表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/239

第118話 【攻略対象 美貌の大魔法使いと王子様】世捨て人な魔導士バルザックの熱いセールストーク


 学院始まって以来の珍事。


 それは、素行がちょっとアレな人間を、内外ともに清廉に洗い流して強制的に『美化更生』させる、他では類を見ない魔法が使われたことだった。精神操作の類の魔法は、「従属」「隷属」「魅了」「自白」など過去にもいくつか例がある。


 ――だがそれは、この世界で最も魔法の発達したベルファレア王国の歴史を紐解いても、それぞれの能力で1人居たかどうかという希少なものだ。



「それが、今回使われたものは心根だけでなく! 肌、髪艶、なんなら顔立ちをも若干すっきりとさせ、美しくしているのです!!

 しかも即時効果でここまでの完成度を極めるなど、これは神の域に達している魔法と言えるのではないでしょうか!!!」


 席に着くことも忘れ、自慢の商品をアピールするセースルマンの如く、すっかり美しくなった令嬢2人を隣に立たせたまま熱弁を奮うバルザック。彼の熱量とは対照的に、部屋中の温度が下がった気がするのは、全員の引いた反応のせいだろう。


「こほん。バルザックは魔法のこととなると、若干熱くなりすぎるきらいがある。だが優秀な者であることは間違いない」


 強張った表情の面々を前に、居た堪れなさげに王子が言い訳するのは、バルザックが王家直々の推薦で今年度特別に教師に赴任したからだ。


 レーナは、ゲームに無かった話し合いの席(イベント)に、微かに首を傾げた。


(ゲームで、バルザックが学院の教師になるストーリーなんてなかったわよね。魔法にしか興味のない、賢者の塔に籠りきりの世捨て人設定なんだもの)


―――――


『大魔導士バルザック・リュトルン』ルートのストーリー。


 それは、実力者だが魔法にのめり込み過ぎるバルザックが、聖女の協力と、自身の強力な魔法の力で土の宝珠(オーブ)の化身の座をもぎ取る結末を迎える。土の宝珠(オーブ)の魔力が満ちた彼は、永遠に近い生命を得、聖女ヒロインと手を取り合って王国を護って行く。


―――――


「歴史上前例のない、力に満ちた使い魔(・・・)! そして、稀有な魔法!! 優れた魔力を纏う若者たち!!!」


 朗々と告げるバルザックは、うっとりとした視線を座る面々に向け、なおも続ける。


「なんて素晴らしいんだ……! 王家から教師の任を言い渡された時は、魔道に命を捧げる私の崇高な志を踏みにじる、非道で、愚かなことを――と憤ったものですが」


「ごほん! バルザック?」


「ですが! このように心躍る機会に恵まれるとは、なんという僥倖!!」


 最後の攻略対象者は、王子のフォロー虚しく、更に熱く語り続ける。


(世捨て人設定、何処行ったのよ……)


 孤高の魔道士が繰り広げる魔法賛辞の弾幕に、部屋中の者が口を挟めないでいる。そんな中「は? なっ……?!」と、戸惑いと怒りを滲ませた、別人の呟きが混じり始めた。


「なんですのっ、これはーーーー!!」


 たった今、気が付いた様子でカロリーナ子爵令嬢が氷結した場の空気を破砕する絶叫を上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ