嬢!」
ホールに詰めかけた生徒らが、壇上の王子と対峙するレーナからさっと距離を取る。すると、見えないスポットライトが当たったように、舞台に立った2組に全員の注目が集まった。
レーナと王子の間は5メートルと離れていない。だが、水を打ったように静まり返る場は、実際以上の広がりと注目を感じさせられて、大舞台に引きずり出された素人のように落ち着かない。
ごくり、と唾を飲み込むと、エドヴィンの腕に掛けた指先に、温かな掌がそっと添えられる。すると、冷え切っていた指先に血の気が戻ると共に、安堵の気持ちがじんわりと戻り始めた。
「1年C組、レーナ嬢! 君は、ドリアーデ辺境伯の後ろ楯を笠に着て、ここに居る次期聖女の呼び声高いシルヴィア・カルタス男爵令嬢をしいたげ、更には学院での破壊行為を行ったな!!」
「ごめんなさい、レーナさんっ! 私、口止めされていたのに、あの森での魔女と化したレーナさんが怖くて……っ。レーナさんに言われて、話さないようにしていたのに! あの日目にした出来事が信じられなくて……恐ろしさのあまり怯えてしまう私にクラウディオ王子が優しくお声を掛けてくださるから、お話ししてしまったのです! ごめんなさい!!」
学院に隣接した『結界の森』。その森に現れた、炎に包まれ、天空を舞い、恐ろしい魔法で生徒や教師を攻撃した『爆炎の魔女』の騒動は生徒らの記憶にも新しい。わざと、その話が広がる様に派手にやらかしたのだから。そして、救いに現れた土の宝珠の化身であるアルマジロは、レーナの思惑通り生徒らの救世主として存在を公知されて今や一身に多くの者の信仰を集めている。
だがアルマジロにより撃退された『魔女』に関して、未だ関心を持つ者が居るとは思いもよらなかった。
(なるほど!! 断罪材料には、そのセンがあったのね!)
「おい、レーナ。今ちょっと感心してたろ?」
レーナの感心を見透かした様に、すかさず側のエドヴィンから不機嫌な突っ込みが入る。そんなことありませんよーとばかりに、精一杯困った表情をつくって見せるが、少しだけワクワクした口元を制御するのには失敗したらしい。
「正体を暴かれて尚、そのように不敵に笑むとは!!」
今度はクラウディオ王子から、秒で突込みが入る。
(いや、そうじゃないから! 令嬢教育を受けた生粋のお嬢さんじゃないから、ちょっとだけ自分の気持ちに正直なだけですっ!! ……って言いたいけど、言える雰囲気じゃないよね、くぅぅっ)
ここへ来て、平凡村娘であることが裏目に出ていると歯噛みするレーナだ。
「レーナ嬢の被害に遭った者を、今一人、証言者としてここへ招いている!」
クラウディオ王子の言葉に促されて、壇上に新たな人物が姿を見せる。
その赤い髪が目に入ったレーナは、言葉を失った。




