2話
ガタガタと揺れる馬車にどうにか乗り合わせて貰えたダイムは思い掛けない再開に驚きながらも、再開した相手ーーー居酒屋ブティで出会った酔っ払い…では無い客の1人、パラドンとの会話をしつつ揺れる馬車旅を楽しんだ。
徒歩2時間と勘違いしていた事に盛大に笑われたりしたが、疲れただろう。と、労いと野菜とソーセージが挟まったパンを貰ったので感謝の言葉を述べて美味しくいただいたりしながらも見えて来た目的地に短い馬車旅は終わりを告げ。
ダイムは目的地…フェアリスの街並みに思わず目を奪われる。
フェアリスの街並みは原初の森に1番近い街であるからか、自然との調和を意識したかのような造りになっており、まるで樹々に包まれた住居があるように感じられた。
何処か神秘的で、何処か懐かしい。
そんな街並みが広がっていて。
なんだか無性に泣きたくなるような感傷をダイムは覚えた。
「お前さん、どうかしたのか?」
そう問われ、ハッとしたダイムは
「あ、あはは
この街が余りにも凄過ぎて言葉が出なくなってたみたい」
少し照れた様に人差し指で頬を掻く。
「ははっ
そうかそうか、この街を気に入ってくれたか」
「ダイムっていったな
フェアリスに来てくれた事、歓迎するぜ!」
オレも、俺たちもとパラドンも、馬車の御者も、馬車に乗り合わせた他の者達も、全員が全員、笑顔でダイムのフェアリス入りを歓迎する。
そこにウソや偽りは無く、本心である事がわかる。
そのようにダイムの瞳には映り。
停車場に到着した馬車から降りた後、まだ日もあるので原初の森に行ってみても良かったのだが、初めて訪れたフェアリスという街も散策したい、その気持ちを天秤に掛けたところ、後者が勝り、パラドンに街案内を頼んでみる。…も、しかしながらパラドンはこれから宿に行って少し仮眠をするのだとかで断られてしました。
詳しく話を聞いてみると、どうやら彼…パラドンは自警団の1人らしく、数日後から夜回りの仕事がある為、その日に備えられるよう今から体調を整えるのだそうだ。
また自警団は8つのグループがあり、基本1グループに10人程度で、総勢80人程いるのだとか。
居酒屋プティにいた酔っ払いも自警団の1人で、その他の客もほぼ自警団の集まりらしい。
人数が多いのでは無いか、とダイムは思ったのだが、
1日目は
3日働いて5日休みなのだそうだ。