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第138話 【攻略対象 隠しキャラ?】嫌がり荒ぶる宝珠


 早々に追い出された生徒会室を後にしたレーナは、落ち込んだ――こともなく、揚々と街へ向かっていた。


 元より、本意でなく搦め手で入れられた生徒会だ。活動しなくて良いのなら、本来レーナがやりたかったことをやるまで。ゲームで何度も見たものの、まだ一度も訪れたことのないデートコースに足を運ぶ「聖地巡礼」へと繰り出したのだ。


 ただ、気になることはあった。


『やっぱりあの王子、大気の宝珠(オーブ)の気配をさせていたわよ』


 木々の隙間に、遠ざかる校舎を見遣ったプチドラが、宙に浮かんで『うーん』と腕組をする。


「変ね。大気の宝珠(オーブ)は、プペ村に近い辺鄙なところに(ほこら)が在るはずよ? それに、ゲームのストーリーでこの先、お城から宝珠(オーブ)が魔族に奪われるイベントが発生するはずなのよ」


 さらりと言ってから、レーナは自分の言葉を反芻して首をかしげる。


「ゲームでは、王子ルートの最大の試練が、お城から奪われた宝珠(・・)を取り返しに行くイベントなの。考えてみたら置かれていた宝珠が、他のものでも成り立つワケね」


遊戯(ゲーム)では、別の宝珠になってることが触れられていなかっただけ(・・)ってこと? 』


「可能性としてはね。今の世界で生きてるわたしとしては有り得る、と思うわ」


『分からないでもないけど……。けどさ、他の宝珠(オーブ)があたしの(ほこら)に入ったら、何だか気分が悪いわ。勿論、入れないようにあたしが抵抗するだろうし。それでも無理に置かれたら、拒否反応を起こしちゃうわね』


「それに宝珠(オーブ)が無いと、地脈や気候が乱れるのよね。ゲームの終盤でも、魔族に宝珠が奪われたせいで、太陽が瘴気で翳り、強風が吹き荒れる……。そりゃもぉ、ひどい景色になってたもの」


『なんーか最近、そんな事件を聞いたわね』


「んん?!」


 思わず、目を剥いたレーナだ。


 学院敷地の地面陥没箇所と地割れの調査。あの原因は、土の宝珠(オーブ)の化身であるアルマジロが力を失いかけていたせいだった。今は、大芝居の甲斐あって恭しく祀られ、力を取り戻したから心配ない。真相は生徒会への報告書(レジュメ)に明記はしていないが、バルザックを筆頭とした王国による対策が為されて、既に心配が要らない状態になった旨を記してある。


 王都中心の王城や学院付近で特に報告の多かった、突発的、局所的な強風発生事例は、レーナらが入学したあたりから繰り返し発生し、その件数を増やしていた。もしかしたら、プチドラの言う通り、本来とは異なる場所――陽の宝珠(オーブ)のあるべき王城に、無理矢理置かれた大気の宝珠(オーブ)の拒否反応なのかもしれない。だが、その発生も最近ではぐっと数を減らしている。


 それとは逆に件数を増やしているのは瘴気溜まりの発生報告だ。これも、王城や学院付近で特に報告が多く、 魔力の淀みである瘴気は、魔獣や魔族が滅した後に発生するだけでなく、触れる者の負の感情を増幅させるとも言われる。現状の一般的な対策としては、発見次第その辺りへの立ち入りを制限し、自然消滅を待つこととなっている。これまでは路地や、緑の深い人の足が向かうことの少ない場所での発生が殆どだったのだが、これもレーナらの入学時期から悪化していたのだ。小規模ではあったが、学院敷地内どころか建物の中にまで発生し始めていたのだ。こちらは今もその状況は継続中だ。


「陽の宝珠(オーブ)が無いから瘴気は治まらなくって、大気の宝珠(オーブ)を代わりに置いてるから強風が吹いてたってこと?」


『可能性はあるかもねー』


「けど、だったら何で突風被害は治まって来てるのかした」


『それは、ほら。ずぅっと嫌だ嫌だって暴れていたら、疲れちゃうじゃない? それよ!』


 一際高い位置に浮かび上がり、エヘンと胸を張ったプチドラに呆れた視線を向ける。

 すると、レーナの顔に大きな影が落ちた。

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